ピーナッツ油とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分
ピーナッツ油
[化粧品成分表示名称]
・ピーナッツ油

[医薬部外品表示名称]
・ラッカセイ油
[慣用名]
・落花生油、ピーナッツオイル

マメ科植物ラッカセイ(学名:Arachis hypogaea 英名:peanut)の種子から得られる植物油(植物オイル)です。

落花生は、南米のボリビア南部を原産とし、世界中で栽培されており、日本には17世紀末ごろに中国から伝来したが普及せず、明治初期に導入されたものが千葉県、茨城県などで栽培されています。

落花生から搾油したピーナッツ油は良質な植物油として食用、加工食品用、工業用などに利用されています。

成分としては、主な脂肪酸としてオレイン酸とリノール酸を含有しており、そのほかビタミンB群やE、コリン、レシチン、トリテルペノイド系サポニンが含まれます(文献6:2011)

ピーナッツ油の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
パルミトレイン酸 不飽和脂肪酸 C16:1 0.1
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 41.6
エイコセン酸 不飽和脂肪酸 C20:1 1.1
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 36.7
リノレン酸 不飽和脂肪酸 C18:3 1.8
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 11.7
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 3.4
アラキジン酸 飽和脂肪酸 C20:0 0.2
ベヘン酸 飽和脂肪酸 C22:0 3.0

このような種類と比率で構成されています(文献2:1990)

オレイン酸が約40%、リノール酸が約35%を占めており、二重結合が2つ以上の不飽和脂肪酸であるリノール酸の含有量が高いため、酸化安定性は低いと考えられます。

またヨウ素価は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類
82-109 不乾性油

一例としてこのように記載されており(文献3:1990)、100以下の不乾性油のため、乾燥性はほとんどありません。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディケア製品、リップ製品、ヘアケア製品、ネイル製品などに広く使用されます(文献5:1997)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、オリーブ果実油と同程度の浸透性を有しており、不乾性油にしてはリノール酸の含有量が多いため、ややさっぱりした肌親和性の高いエモリエント剤です(文献4:1997)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1998年および2010年の比較調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ピーナッツ油の配合製品数と配合量の調査(1998年および2010年)

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ピーナッツ油の安全性(刺激性・アレルギー)について

ピーナッツ油の現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2001)によると、

  • [ヒト試験] 50人の健常な被検者の背中に未希釈のピーナッツ油を48時間パッチ適用し、パッチ除去30分後に皮膚刺激性を評価したところ、皮膚反応はみられず陰性に分類された(Motoyoshi et al,1979)
  • [ヒト試験] 5人の被検者の擦過した皮膚にUSP(米国薬局)グレードのピーナッツ油100μLをアルミニウムチャンバーを介して3日間毎日閉塞適用し、最後のパッチ除去30分後に0-4の刺激スコアで評価したところ、ピーナッツ油の平均刺激スコアは0-0.4で、ピーナッツ油は非刺激性に分類された(Frosch and Kligman,1977)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して刺激性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2001)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギのケトコナゾール(抗真菌薬)の眼毒性を試験するため、それぞれのウサギの片眼に1%,3%または5%ケトコナゾールを含むピーナッツ油を処置し、もう片方の眼は希釈していないピーナッツ油のみで毎日6時間連続で3週間適用したところ、ピーナッツ油のみの眼では最大眼刺激スコア156のうち3,3,1のスコアであり(3つの濃度のケトコナゾールについての3つの対照として)、非刺激性だと結論付けられた(Oji,1982)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されているため、一般的に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

– ピーナッツに過敏な皮膚を有する場合 –

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2001;文献2:2017)によると、

  • [ヒト試験] ピーナッツに過敏な皮膚を有する10人の患者に皮膚感作試験として、ピーナッツ油を皮膚に1滴垂らし、検査用の針を皮膚の表面に押し当てて、15分後に反応を観察するプリックテストを実施したところ、すべての患者はピーナッツ油およびオリーブ油(対照)の両方で陰性であった。患者はその後1,2および5mLのピーナッツ油およびオリーブ油(カプセル形態)を30分間隔で摂取し、2週間後の休息期間を設けた後に以前ピーナッツ油8mLを摂取した患者はオリーブ油を、オリーブ油を摂取した患者はピーナッツ油を摂取したところ、皮膚感作反応は認められなかった(Taylor et al,1981)
  • [ヒト試験] ピーナッツに対して陽性反応を示した62人の被検者に精製または粗製のピーナッツ油1,5および10mLと用量を増やしてパン、豆乳、プディングと混ぜて提供し、症状の発現を観察するため投与量の間に10~15分の間隔をおいたところ、いずれの被検者も精製ピーナッツ油への感作反応はなかった(Hourihane et al,1997)
  • [ヒト試験] ピーナッツに過敏な14人の被検者(成人6人、子ども8人)に0.01%精製ピーナッツ油を含む皮膚科処方製剤をパッチテストしたところ、皮膚反応はみられなかった(Yunginger JW,2001)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、ピーナッツに過敏な場合において、精製ピーナッツ油は共通して皮膚感作性なしと報告されているため、精製ピーナッツ油において皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

食品としては、落花生(ピーナッツ)はアレルギー反応を起こす可能性が高い食品のひとつですが、化粧品用ピーナッツ油は精製によってアレルゲンが除去されており、精製ピーナッツ油はピーナッツに過敏な場合でも陰性であることが報告されています(文献1:2001;文献2:2017)

一方で未精製のものや粗製(よく精製されていない)のものはアレルゲンを含んでいる場合があるため、ピーナッツにアレルギーを有する場合は注意が必要です。

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ピーナッツ油はエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2001)「Final Report on the Safety Assessment of Peanut (Arachis Hypogaea) Oil, Hydrogenated Peanut Oil, Peanut Acid, Peanut Glycerides, and Peanut (Arachis Hypogaea) Flour」International Journal of Toxicology(20)(2),65-77.
  2. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
  3. 日本油化学協会編集(1990)「植物油脂の脂肪酸組成」油化学便覧 改訂3版,104-110.
  4. 日本油化学協会編集(1990)「植物油脂の性状」油化学便覧 改訂3版,99-101.
  5. 広田 博(1997)「不乾性油」化粧品用油脂の科学,18-26.
  6. 鈴木 洋(2011)「落花生(らっかせい)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,477.

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