マイクロクリスタリンワックスとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分
マイクロクリスタリンワックス
[化粧品成分表示名称]
・マイクロクリスタリンワックス

[医薬部外品表示名称]
・マイクロクリスタリンワックス

ワセリンから固体成分を分離して精製された固形状オイルです。

ワセリンから分離されるものは他に通常のパラフィンがありますが、マイクロクリスタリンワックスは主成分がイソパラフィンで白色~淡黄色の微結晶からできており、結晶形が小さく分子量が大きいです。

特徴として粘り気が強く、伸びがよく、融点が高く、他のロウに混ぜると結晶の成長を抑制したり、液体油に混ぜると液体油が分離して発汗するのを防ぐなどがあり、化粧品に配合される場合は多くのオイル成分に溶けやすいので、オイルベースの増粘剤・固形化剤として口紅などのスティック状化粧品やクリーム状化粧品などに配合されています。

実際にどのような製品にどれくらい配合されているのかというと、2002~2003年の海外の調査報告によると、

マイクロクリスタリンワックスの配合製品数と配合量の比較調査

1984年との比較としてこのようになっており、リップスティックでの使用がメインといえますが、使用製品数そのものは減少傾向にあります。

ただし、国内の配合製品数は2017年で5,000を超えているのでまだまだ主流といえそうです。

スポンサーリンク

マイクロクリスタリンワックスの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ワセリンから固体成分を分離して精製した成分で、過去に問題が器具されたこともなく、安全性・安定性はきわめて高く、毒性や刺激性もない成分です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Fossil and Synthetic Waxes」(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 205人の男女の皮膚に4.35%マイクロクリスタリンワックスを含むチークを閉塞下で適用したところ、3人が軽度の紅斑を生じたが、この刺激反応は重要ではなく、この製品が非刺激性であると結論づけた
  • [ヒト試験] 8人の被検者にマイクロクリスタリンワックスを適用した21日間の累積刺激試験では皮膚刺激は観察されなかった
  • [ヒト試験] 10人の被検者の背中に15%マイクロクリスタリンワックスを含むスティック製剤0.3mLを閉塞下で23時間適用し、23時間後にパッチを除去し部位を評価し、次のパッチを適用するという手順を21日間繰り返したところ、刺激スコア(最大スコア=630)は130となっており、この刺激スコアは軽度の累積刺激のわずかな可能性を示している
  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過傷部位の皮膚に100%マイクロクリスタリンワックス0.5gを適用したところ、わずかな紅斑および浮腫が生じた。その刺激指数(最大刺激スコア=8.0)は0.48だった
  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過傷部位の皮膚に4.35%マイクロクリスタリンワックスを含むチーク製品を24時間間隔で解放パッチ適用し、3回目の適用後に3匹の無傷の部位および1匹の擦過傷の部位に軽度の紅斑が生じたが、この紅斑は重要ではないとし、この製品はウサギの皮膚に対して非刺激性であると考えられた

と記載されています。

ヒト試験結果は共通して皮膚刺激性なしとなっているため、皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Fossil and Synthetic Waxes」(文献1:1984)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギのそれぞれの左眼に100%マイクロクリスタリンワックス0.1gを適用し、24,48および72時間後に検査したところ、6匹中5匹は刺激を示さず、1匹については24時間後にわずかな結膜紅斑および浮腫を示した
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に4.35%マイクロクリスタリンワックスを含むチーク製品0.1gを適用し検査したところ、72時間後すべてのウサギは刺激を受けなかった
  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼に15%マイクロクリスタリンワックスを含むスティック製品0.1mLを注入し、9匹中3匹を注入の30秒後に20mLの水で洗浄し、24,48,72および4日後および7日後に洗浄した眼および洗浄していない眼の両方で3.3の刺激スコア(最大刺激スコア=110)を有し、この製品が非刺激性であることを示した

と記載されています。

試験の中には最小限の紅斑を示した例もありますが、重要性は低く、結果としては共通して眼刺激性なしとなっているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Fossil and Synthetic Waxes」(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 誘導期間として25人の被検者の前腕の手のひら側に15%マイクロクリスタリンワックスを含むスティック製剤0.3gを閉塞下で48時間を5回にわたって適用し、10日間の休止後に48時間のチャレンジパッチを適用したところ、この製剤はパッチ除去直後および24時間後に接触感作を引き起こさなかった

と記載されています。

試験結果や安全性データが少なく、根拠としては弱いのですが、ワセリンから固体成分を分離してつくられる成分なので構造を考慮した場合および国内でも5,000以上の製品に使用されながら重大なアレルギーの報告がないことから、アレルギー(皮膚感作性)や毒性はほとんどないと考えられます。

光毒性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Fossil and Synthetic Waxes」(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者の背中にに15%マイクロクリスタリンワックスを含むスティック製剤を閉塞下で24時間適用し、パッチ除去後に320~400nmの範囲で照射するキセノンアークソーラーシミュレーターで12分間照射した。24および48時間後試験部位および対照部位の両方が最小限の反応を示したため、この製品には光毒性は認められなかった

と記載されています。

試験結果はひとつで根拠は弱いのですが、ワセリンから固体成分を分離してつくられる成分なので構造を考慮した場合および国内でも5,000以上の製品に使用されながら重大な光毒性の報告もないため、光毒性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
マイクロクリスタリンワックス 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、マイクロクリスタリンワックスは毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

マイクロクリスタリンワックスはベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1984)「Final Report on the Safety Assessment of Fossil and Synthetic Waxes」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818409010516> 2017年10月14日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ