ペンチレングリコール(1,2-ペンタンジオール)とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 保湿成分
ペンチレングリコール(1,2-ペンタンジオール)
[化粧品成分表示名称]
・ペンチレングリコール

[医薬部外品表示名称]
・1,2-ペンタンジオール

グリセリンなどと同様の無色透明の多価アルコールでさっぱりした感触の保湿剤です。

抗菌性を有しておりBG(ブチレングリコール)よりはるかに低濃度(5%以下)で抗菌性を発揮するため、化粧品に配合される場合は、防腐剤のパラベン(∗1)を使いたくない化粧品やパラベンフリーと謳いたい化粧品などのベース保湿剤として配合されることが多いです。

∗1 パラベンと表現する場合は、パラベン類の中で最も皮膚刺激性や毒性が少なく、多くの化粧品に幅広く使用されているメチルパラベンのことを指します。

株式会社マンダムが防腐剤フリー処方取り組みとしてペンチレングリコールとパラベンの防腐力の比較情報を公開していたので以下に掲載しておきます。

ペンチレングリコールとパラベンの防腐力の比較

このグラフをみる限り、ペンチレングリコールがパラベンとほぼ同等の防腐力を有していることが明らかにされています。

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ペンチレングリコールの安全性(刺激性・アレルギー)について

ペンチレングリコールの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性はほとんどなく、アレルギー(皮膚感作性)の陽性反応の報告もほとんどないので、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、ごくまれに接触性皮膚炎のようなアレルギー反応が起こることがあるので、使用前にパッチテスト推奨です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内海外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of 1,2-Glycols as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 101名の被検者に0.112%ペンチレングリコールを含むファンデーション0.2gの半閉塞性パッチを背中に24時間塗布したところ、皮膚刺激なしと結論付けられた

BASFの安全データシート(文献2:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いてOECDテストガイドライン404による皮膚刺激性の判定を行ったところ、皮膚刺激性なし

と記載されています。

株式会社マンダムでも、刺激性に関して防腐剤のパラベンと比較グラフを公開しているので以下に掲載しておきます。

ペンチレングリコールとパラベンの皮膚刺激感比較グラフ

グラフをみる限り、刺激性はほとんどなくパラベンの代わりまたはパラベンの使用量を減らすためにペンチレングリコールの使用が増えている背景も納得できます。

共通して皮膚刺激性なしと記載されているため、皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of 1,2-Glycols as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [動物試験] 3.0%ペンチレングリコールを含むゲルをウサギの眼に適用したところ、わずかな眼刺激性あり

BASFの安全データシート(文献2:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いてOECDテストガイドライン405による眼刺激性の判定を行ったところ、重大な損傷または眼刺激性あり

と記載されています。

刺激度は様々ですが、共通して眼刺激性ありと記載されており、軽度~重大な損傷にいたるまで様々な目刺激性があると考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of 1,2-Glycols as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • [ヒト試験] 101名の被検者に0.112%ペンチレングリコールを含むファンデーション0.2gの半閉塞性パッチを背中に24時間塗布したところ、皮膚感作性なしと結論付けられた

BASFの安全データシート(文献2:2016)によると、

  • 皮膚感作性に関するエビデンスはない

アレルギーの個別事例として以下のようなケースが報告されています。

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of 1,2-Glycols as Used in Cosmetics」(文献1:2012)によると、

  • 68歳のアトピーでない女性がペンチレングリコールを含むアイクリームを使用した後、顔に皮膚炎を発症したため、パッチテストを行ったところ陽性であり、0.5%および5%ペンチレングリコールに対しても陽性だったが、29人の被検者において0.5%および5%ペンチレングリコールに対する反応は陰性だった

“肌のクリニック院長の肌ブログ”の「肌に優しい化粧品のはずなのに荒れてしまう原因」(文献3:2017)という記事によると、

  • アトピー性皮膚炎の肌が極度に敏感な患者が化粧品や洗顔で肌の調子が悪くなると訴えたため、パッチテストを行うとメチルパラベンやフェノキシエタノールなどの防腐剤は陰性でしたが、ペンチレングリコールなどの多価アルコールや保湿成分のベタインで陽性だった

と記載されています。

皮膚感作試験や安全データをみる限りでは、皮膚感作なしと結論付けられていますが、個別ケースをみるとアレルギー性皮膚炎のありなしにかかわらず陽性反応がでてるため、アレルギー(皮膚感作性)が起こる可能性は低いですが、ごくまれに皮膚炎などのアレルギーが起こる可能性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ペンチレングリコール

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ペンチレングリコールは■(∗3)となっており、やや毒性ありという判定ですが、安全性試験の判定基準では皮膚刺激性や皮膚感作性もほとんどなく、安全性の高い成分だと考えられます。

ただし、ごくまれに接触性皮膚炎のような症状を引き起こすことがあるので、敏感肌やアレルギーをもっている方はパッチテストを行ってからの使用をおすすめします。

∗3  毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ペンチレングリコールはベース成分と保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 保湿成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2012)「Safety Assessment of 1,2-Glycols as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581812460409> 2017年10月3日アクセス.
  2. BASF(2016)「安全データシート」, <https://worldaccount.basf.com/wa/AP~en_GB/Catalog/Cosmetics/doc4/BASF/PRD/30626401/.pdf?asset_type=msds/pdf&language=JA&validArea=JP&urn=urn:documentum:ProductBase_EU:09007af88038834e.pdf> 2017年10月3日アクセス.
  3. “肌のクリニック院長の肌ブログ”(2017)「肌に優しい化粧品のはずなのに荒れてしまう原因」, <https://nikibi.koenji.clinic/archives/1809> 2017年10月3日アクセス.

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