ベヘン酸とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 安定化成分 光沢
ベヘン酸
[化粧品成分表示名称]
・ベヘン酸

[医薬部外品表示名称]
・ベヘニン酸

ナタネ油を加水分解後に蒸留精製して得られる、化学構造的に炭素数:二重結合数がC22:0で構成された高級脂肪酸(飽和脂肪酸)です。

高級脂肪酸とは、化学構造的に炭素数12以上の脂肪酸のことをいい、炭素数が多いとそれだけ炭素鎖が長くなるため、長鎖脂肪酸とも呼ばれます。

また直鎖で炭素鎖が長いほど(炭素数が大きいほど)融点(∗1)が高くなりますが、オレイン酸は1つの二重結合があり、直鎖ではなく二重結合部を頂点とした山なりに曲がったような化学構造になるため、融点は直鎖より低く、81.5℃です(文献1:2016)

∗1 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。

高級脂肪酸は、以下の表のように大きく2種類に分類され、

  飽和脂肪酸 不飽和脂肪酸
化学結合 すべて単結合(飽和結合) 二重結合や三重結合を含む(不飽和結合)
含有油脂 動物性油脂に多い 植物性油脂に多い
常温での状態 固体(脂) 液体(油)
融点 高い 低い
酸化安定性 高い 比較的低い

化学構造的に二重結合(不飽和結合)の数が多いほど酸化安定性が低くなりますが、ベヘン酸は化学構造的にすべて単結合(飽和結合)で構成された飽和脂肪酸であり、酸化安定性の高い脂肪酸です(文献2:1997)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディ&ハンドケア製品、洗顔料&洗顔石鹸、日焼け止め製品、洗浄製品など様々な製品に使用されます(文献1:2016)

乳化物の耐温性向上・安定化作用

乳化物の耐温性向上・安定化作用に関しては、ベヘン酸はアルキル基(親油基)が大きいにもかかわらず抱水性が優れており、それに起因した作用となり(文献3:1997)、クリームや乳液などをはじめとする乳化物に使用されます。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2016年-2018年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ベヘン酸の配合製品数と配合量の調査結果(2016-2018年)

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ベヘン酸の安全性(刺激性・アレルギー)について

ベヘン酸の現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

10年以上の使用実績があり、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

ベヘン酸はベース成分、安定化成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 安定化成分

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文献一覧:

  1. 日光ケミカルズ(2016)「脂肪酸および有機酸」パーソナルケアハンドブック,33.
  2. 広田 博(1997)「脂肪酸の組成と分類」化粧品用油脂の科学,60-64.
  3. 広田 博(1997)「飽和脂肪酸」化粧品用油脂の科学,64-68.

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