ヒドロキシアパタイトとは…成分効果と毒性を解説

感触改良 吸着
ヒドロキシアパタイト
[化粧品成分表示名称]
・ヒドロキシアパタイト

[医薬部外品表示名称]
・ヒドロキシアパタイト

リン酸塩鉱石から得られる無機物であり、化学構造的に一価の陰イオンとして水酸基を主に含む分子量502.3の水酸化リン酸カルシウムです(文献2:2020)

また、ヒトをはじめとする脊椎動物の歯や骨といった生体硬組織の主要構成成分であり、骨の60%、歯のエナメル質の97%がアパタイト結晶構造をもつリン酸カルシウム塩で構成されています(文献3:1993;文献4:1984)

このような背景から、人体と親和性が極めて高く、歯科や整形外科の分野においては人工歯根、歯科用モルタル、人工骨、骨充填剤などの材料として注目されており、また歯質を強化する歯質強化剤として歯磨き剤に用いられ、広く普及しています(文献5:1997;文献6:1999)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でメイクアップ化粧品、洗顔料、洗顔石鹸、クレンジング製品、パック製品、歯磨き粉などに汎用されています。

吸着による感触改良

吸着による感触改良に関しては、ヒドロキシアパタイトは人体との親和性が高く、タンパク質を吸着する性質を有していることから肌へのつきが優れていることが知られており、さらに肌への伸びも優れていることから(文献6:1999)、ファンデーション、チーク、口紅、化粧下地、コンシーラー、プレストパウダー、アイシャドー、アイライナー、アイブローなどに汎用されています。

また、ヒドロキシアパタイトは過酸化脂質(酸化した皮脂)も吸着することから(文献5:1997)、化粧くずれ防止・化粧持ちの改善効果への寄与も考えられます。

一般的に感触改良目的でメイクアップ化粧品に配合される場合は、シリコーンの一種であるハイドロゲンジメチコンでヒドロキシアパタイトの表面を被膜し、撥水性を付与(∗1)したものが使用されます。

∗1 撥水性とは水をはじく性質のことです。

皮脂および角質の吸着

皮脂および角質の吸着に関しては、ヒドロキシアパタイトはタンパク質である角質および酸化した皮脂を吸着する性質を有していることから(文献5:1997)、古い角質および酸化した皮脂を吸着・除去する目的で洗顔料、洗顔石鹸、クレンジング製品、パック製品などに使用されています。

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ヒドロキシアパタイトの安全性(刺激性・アレルギー)について

ヒドロキシアパタイトの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 1990年代からの使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

人体親和性が非常に高く、口腔ケアにおいては安全性が証明されており(文献1:2018)、また1990年からの使用実績がある中で重大な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

ヒドロキシアパタイトはベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

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文献一覧:

  1. Joana M Ramis, et al(2018)「Safety Assessment of Nano-Hydroxyapatite as an Oral Care Ingredient according to the EU Cosmetics Regulation」cosmetics(5)(3),53.
  2. “Pubchem”(2020)「Hydroxyapatite」, <https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Hydroxyapatite> 2020年1月27日アクセス.
  3. 岡崎 正之(1993)「実際のアパタイト」歯と骨をつくるアパタイトの化学,8-10.
  4. 丹羽 滋郎(1984)「医用セラミック材料 ― 3.ヒドロキシアパタイト」人工臓器(13)(5),1378-1382.
  5. 齊藤 宗輝, 他(1997)「アパタイト粉体の材料科学」色材協会誌(70)(1),26-34.
  6. 吉岡 隆嗣, 他(1999)「形態制御されたヒドロキシアパタイトの特性と化粧品への応用」Fragrance Journal(27)(1),145-150.

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