ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分
ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2
[化粧品成分表示名称]
・ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2

[医薬部外品表示名称]
・アジピン酸ジグリセリル混合脂肪酸エステル

高級脂肪酸であるカプリル酸、カプリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸およびヒドロキシステアリン酸の混合ジグリセリルとアジピン酸を結合したラノリン様のエステル油です。

酸化安定性が高く、適度な抱水性を有しており、ツヤ向上効果と顔料分散性に優れているため、主に口紅、リップグロス、アイシャドーなどのペンシル系メイクアップ化粧品に配合されます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の2017年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2の配合製品数と配合量の調査結果(2012年)

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ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2の現時点での安全性は、皮膚刺激はほとんどなく、軽度の眼刺激性が起こる可能性があるものの、皮膚感作性(アレルギー性)もなく、ノンコメドジェニック(∗1)であるため、安全性の高い成分であると考えられます。

∗1 ノンコメドジェニックというのは、ニキビの原因となるアクネ菌を増殖させる成分を含んでいないことを意味します。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Bis-Diglyceryl Polyacyladipate-2 and Bis-Diglyceryl Polyacyladipate-1 as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると

  • [ヒト試験] 44人の被検者の無傷の腕に5%ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を含むワセリンを24時間閉塞パッチで単回適用したところ、皮膚刺激は観察されなかった
  • [ヒト試験] アトピー性皮膚炎7人と皮膚過敏症5人を含む50人の被検者の背中に未希釈のビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を2mg/c㎡閉塞パッチで48時間適用し、パッチ除去24時間後に試験部位を評価したところ、1人の被検者は明確な紅斑が観察されたが、24時間後には正常に回復していたが、この反応は有意な刺激性であると判断された
  • [動物試験] 3匹のウサギの剃毛した背中の8×15cmの領域にビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を2,000mg/kg用量で4時間半閉塞パッチ適用し、パッチ除去0.5~72時間にさまざまな間隔で刺激の兆候を検査したところ、紅斑または浮腫は観察されず、非刺激性だと結論付けられた
  • [動物試験] 3匹のモルモットの剃毛した脇腹に5%および40%ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を含むワセリンを1日1回3日間連続適用し、試験部位を各適用24時間後にスコアリングしたところ、最大累積刺激スコア4のうち累積刺激スコアは5%で1.2、40%で1.3であった

開発元のCREMERの安全データシート(文献2:2013)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いたOECD404テストガイドラインに基づいた皮膚刺激試験において、非刺激性であった

と記載されています。

試験では、軽度の累積刺激の報告があるものの、多くの結果で非刺激性と結論づけられており、単一刺激はほとんどなく、軽度の累積刺激が起こる可能性があると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Bis-Diglyceryl Polyacyladipate-2 and Bis-Diglyceryl Polyacyladipate-1 as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼の結膜嚢に未希釈のビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を0.1mL点眼し、72時間まで眼を検査したところ、最大眼刺激スコア4のうち2で軽度の結膜刺激が観察された。全ての刺激は5日後には正常に戻った

開発元のCREMERの安全データシート(文献2:2013)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いたOECD405テストガイドラインに基づいた眼刺激試験において、非刺激性であった

と記載されています。

試験結果はによると、非刺激~軽度の眼刺激性が報告されているため、軽度の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Bis-Diglyceryl Polyacyladipate-2 and Bis-Diglyceryl Polyacyladipate-1 as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると

  • [ヒト試験] 102人の被検者に36%ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を含む口紅製剤0.1mLを誘導期間において2×2cmの閉塞パッチで48~72時間適用し、週3回3週間連続で繰り返した。10~15日間の無処置期間を経て48時間チャレンジパッチを同じ試験部位に適用し、パッチ除去後に評価したところ、1人の被検者は誘導期間の4~7回目のパッチで中等の紅斑を有したが、チャレンジ期間にはほかの反応は観察されなかったため、刺激剤および増感剤ではないと結論づけられた
  • [動物試験] 20匹のモルモットの剃毛した肩4×6cm領域に事前に5%ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を皮内注射し、その後誘導期間として25%ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を含むワセリンを48時間閉塞パッチ適用し、14日の休息期間を経て、チャレンジパッチとして未処置部位に25%試験物質を24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に評価したところ、Maximization試験(GPMT)において非感作に分類された

開発元のCREMERの安全データシート(文献2:2013)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いたOECD406テストガイドラインに基づいた皮膚感作Maximization試験において、非感作性であった

と記載されています。

試験結果は共通して非感作性と報告されているため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

コメドジェニシティ(ニキビの原因となるアクネ菌の増殖促進性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Bis-Diglyceryl Polyacyladipate-2 and Bis-Diglyceryl Polyacyladipate-1 as Used in Cosmetics」(文献1:2013)によると

  • [動物試験] 4匹のウサギの右耳にビスジグリセリルポリアシルアジペート-2(0.5mL)を毎日1回、週5日4週間連続で適用したところ、初期適用後に4匹すべての耳においてコメドに広がる目視で確認できる角化症の増加が観察されたが、初期以外のすべての試験日でコメドジェニックスコアは0であり、試験物質はノンコメドジェニックであると判断された

と記載されています。

試験では、初期において角化症の増加がみられたものの、その後は症状はみられず、コメドジェニックではないと報告されているため、ノンコメドジェニックであると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2は毒性なし(∗3)となっており、毒性はほとんどないと考えられます。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2はベース成分、エモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2013)「Safety Assessment of Bis-Diglyceryl Polyacyladipate-2 and Bis-Diglyceryl Polyacyladipate-1 as Used in Cosmetics」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581813504596> 2018年1月4日アクセス.
  2. CREMER(2013)「SAFETY DATA SHEET SOFTISAN 649」, <http://www.petercremerna.com/products/984778919> 2018年1月4日アクセス.

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