フェニルトリメチコンとは…成分効果と毒性を解説

ベース 皮膜形成 光沢 分散 溶剤
フェニルトリメチコン
[化粧品成分表示名称]
・フェニルトリメチコン

[医薬部外品表示名称]
・メチルフェニルポリシロキサン

化学構造的にポリシロキサン構造の側鎖の1つをフェニル基としたフェニル変性シリコーンです。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ヘアケア製品、メイクアップ化粧品、ヘアスタイリング製品などに使用されています(文献1:1986;文献4:2014)

皮膜形成

皮膜形成に関しては、撥水性(∗1)および潤滑性に優れたツヤのある被膜を形成し、滑らかな仕上がりの感触を付与するため、スキンケア化粧品、ヘアケア製品に使用されています(文献2:2015;文献3:2012)

∗1 撥水性とは水をはじく性質のことです。

光沢付与

光沢付与に関しては、化学構造的にフェニル基があることで屈折率が高く、ツヤのある保護皮膜を形成することから、スキンケア化粧品、ヘアケア製品、ヘアスタイリング製品に使用されています(文献2:2015;文献3:2012;文献4:2014)

分散

分散に関しては、極性のある有機成分との相溶性に優れており、各種表面処理粉体を分散させる効果があることから、日焼け止め製品、メイクアップ化粧品など粉体の均一な分散を必要とする製品に使用されています(文献2:2015)

溶剤

溶剤に関しては、シリコーンおよびその他の油剤を溶かし込む目的で使用されています。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1986年および2002-2004年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

フェニルトリメチコンの配合製品数と配合量の調査結果(1986年および2002-2004年)

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フェニルトリメチコンの安全性(刺激性・アレルギー)について

フェニルトリメチコンの現時点での安全性は、

  • 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚一次刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚累積刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-わずか
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1986)によると、

  • [ヒト試験] 50人の被検者に100%フェニルトリメチコンを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、この試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた(Industrial Bio-Test Laboratories,1966)
  • [ヒト試験] 10人の被検者8群(合計80人)に10%フェニルトリメチコンを含む17種類の製品を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、最も高い総合スコア(0-256)は5.0であり、個別の最も高い一次刺激スコア(0.0-8.0)は1.0であった。この結果から10%フェニルトリメチコンを含む製品は最小限の刺激性だと考えられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1981;1982;1983)
  • [ヒト試験] 189人の被検者に5%フェニルトリメチコンを含むファンデーションを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激および皮膚感作は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1983)
  • [ヒト試験] 239人の被検者に2.5%フェニルトリメチコンを含む保湿剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激および皮膚感作は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1983)
  • [ヒト試験] 9人の被検者に2.5%フェニルトリメチコンを含む保湿剤を対象に21日間累積刺激性試験を閉塞パッチにて実施したところ、累積刺激スコア(0-630)は13であり、本質的に累積刺激剤ではないとみなされた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1981)

– 個別事例 –

  • [個別事例] 64歳の女性は日焼け止め製品を定期的に使用し始めてから4週間後に接触性皮膚炎を発症した。日焼け止め製品の個々の成分をパッチ試験したところ、72時間でワセリン中の2%フェニルトリメチコンに反応した。この混合物で試験した5人の対照被検者は反応を示さなかった(E K Edwards Jr,1984)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、個別事例として1例の感作報告はあるものの、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1986)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギに100%フェニルトリメチコン0.1mLを適用し、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、OII(Ocular Irritation Index:眼刺激性指数)は0-110のスケールで24時間で21であり、それ以降は0であった。この試験物質は非刺激剤に分類された(Industrial Bio-Test Laboratories,1966)
  • [動物試験] 6匹のウサギに10%フェニルトリメチコンを含む製剤0.1mLを適用し、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、刺激反応はみられず、この試験物質は眼刺激剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1982)
  • [動物試験] 6匹のウサギに10%フェニルトリメチコンを含む製剤0.1mLを適用し、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、刺激反応はみられず、この試験物質は眼刺激剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1982)
  • [動物試験] 6匹のウサギに10%フェニルトリメチコンを含む製剤0.1mLを適用し、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、刺激反応はみられず、この試験物質は眼刺激剤ではなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1982)
  • [動物試験] 6匹のウサギに5%フェニルトリメチコンを含むクリームファンデーション0.1mLを適用し、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、わずかな結膜炎が観察された。角膜や虹彩には刺激の兆候はみられなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1983)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激-わずかな結膜炎が報告されているため、眼刺激性は非刺激-わずかな刺激を起こす可能性があると考えられます。

光感作性について

フェニルトリメチコンは、327nm(UVA波長領域:320-400nm)に弱い吸光度しか示さないため、光感作性試験データが必要であるとは考えられていません(文献1:1986)

∗∗∗

フェニルトリメチコンはベース成分、皮膜形成剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 皮膜形成剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1986)「Final Report on the Safety Assessment of Phenyl Trimethicone」Journal of the American College of Toxicology(5)(5),353-371.
  2. 宇山 光男, 他(2015)「フェニルトリメチコン」化粧品成分ガイド 第6版,76.
  3. 鈴木 一成(2012)「メチルフェニルポリシロキサン」化粧品成分用語事典2012,626.
  4. 堀江 豊(2014)「シリコーンヘアコンディショニング剤」化粧品の安全・安心の科学 -パラベン・シリコーン・新原料,128-136.

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