パーム油とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分
パーム油
[化粧品成分表示名称]
・パーム油

[医薬部外品表示名称]
・パーム油

ヤシ科植物アブラヤシの果肉を圧搾して得られ、精製の条件によって液状~固形状までの形状をもつオイルです。

パーム油の脂肪酸組成は、

  • パルミチン酸(飽和脂肪酸類):46~51%
  • オレイン酸(不飽和脂肪酸類):39.5~42%
  • リノール酸(不飽和脂肪酸類):6~8.5%
  • ステアリン酸(飽和脂肪酸類):1.5~3.5%
  • ミリスチン酸(飽和脂肪酸類):0.5~0.8%
  • ラウリン酸(飽和脂肪酸類):0~0.1%

パルミチン酸とオレイン酸を主体としてトリグリセリドとなっており、ヨウ素価44~60となっています(文献3:2016)

脂肪酸組成は牛脂に似た性質があり、近年は植物性原料を使う傾向があるため、重要性が増しており、原料単体のみでなく、脂肪酸や様々な誘導体としても幅広く使用されています。

同じヤシ科植物でもヤシ油はココヤシから得られるオイルで、石けんの原料として比較した場合、パーム油はヤシ油に比べて持続性がよく、皮膚に対する刺激性も弱いという特徴があります。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

パーム油の配合製品数と配合量の比較調査結果

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パーム油の安全性(刺激性・アレルギー)について

パーム油の現時点での安全性は、皮膚刺激性および光毒性はほとんどなく、眼刺激性についてはデータ不足により詳細不明ですが、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessmentof Elaeis Guineensis (Palm) Oil, Elaeis Guineensis (Palm) Kernel Oil, Hydrogenated Palm Oil and Hydrogenated Palm Kernel Oil」(文献1:2000)によると、

  • [ヒト試験] 110人の被検者の背中の肩甲骨領域に15%パーム油を含むワセリン0.025gを誘導期間においてFinn Chamberで週3回3週間連続で合計10回閉塞適用し、各適用48および72時間後にスコアリングした。12日間の無処置期間をおいて48時間チャレンジパッチを適用し、パッチ除去48および96時間後にスコアリングしたところ、0~4のスケールで誘導期間において3人の被検者に1+の反応が観察されましたが、チャレンジ期間に反応は観察されず、15%パーム油を含むワセリンは110人のいずれにおいても皮膚感作を誘発しなかったと結論づけた(International Research Services, Inc.,1997)
  • [ヒト試験] 99人の被検者に2%パーム油を含むボディローション0.3mLを誘導期間において週3回22日間にわたって合計9回閉塞パッチ適用(パッチは24時間で除去し、パッチ適用から48および72時間で0~5のスケールで評価した)し、2週間の無処置期間をおいて48時間チャレンジパッチを同じ試験部位と未処置部位の2箇所同時に適用し、パッチ除去後にスコアリングしたところ、いずれの被検者も接触感作反応を示さなかった(Hill Top Research, Inc.,1982)
  • [ヒト試験] 94人の被検者に1%パーム油を含む日焼けバターを誘導期間およびチャレンジ期間にパッチ適用し、0~4のスケールで評価したところ、いずれの期間にも紅斑反応は認められなかったため、1%パーム油を含む日焼けバターはアレルギー感作を誘発する可能性がないと結論づけた(CTFA,1979)
  • [ヒト試験] 103人の被検者の肩甲骨と腰の間に1.5%パーム油を含む保湿剤を誘導期間において合計9回24時間閉塞パッチ適用し、13~21日ほど休息期間を設けた後に各被検者の未処置部位にチャレンジパッチを適用し、適用24および48時間後に反応をスコアリングした。誘導期間中に7人の被検者において最小限の紅斑反応が観察され、別の1人の被検者は誘導期間中に最大4のスコアのうち1(接触部分を覆うピンク色の均一な紅斑)を有していた。8人のうち1人はチャレンジ期間においても反応が観察されたが、いずれの反応も本質的に刺激性またはアレルギー性であると考えられておらず、1.5%パーム油を含む保湿剤は有意な皮膚刺激またはアレルギー性接触皮膚炎を誘発しなかったと結論付けられた(Food and Drug Human Clinical Labs, Inc.,1983)

と記載されています。

試験結果では共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと結論づけられているため、皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、データ不足により詳細は不明です。

光毒性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessmentof Elaeis Guineensis (Palm) Oil, Elaeis Guineensis (Palm) Kernel Oil, Hydrogenated Palm Oil and Hydrogenated Palm Kernel Oil」(文献1:2000)によると、

  • [in vitro試験] 1.5%パーム油を含むフェイシャルローションの光毒性を光毒性酵母試験で評価した。1.5%パーム油で処理した試験物質にUVライトを18時間照射し、48,72および96時間の阻害ゾーンについて評価したところ、フェイシャルローションは光毒性に分類されなかった(CTFA,1986)

と記載されています。

試験結果はin vitroのみですが、光毒性に分類されていないため、光毒性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
パーム油 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、パーム油は毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

パーム油はベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2000)「Final Report on the Safety Assessmentof Elaeis Guineensis (Palm) Oil, Elaeis Guineensis (Palm) Kernel Oil, Hydrogenated Palm Oil and Hydrogenated Palm Kernel Oil」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/pr267.pdf> 2018年1月10日アクセス.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(2011)「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR577.pdf> 2018年1月10日アクセス.
  3. 日光ケミカルズ(2016)「油脂」パーソナルケアハンドブック,p6

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