マカデミア種子油とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分
マカデミア種子油
[化粧品成分表示名称]
・マカデミア種子油

[医薬部外品表示名称]
・マカデミアナッツ油

ヤマモガシ科植物マカダミア(学名:Macadamia integrifolia 英名:Macadamia nut)の種子から得られる植物油(植物オイル)です。

マカダミアはオーストラリア原産で、現在は世界各地で栽培されています。

正式にはマカダミア(Macadamia)と呼ばれますが、化粧品成分表示名としてはマカデミア種子油、医薬部外品名としてはマカデミアナッツ油と記載されます。

マカデミア種子油の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
パルミトレイン酸 不飽和脂肪酸 C16:1 21.8
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 56.4
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 2.8
リノレン酸 不飽和脂肪酸 C18:3 9.5
エイコセン酸 不飽和脂肪酸 C20:1 3.1
エルカ酸 不飽和脂肪酸 C22:1 0.3
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 8.3
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 2.1
アラキジン酸 飽和脂肪酸 C20:0 2.4
ベヘン酸 飽和脂肪酸 C22:0 0.8
リグノセリン酸 飽和脂肪酸 C24:0 0.5

このような種類と比率で構成されています(文献2:1990)

オレイン酸が約55%、パルミトレイン酸が約20%を占めており、オレイン酸およびパルミトレイン酸はどちらも二重結合が1つのみの不飽和脂肪酸であるため、酸化安定性は比較的高いと考えられます。

マカデミア種子油はパルミトレイン酸を約20%含有し、ヒト皮脂の脂肪酸組成に類似しているため、皮膚に馴染みやすいのが特徴で、またパルミトレイン酸は、若い皮膚には多く含まれていますが、30代より加齢とともに減少していくことが報告されています(文献5:1989)

ヨウ素価は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類
70-80 不乾性油

一例としてこのように記載されており(文献3:1997)、100以下の不乾性油のため、乾燥性はほとんどありません。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、洗顔料&洗顔石鹸、リップケア製品、ヘアケア製品、洗浄製品、日焼け止め製品、ネイル製品などに広く使用されます(文献4:2016)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、マカデミア種子油はオレイン酸を約55%、パルミトレイン酸を約20%含有し、ヒト皮脂の脂肪酸組成に類似しているため、皮膚への浸透性が高く、また皮膚親和性と展延性(∗1)に優れているためベタつきがなく軽い感触を付与します(文献3:1997)

∗1 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。

これらの皮膚なじみのよさ、感触の軽さ、伸びの良さなどからスキンケア化粧品をはじめメイクアップ化粧品やヘアケア製品にも広く使用されています。

また30歳代からヒト皮脂や脂肪においてパルミトレイン酸が減少していくことから、パルミトレイン酸を補うエイジングケア化粧品としても使用されています。

一方で2004年に資生堂によってオレイン酸やパルミトレイン酸など二重結合が1つの不飽和脂肪酸が恒常的に過剰に存在すると、顔面毛穴周囲の肌状態およびキメの状態が悪化する可能性が高いことが報告されています(文献6:2004)

10代または若い成人などでは皮脂をはじめパルミトレイン酸の生合成も活発であるため、毛穴状態やキメの悪化につながる可能性も考えられます。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

マカデミア種子油の配合製品数と配合量の調査(2010年)

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マカデミア種子油の安全性(刺激性・アレルギー)について

マカデミア種子油の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [ヒト試験] 214人の被検者に0.5%マカデミア種子油を含むクレンジングオイルの10%水溶液0.2mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチ下で実施したところ、誘導期間において3人の被検者に偽陽性反応があり、そのうちの1人の被検者は7回目のパッチ適用で明確な紅斑が観察された。ただしこれらの反応は臨床的に問題ではないと判断され、またほかのいずれの被検者も皮膚反応はなく、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた(TKL Research,2010)
  • [ヒト試験] 55人の被検者に30%マカデミア種子油を含むボディ&ハンドケア製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチ下で実施したところ、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた(Personal Care Products Council,2010)

– 個別事例 –

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [個別事例] 28歳の女性がマカデミア種子油を含むリップスティック製品を使用した後に口唇炎を発症したため、リップスティック製品の成分を対象にパッチテストを実施したところ、リンゴ酸ジイソステアリルとマカデミア種子油に陽性反応が報告された。これら2つの成分を含むリップスティック製品の使用を中止すると症状は回復した(Sugiura K,et al,2009)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

ただし、個別事例として皮膚感作の報告があります。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

マカデミア種子油はエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
  2. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の脂肪酸組成」油脂化学便覧 改訂3版,104-110.
  3. 広田 博(1997)「不乾性油」化粧品用油脂の科学,18-26.
  4. 日光ケミカルズ(2016)「油脂」パーソナルケアハンドブック,14-15.
  5. 伊藤 正次(1989)「マカデミアナッツ油の特性と応用」Fragrance Journal(17)(12),23-26.
  6. “株式会社資生堂”(2004)「ヒト頬部毛穴の目立ちと肌状態」, <https://www.shiseidogroup.jp/rd/doctor/informationletter/backnumber/pdf/2004_001_02.pdf> 2019年1月31日アクセス.

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