ヒマシ油とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分
ヒマシ油
[化粧品成分表示名称]
・ヒマシ油

[医薬部外品表示名称]
・ヒマシ油

トウダイグサ科植物トウゴマの種子を圧搾して得られるわずかに特異なにおいのある無色~淡黄色の粘性のある液状オイルです。

ヒマシ油の脂肪酸組成は、

  • リシノール酸(不飽和脂肪酸類):85~92%
  • リノール酸(不飽和脂肪酸類):2.5~7%
  • オレイン酸(不飽和脂肪酸類):2.5~6%
  • ステアリン酸(飽和脂肪酸類):2.5%
  • パルミチン酸(飽和脂肪酸類):2%
  • リノレン酸(不飽和脂肪酸類):0~1%
  • ガドレイン酸(不飽和脂肪酸類):0~1%
  • ヒドロキシステアリン酸(飽和脂肪酸類):0.3~0.7%

となっており、植物オイルハンドブックによるとヨウ素価86となっています。

ほぼリシノール酸であることが特徴的で、アルコールに溶けやすい性質があります。

化粧品に配合される場合は、柔軟効果に優れていて唇の粘膜に親和性が高いので、口紅などに伸びや密着性を良くするために配合されています。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ヒマシ油の配合製品数と配合量の調査

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ヒマシ油の安全性(刺激性・アレルギー)について

ヒマシ油の現時点での安全性は、わずかな紅斑が起こる可能性がありますが、総合的に皮膚刺激はほとんどなく、わずか~軽度の眼刺激性が起こる可能性がありますが、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、ごくまれにヒマシ油に多く含まれるリシノール酸による接触性口唇炎やアレルギー性口唇炎(かぶれ)の事例が報告されているので、リップやグロスで唇が荒れる方は注意してください。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Ricinus Communis (Castor) Seed Oil」(文献1:2007)によると、

  • [ヒト試験] 50人の被検者の背中に未希釈のヒマシ油0.05gを48時間パッチ適用し、パッチ除去30分後に皮膚刺激性をスコアリングしたところ、ヒマシ油は皮膚に軽度の刺激を与えた(Motoyoshi et al.,1979)
  • [動物試験] 6匹のモルモットおよび6匹の若いブタの剃毛した左脇腹に10日間連続でヒマシ油4滴を30秒適用したところ、ヒマシ油は適用部位でわずかな紅斑を誘発した(Meyer et al.,1976)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、共通してわずかな刺激または紅斑がみられるため、わずかな紅斑を誘発する可能性があると考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Ricinus Communis (Castor) Seed Oil」(文献1:2007)によると、

  • [ヒト試験] 結膜炎をともなう9人の患者の片眼に2%シクロスピポリンを含むヒマシ油を1日4回15日間連続で処置し、他方の眼は同じ手順でヒマシ油溶液のみで処理したところ、一過性で軽度の不快感および上皮変化が両眼で観察された(Secchi et al.,1990)
  • [動物試験] ウサギの眼に未希釈のヒマシ油0.5mLを点眼し、18~24時間後に眼刺激をスコアリングしたところ、最大刺激スコア20のうち1が報告された(Carpenter and Smyth,1946)
  • [動物試験] ウサギの眼に未希釈のヒマシ油を点眼し、洗浄することなく、眼刺激性を評価したところ、角膜刺激は認められなかったが、虹彩と結膜のわずかなうっ血が観察された(In a study by Guillot et al.,1979)

と記載されています。

試験結果では、共通して一過性のわずかな眼刺激が報告されているため、一過性のわずか~軽度の眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Ricinus Communis (Castor) Seed Oil」(文献1:2007)によると、

  • [ヒト試験] 化粧的接触皮膚炎の疑いがある332人の被検者の中で49人の被検者の背部にヒマシ油を48時間パッチ(Finn Chamber)適用し、パッチ除去30分後および1,4および5日後に検査したところ、いずれの被検者も陽性反応を示さなかった(Fujimoto et al.,1997)
  • [ヒト試験] 化粧品皮膚炎の疑いがある346人の被検者のうち76人の被検者の背部にヒマシ油を48時間パッチ(Finn Chamber)適用し、パッチ除去30分後および1,4および5日後に検査したところ、76人中1人の被検者が陽性反応を示した。この反応は1日目(つまり30分後の次の検査)のみ観察された(Hino et al.,2000)

と記載されています。

試験結果では、ほとんど陽性反応がないため、皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、数は多くないのですが4例ほどヒマシ油に多く含まれるリシノール酸による接触性口唇炎やアレルギー性口唇炎(かぶれ)の事例が報告されているため、ヒマシ油が配合されているリップやグロスで唇が荒れる方は注意してください。

コメドジェニシティ(ニキビの原因となるアクネ菌の増殖促進性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Ricinus Communis (Castor) Seed Oil」(文献1:2007)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの右耳の内側にヒマシ油を月~金の5日間2週間にわたって塗布し、0(目に見える角質症の増加なし)~5(コールタールの適用後にみられるような重度の病変)のスケールで評価したところ、異なるウサギの反復試験がしばしば同一の効果を生じなかったためにヒマシ油について1(コメドの可能性まで見据えられた目に見える角質の増加)が報告されたが、有意ではないと考えられた(Fulton et al.,1976)
  • [動物試験] 3匹のウサギの外耳にヒマシ油を週5回合計14回適用し、0(陰性)~5(重症)のスケールで評価したところ、ヒマシ油のコメドジェニシティスコアは0~1であり、濾胞内のケラチン含量のわずかな増加に相当したが、濾胞上皮に実質的な変化はなかった(Morris and Kwan,1983)
  • [動物試験] 3匹のウサギの片耳の内側全体に10%ヒマシ油を含むPG1mLを週5日2週間にわたって適用し、0~1(濾胞性角化症の有意な増加なし)から4~5(濾胞性角化症の広範な増加)のスケールで評価したところ、コメドジェニシティスコアは1が報告された

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、コメドジェニシティスコアは共通して1が報告されているため、ノンコメドジェニック(∗2)であると考えられます。

∗2 ノンコメドジェニックというのは、ニキビの原因となるアクネ菌を増殖させる成分を含んでいないことを意味します。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ヒマシ油 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ヒマシ油は毒性なし(∗3)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ヒマシ油はベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

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文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2007)「Final Report on the Safety Assessment of Ricinus Communis (Castor) Seed Oil」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810701663150> 2017年11月22日アクセス.

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