ポリブテンとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 増粘 分散
ポリブテン
[化粧品成分表示名称]
・ポリブテン

[医薬部外品表示名称]
・ポリブテン

ナフサ(naphtha)を分解蒸留する際に得られるブタン・ブテン混合ガスを重合して得られる分子量500-5,500の粘稠な炭化水素(∗1)です。

∗1 炭化水素とは、炭素と水素のみからなる化合物で、化学的に極めて不活性な物質です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スティック状メイクアップ化粧品、粉状メイクアップ化粧品、乳化系スキンケア化粧品などに使用されています(文献1:1982;文献2:2016)

増粘

増粘に関しては、ポリブテンは粘性の強い炭化水素であり、他のロウや炭化水素と併用することで低温においても柔軟性を向上させるため、スティック状化粧品などに使用されます(文献3:2015;文献5:1944)

分散

分散に関しては、粉体・顔料の表面にポリブテンを付着させる親油化処理を行い、粉体・顔料の油剤中における分散性を向上させるために使用されます(文献4:2007)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1976-2015年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ポリブテンの配合製品数と配合量の比較調査結果(1982年および2001年)

ポリブテンの配合製品数と配合量の比較調査結果(1976年および2013-2015年)

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ポリブテンの安全性(刺激性・アレルギー)について

ポリブテンの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 皮膚感作性:ほとんどなし
  • 光毒性・光感作性:ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1982)によると、

  • [ヒト試験] 100人の被検者に20%ポリブテンを含む口紅製剤を対象に48時間閉塞パッチテストし、3日間観察したところ、皮膚反応は認められなかった(Testkit Labs,1976)
  • [ヒト試験] 195人および95人の被検者に15%ポリブテンを含む口紅製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激および皮膚感作反応はなかった(CTFA,1980)
  • [ヒト試験] 50人のボランティア3グループに30%または24%ポリブテンを含むリップローションを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激および皮膚感作反応は示されなかった(University of California,1974;University of California,1979)
  • [ヒト試験] 104人の被検者3.1%ポリブテンを含むリップグロスを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激および皮膚感作反応は示されなかった(Testkit Labs,1979)
  • [ヒト試験] 407人、219人、817人および25人の被検者にそれぞれ15.5-18.2%,43.81%-44.03%,30%および50%ポリブテンを含む製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、407人のうち1人の被検者に紅斑が示されたが、ほかのいずれの被検者においても皮膚刺激および皮膚感作反応は示されなかった(CTFA,1980)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1982)によると、

  • [動物試験] 5匹のウサギの片眼の結膜嚢に75%ポリブテン0.1mLを点眼し、Draize法に従って点眼1,24,48,72および96時間後および7日後に眼刺激スコア(0-110)を評価したところ、48時間までで平均眼刺激スコア3.8であり、その後はすべての刺激が消失した(Industrial Bio-Test Labs,1962)
  • [動物試験] 6匹のウサギ2群の片眼に20%ポリブテンを含む口紅ペースト0.1gを滴下し、1群は眼をすすがず、もう1群は滴下4秒後に眼をすすぎ、滴下から1,2,3および7日後に観察を行ったところ、眼をすすがなかった群では結膜への影響がみられたが7日までにすべて消失した。24,48および72時間後の平均眼刺激スコアは3.3,2.0,1.6であった。眼をすすいだ群のウサギにおいても結膜への影響がみられたが48時間後にはすべて消失した。平均Draizeスコアは3.3,0.0,0.0であった。この試験物質は洗い流すかどうかにかかわらず、軽度の一過性の刺激物であることが判明した(Food and Drug Research Labs,1976)
  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼に24%ポリブテンを含むサンプル0.1mLを注入し、Draize法に従って24,48および72時間後および7日および14日後に眼刺激スコア(0-110)を評価したところ、目をすすがなかった6匹のウサギでは平均眼刺激スコア0.222であり、点眼直後に眼を洗浄した3匹のウサギの平均眼刺激スコアは0.0であった。この結果からこの物質は無刺激剤であると結論付けられた(Applied Biological Science Lab,1979)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に44%ポリブテンを含むリップ製品0.1mLを注入し、眼をすすがず、眼刺激性を評価したところ、刺眼激性を誘発しなかった(CTFA,1980)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に30%ポリブテンを含むリップ製品0.1mLを注入し、眼はすすがず、眼刺激性を評価したところ、24時間ですべてのウサギにおいて軽度の結膜炎が観察されたが、72時間ですべての影響はなくなったため、この生成物は非刺激剤であると考えられた(CTFA,1980)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激-軽度の眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激-軽度の眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

光毒性および光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1982)によると、

  • [ヒト試験] 280,165および448人の被検者にそれぞれ15.8-18.2%,30%および43.81-44.02%濃度の3つのポリブテンを含むリップグロス製剤を対象に、150Wキセノンソーラーシミュレーター(290~400nm)を使用して光毒性および光感作試験を実施したところ、これら3つの製剤は皮膚反応を生じなかった(CTFA,1980)
  • [ヒト試験] 27人の被検者に50%ポリブテンを含むリップコンディショナーの光毒性および光感作試験を実施したところ、いずれの被検者においても皮膚反応を誘発しなかった(CTFA,1980)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

ポリブテンはベース成分、安定化成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1982)「Final Report on the Safety Assessment of Polybutene」International Journal of Toxicology(1)(4),103-118.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「炭化水素」パーソナルケアハンドブック,28.
  3. 宇山 光男, 他(2015)「ポリブテン」化粧品成分ガイド 第6版,77.
  4. 鈴木 正人 (2007)「素材面から見た化粧持ち向上技術」機能性化粧品の開発<3>,345-347.
  5. 坂部 重基 (1944)「ポリブテンの性質及用途に就て」日本ゴム協会誌(17)(6),404-411.

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