ヘーゼルナッツ種子油とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分
ヘーゼルナッツ種子油
[化粧品成分表示名称]
・ヘーゼルナッツ種子油(改正名称)
・ヘーゼルナッツ油(旧称)

[医薬部外品表示名称]
・ヘーゼルナッツ油

[慣用名]
・ヘーゼルナッツオイル

カバノキ科植物ヘーゼルナッツ(学名:Corylus avellana 英名:Hazelnut)の種子から得られる植物油(植物オイル)です。

ヘーゼルナッツは、セイヨウハシバミとも呼ばれており、温帯アジアからヨーロッパ南部および北米と広い地域を原産とし、現在は主にトルコ、イタリア、アメリアなどで栽培されています。

ヘーゼルナッツ種子油の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%) 備考
パルミトレイン酸 不飽和脂肪酸 C16:1 24.0  
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 41.9  
エイコセン酸 不飽和脂肪酸 C20:1 11.3 アラキジン酸と合計で11.3%
エルカ酸 不飽和脂肪酸 C22:1 9.7 ベヘン酸と合計で9.7%
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 8.9  
リノレン酸 不飽和脂肪酸 C18:3 1.8  
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 2.3  
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 1.3  
アラキジン酸 飽和脂肪酸 C20:0 11.3 エイコセン酸と合計で11.3%
ベヘン酸 飽和脂肪酸 C22:0 9.7 エルカ酸と合計で9.7%

このような種類と比率で構成されています(文献2:1997)

オレイン酸が約40%、パルミトレイン酸が約25%を占めており、オレイン酸およびパルミトレイン酸はどちらも二重結合が1つのみの不飽和脂肪酸であるため、酸化安定性は比較的高いと考えられます。

ヘーゼルナッツ種子油はオレイン酸に次いでパルミトレイン酸を約25%含有している点でマカデミア種子油と類似した脂肪酸粗製であり、その点でヒト皮脂の脂肪酸組成に類似しているため、皮膚に馴染みやすいのが特徴で、またパルミトレイン酸は若い皮膚には多く含まれていますが、30代より加齢とともに減少していくことが報告されています(文献3:1989)

ヨウ素価は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類
80-90 不乾性油

一例としてこのように記載されており(文献2:1997)、100以下の不乾性油のため、乾燥性はほとんどありません。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディケア製品、リップ製品、ヘアケア製品、ネイル製品などに広く使用されます(文献2:1997)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、オレイン酸を約40%、パルミトレイン酸を約25%含有し、ヒト皮脂の脂肪酸組成に類似しているため、皮膚への浸透性が高く、また皮膚親和性と展延性(∗1)に優れているためベタつきがなく軽い感触を付与します(文献2:1997)

∗1 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ヘーゼルナッツ種子油の配合製品数と配合量の調査(2010年)

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ヘーゼルナッツ種子油の安全性(刺激性・アレルギー)について

ヘーゼルナッツ種子油の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • アクネ菌増殖性:ほとんどなし。ただし皮脂分泌のわずかな増加の可能性あり

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者に1%ヘーゼルナッツ種子油を含む保湿クリームをDraize法に基づいてパッチテストしたところ、非刺激性であった(Biobasic Europe,2009)
  • [ヒト試験] 32人の被検者に1%ヘーゼルナッツ種子油を含む保湿クリームを臨床試験において60日蓮用したところ、非刺激性であった(Biobasic Europe,2009)
  • [ヒト試験] 107人の被検者に5%ヘーゼルナッツ種子油を含むマッサージオイル0.2mLをHRIPT(皮膚累積刺激&感作試験)を半閉塞パッチ下で実施したところ、1人の被検者において7回目の誘導パッチの後にわずかな紅斑が観察されたがその後はみられず、またほかのいずれの被検者も皮膚反応はなく、皮膚刺激剤または皮膚感作剤ではなかった(Institut D’Expertise Clinque,2008)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

コメドジェニシティ(ニキビの原因となるアクネ菌の増殖促進性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [動物試験] ウサギの耳表面にヘーゼルナッツ種子油(pH6)0.1mLを適用するコメド形成能試験を実施したところ、局所刺激はみられなかったものの顕微鏡検査において毛嚢脂腺および毛包の数や大きさのわずかな違いがみられ、わずかな皮脂の分泌過剰が観察された(30)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、毛嚢脂腺や毛包のわずかな数や大きさの増加によるわずかな皮脂の分泌増加が報告されているため、皮脂分泌がわずかに増加する可能性があると考えられます。

∗∗∗

ヘーゼルナッツ種子油はエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
  2. 広田 博(1997)「不乾性油」化粧品用油脂の科学,18-26.
  3. 伊藤 正次(1989)「マカデミアナッツ油の特性と応用」Fragrance Journal(17)(12),23-26.

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