ポリメタクリル酸メチルとは…成分効果と毒性を解説

感触改良 充填 皮膜形成
ポリメタクリル酸メチル
[化粧品成分表示名称]
・ポリメタクリル酸メチル

[医薬部外品表示名称]
・ポリアクリル酸アルキル

[慣用名]
・PMMA

エステルの一種であるメタクリル酸メチルの重合体(∗1)であり、非晶質(∗2)のアクリル樹脂(体質顔料)です。

∗1 重合体とは、複数の単量体(モノマー:monomer)が分子結合し、鎖状や網状にまとまって機能する多量体(ポリマー:polymer)です。

∗2 非晶質とは、原子や分子が結晶のような規則正しい構造・空間格子をつくらず、乱れた配列をしている物質の状態を指します。

ポリメタクリル酸メチルの固体材は、高い透明度を有した硬質のプラスチックであり、アクリルガラスの通称で一般的に知られています。

高い透明性および耐衝撃性を有した硬質のプラスチックであるため、無機ガラスの代用として建築や乗り物の窓材、水族館などの大型水槽や家庭用大型水槽に使用されたり、ディスプレイ、光ファイバー、レンズなど優れた光学特性を活かした用途に幅広く使用されています(文献2:1988;文献3:2017)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でメイクアップ化粧品、ネイル製品に使用されています。

感触改良

感触改良に関しては、球状で表面が平滑であることから、滑り性および展延性に優れており(文献4:-)、ファンデーション、チーク、アイペンシル、アイシャドー、口紅、化粧下地、コンシーラーなどに汎用されています。

また、マイカなど板状粉体とある割合で混合することで総合的な滑り性を改善するため(文献5:2001)、一般的に混合系としてパウダーファンデーション、パウダーチーク、パウダーアイブロー、パウダーアイシャドーなどパウダー系メイクアップ化粧品に汎用されています。

板状粉体との混合系において滑り性が向上するメカニズムは、板状粉体にある程度までポリメタクリル酸メチルを混合することで、粒子の充填性が向上し、均一充填が行われ、粒子間の凝集(∗3)・付着力は小さくなるため、よく滑り流動することが明らかにされています(文献5:2001)

∗3 凝集とは、散らばったり溶けたりしていたものが、集まって固まることです。

充填

充填に関しては、まず前提知識として充填について解説します。

充填(じゅうてん)とは、本来的には中身を詰める、隙間を埋めるという意味で用いられますが、充填剤として用いる場合は、製品の機能や効果に変化を与えることなく容量を増すために添加される物質のことをいいます。

ポリメタクリル酸メチルは、充填剤としてプレストパウダーに混合することで粒子の接触点が増加することから引っ張り破断に強くなり(文献5:2001)、その結果として製品の割れを防ぐことから(文献4:-)、プレストパウダー製品に使用されています。

皮膜形成

皮膜形成に関しては、ネイルの皮膜形成高分子としてネイルエナメルに使用されています(文献6:2015)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2008-2009年および2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ポリメタクリル酸メチルの配合製品数と配合量の調査結果(2008-2009年および2018年)

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ポリメタクリル酸メチルの安全性(刺激性・アレルギー)について

ポリメタクリル酸メチルの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-わずか
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] 52人の被検者に9.723%ポリメタクリル酸メチルを含むアイペンシル水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者も皮膚反応は認められなかった。この試験条件下においてこの試験物質は累積刺激または皮膚感作を誘発しないと結論づけられた(proDERM Institute for Applied Dermatological Research,2001)
  • [動物試験] 6匹のウサギの無傷および擦過した皮膚にポリメタクリル酸メチル0.5mLを24時間適用し、パッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、パッチ除去72時間まで浮腫は認められなかったが、6匹のうち5匹は無傷および擦過した両方の部位にわずかな赤みが観察された。皮膚一次刺激スコアは0.46であり、この試験物質は実質的に非刺激剤であると評価された(Laboratoire BIO-TOX SARL,1996)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2011)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼にポリメタクリル酸メチル(4.5-8.5μm)0.1mLを点眼し、点眼24時間後に眼を滅菌水ですすぎ、眼刺激性を評価したところ、わずかな結膜刺激(赤み、腫れ、流涙)の兆候が観察され、48時間では流涙のみ観察された。72時間で6匹のうち3匹の眼が正常に戻り、96時間ですべての眼が正常に戻った。平均眼刺激スコアは24,48,72および96時間でそれぞれ6.7,3.7,1.0および0であった。この試験物質はわずかな眼刺激性であると結論付けられた(BIO-TOX SARL,1996)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、わずかな眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激-わずかな眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

∗∗∗

ポリメタクリル酸メチルはベース成分、皮膜形成剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 皮膜形成剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2011)「Final Report of the Cosmetic Ingredient Review Expert Panel Safety Assessment of Polymethyl Methacrylate (PMMA), Methyl Methacrylate Crosspolymer, and Methyl Methacrylate/Glycol Dimethacrylate Crosspolymer」International Journal of Toxicology(30)(3_suppl),54S-65S.
  2. 川瀬 進(1988)「PMMA粒子の調整と応用」色材協会誌(61)(8),429-437.
  3. 髙坂 泰弘(2017)「変貌自在なアクリル樹脂」化学と教育(65)(5),236-237.
  4. 松本油脂製薬株式会社(-)「マツモトマイクロスフェアーMシリーズ」技術資料.
  5. 堀田 肇(2001)「粉体特性からみたベースメイクアップ化粧品の使用性と機能」日本化粧品技術者会誌(35)(2),99-106.
  6. 宇山 侊男, 他(2015)「ポリメタクリル酸メチル」化粧品成分ガイド 第6版,181.

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