ピーナッツ油(落花生油)とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分
ピーナッツ油(落花生油)
[化粧品成分表示名称]
・ピーナッツ油

[医薬部外品表示名称]
・ラッカセイ油、ピーナツ油

[慣用名]
・ピーナッツオイル、落花生油

マメ科落花生の種子を圧搾して得られる淡黄色の液体油脂です。

ピーナッツ油の原料であるラッカセイは南米が原産で、現在は、インド、中国、米国、アフリカなどで栽培されています。

ピーナッツ油は、マメ科に属しており、地中に少し潜ったところにさやがなり、各さやには2~4個の実が入っています。

CIRの調査レポート(文献2:2011)によると、ピーナッツ油の脂肪酸組成は、

  • オレイン酸(不飽和脂肪酸類):33.3~76%
  • リノール酸(不飽和脂肪酸類):8~47.5%
  • パルミチン酸(飽和脂肪酸類):5~16%
  • ステアリン酸(飽和脂肪酸類):1~6.5%
  • ベヘン酸(飽和脂肪酸類):1~5%
  • エイコサジエン酸(不飽和脂肪酸類):0.33~3%
  • リグノセリン酸(飽和脂肪酸類):0.2~3%
  • アラキジン酸(飽和脂肪酸類):0.17~3%
  • エルカ酸(不飽和脂肪酸類):0.5%
  • リノレン酸(不飽和脂肪酸類):0~0.6%

となっており、ヨウ素価74~107となっています。

ピーナッツ油は、消化管の鎮静作用があり、胃潰瘍や腸潰瘍の解消を助けたり、ビタミンAとビタミンEの含有量から不妊症対策の補助剤であることも示しています。

外用としては火傷に有効で、スキンケアとしてはオリーブ果実油やアーモンド油と同等のエモリエント効果や浸透性があります。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

ピーナッツ油の配合製品数と配合量の調査

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ピーナッツ油の安全性(刺激性・アレルギー)について

ピーナッツ油の現時点での安全性は、皮膚刺激性および眼刺激性はほとんどなく、精製されたものに限ってはピーナッツアレルギーであってもアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、未精製のものや粗製されたものは、ピーナッツアレルギーや金属アレルギーの方にアレルギーが生じる可能性が高くなるので使用は控えることをおすすめします。

製品に配合されているアーモンド油が精製されたものかそうでないのか(アレルギーが起こる可能性があるのかないのか)は製品を取り扱っている各販売先またはメーカーにお問い合わせください。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Peanut (Arachis Hypogaea) Oil, Hydrogenated Peanut Oil, Peanut Acid, Peanut Glycerides, and Peanut (Arachis Hypogaea) Flour」(文献1:2001)によると、

  • [ヒト試験] 50人の被検者に未希釈のピーナッツ油を48時間パッチ適用し、パッチ除去30分後,72,96および120時間後に試験部位を評価したところ、被検者の10%未満(人数の詳細は不明)で陽性反応が認められたが、ピーナッツ油は陰性に分類された
  • [ヒト試験] 5人の被検者の擦過した皮膚にUSP(米国薬局)グレードのピーナッツ油をアルミニウムチャンバーを介して3日間毎日閉塞適用し、最後のパッチ除去30分後に0~4のスケールでスコアリングしたところ、ピーナッツ油の平均刺激スコアは0~0.4で、非刺激性に分類された(Frosch and Kligman,1977)

“Cosmetic Ingredient Review”の「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] ピーナッツに敏感な14人の被検者(子ども8人、大人6人)に精製した0.01%ピーナッツ油を含む皮膚外用剤を皮膚に1滴たらし、検査用の針を皮膚の表面に押し当てて、15分後に反応を観察したところ、1人の子どもの被検者に陽性反応がみられた
  • [ヒト試験] ピーナッツに敏感な14人の被検者(子ども8人、大人6人)に精製した0.01%ピーナッツ油を含む皮膚外用剤をパッチテストしたところ、皮膚反応はなかった

と記載されています。

試験結果では、共通して皮膚刺激がないため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Peanut (Arachis Hypogaea) Oil, Hydrogenated Peanut Oil, Peanut Acid, Peanut Glycerides, and Peanut (Arachis Hypogaea) Flour」(文献1:2001)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギのケトコナゾール(抗真菌薬)の眼毒性を試験するため、それぞれのウサギの片眼に1%,3%または5%ケトコナゾールを含むピーナッツ油を処置し、もう片方の眼は希釈していないピーナッツ油のみで毎日6時間連続で3週間適用したところ、ピーナッツ油のみの眼では最大眼刺激スコア156のうち3,3,1のスコアであり(3つの濃度のケトコナゾールについての3つの対照として)、非刺激性だと結論付けられた(Oji,1982)

と記載されています。

試験結果はひとつですが、非刺激性と結論づけられており、試験において対照としても使用されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Peanut (Arachis Hypogaea) Oil, Hydrogenated Peanut Oil, Peanut Acid, Peanut Glycerides, and Peanut (Arachis Hypogaea) Flour」(文献1:2001)によると、

  • ピーナッツに対して非常に感受性の高い5人の血清を用いて様々なピーナッツ製品のアレルギー潜在力を試験した。アレルギー性は、ピーナッツ製品による固相ピーナッツアレルゲンへの血清IgEの結合阻害によって実証された。ピーナッツ粉の脱脂抽出物、ピーナッツバターを含む試料、生および炒めたピーナッツ製品はすべてアレルギー性であったが、ピーナッツ油および加水分解ピーナッツタンパク質はアレルギー誘発性を有していなかった(Nordlee et al.,1981)
  • [ヒト試験] ピーナッツ感受性の高い10人の患者に二重盲検クロスオーバー試験を行ない、ピーナッツ油のアレルギーの可能性を評価した。すべての患者はピーナッツ油およびオリーブ油(対照)の両方に対するプリックテストで陰性であった。患者はその後1,2および5mLのピーナッツ油およびオリーブ油(カプセル形態)を30分間隔で摂取し、2週間後に以前ピーナッツ油8mLを受けた患者はオリーブ油を与え、オリーブ油を受けた患者にはピーナッツ油を与えたところ、皮膚感作作用は認められなかった(Taylor et al.,1981)
  • [ヒト試験] 様々な精製および未精製ナッツおよび粗ナッツ抽出物のIgE結合能力を試験した。ナッツまたはピーナッツアレルギーおよびアナフィラキシーの病歴よりも高いIgEスコアを有する患者由来の血清に対して試験し、陰性対照として食物アレルギーのないアトピー患者の血清を使用した。ピーナッツ抽出物(タンパク質濃度9,000μg/mL)はIgEと結合し、最も反応性の高いタンパク質として分類された。2つの最小限処理したピーナッツ油(それぞれタンパク質濃度11μg/mL)は試験において陽性であった。タンパク質濃度6および3μg/mLの精製、漂白および脱臭されたピーナッツ油は試験において陰性で、IgE結合は非常に軽いものであった(Teuber, Brown, and Haapanen,1997)
  • [ヒト試験] ピーナッツに対して陽性反応を示した62人の被検者に精製または粗製のピーナッツ油1,5および10mLと用量を増やしてパン、豆乳、プディングと混ぜて提供し、症状の発現を観察するため投与量の間に10~15分の間隔をおいたところ、いずれの被検者もピーナッツ油への感作反応はなかった(Hourihane et al.,1997)

と記載されています。

試験結果によると、精製されたピーナッツ油は皮膚感作性なしと報告されていますが、未精製および最小の精製度合いの場合はピーナッツアレルギーを有するヒトに感作反応が起こるため、精製されたピーナッツ油は皮膚感作性(アレルギー性)がほとんどありませんが、未精製および精製度合いが低いピーナッツ油はピーナッツアレルギーを有するヒトに感作反応が起こると考えられます。

また、金属アレルギーの方でとくにニッケルアレルギー(∗2)の方は未精製および精製度合いが低いピーナッツ油でアレルギーが起こる可能性があるので注意が必要です。

∗2 ニッケルというのは金属の種類で、金属アレルギーの多くはニッケル、クロム、コバルトのいずれか、または複数のアレルギーであることが多いです。

なぜかというと、以下の日本皮膚科学会接触皮膚炎診療ガイドライン(文献3:2009)をみてもらうとわかるように、

ピーナッツのニッケル含有量

Niと書いてあるのがニッケルなのですが、ニッケルというのは金属の一種で、画像をみるとニッケルが基準値の60を超えて820とダントツに高い数字になっており、アレルギーを起こしやすいと考えられるからです。

ピーナッツ油が精製されたものか粗製なのか、または未精製なのか、つまりアレルギーが起こる可能性があるかどうかはピーナッツ油を配合している各メーカーに直接問い合わせてください。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ピーナッツ油 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ピーナッツ油は毒性なし(∗3)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ピーナッツ油はベース成分とエモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2001)「Final Report on the Safety Assessment of Peanut (Arachis Hypogaea) Oil, Hydrogenated Peanut Oil, Peanut Acid, Peanut Glycerides, and Peanut (Arachis Hypogaea) Flour」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810160233776> 2017年11月18日アクセス.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(2011)「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR577.pdf> 2017年11月18日アクセス.
  3. 日本皮膚科学会(2009)「接触皮膚炎診療ガイドライン」, <http://www.jsdacd.org/html/contact_dermatitis_guideline.pdf> 2017年11月18日アクセス.

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