パルミチン酸セチルとは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース 感触改良 光沢
パルミチン酸セチル
[化粧品成分表示名称]
・パルミチン酸セチル

[医薬部外品表示名称]
・パルミチン酸セチル

化学構造的に高級アルコールの一種であるセタノールに高級脂肪酸の一種であるパルミチン酸が結合したロウ状エステル油(高級アルコール脂肪酸エステル:合成ロウ)です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、乳化系スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、ヘアケア製品、シート&マスク製品などに使用されています(文献1:1990;文献2:2015)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、鯨ロウと類似の成分組成であり、安定性に優れ、光沢のあるエモリエント効果を有していることから、乳化系スキンケア化粧品などに使用されています(文献3:1997;文献4:2015)

感触改良

感触改良に関しては、鯨ロウと類似の成分組成で結晶性のロウ状であり、クリームの粘度を調整する目的で乳化系製品に使用されています(文献3:1997;文献4:2015)

光沢付与

光沢付与に関しては、クリームに光沢・ツヤを付与するため、クリーム製品やヘアケア製品などに使用されます(文献3:1997;文献4:2015)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2001年および2012-2013年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

パルミチン酸セチルの配合製品数と配合量の調査(2001年および2012-2013年)

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パルミチン酸セチルの安全性(刺激性・アレルギー)について

パルミチン酸セチルの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性・光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者に2.7%パルミチン酸セチルを含む保湿剤を1日1回10日間にわたって閉塞パッチ適用したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激の兆候はみられなかった(A M Kligman,1967)
  • [ヒト試験] 30人の女性被検者の顔および眼窩周辺に2.5%パルミチン酸セチルを含む保湿剤を1日3回28日間にわたって使用してもらい、顔面および眼窩周辺の結膜および粘膜の炎症検査を14および28日に実施したところ、皮膚刺激の報告はなく、刺激または感作の可能性は低いと結論づけられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)
  • [ヒト試験] 100および50人の被検者の顔および眼窩周辺に2.7%パルミチン酸セチルを含む保湿剤をそれぞれ28日間および56日間使用してもらい、顔面および眼窩周辺の結膜および粘膜の炎症検査を実施したところ、眼窩周辺や結膜の炎症は報告されていないが、1人の被検者は28日間の試験で顔面に最小限の紅斑を示した。この1人の被検者に使用頻度を1日2回に減らし、56日間使用してもらったところ、紅斑の兆候は生じなかった。150人の被検者において2人のみ最小限の紅斑を示した。この製剤は通常の使用条件下で刺激および皮膚感作の可能性が低いと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に5%パルミチン酸セチルを含むミネラルオイルを点眼し、眼をすすがず、Draize法に基づいて点眼24,48および72時間後にOII(Ocular Irritation Index:眼刺激性指数)を0-110のスケールで評価したところ、0.0であった(Biometric,1977)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に未希釈のパルミチン酸セチルを点眼し、眼をすすがず、Draize法に基づいて点眼24,48および72時間後にOII(Ocular Irritation Index:眼刺激性指数)を0-110のスケールで評価したところ、24時間で0.3であったが48時間以後は0.0であった(Consumer Product Testing,1977)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に未希釈のパルミチン酸セチルを適用し、眼をすすがず、Draize法に基づいて点眼24,48および72時間後にOII(Ocular Irritation Index:眼刺激性指数)を0-110のスケールで評価したところ、24時間で2.3、48時間で0.7および72時間で0.3であった(MB Research Laboratories,1974)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に未希釈のパルミチン酸セチルを適用し、眼をすすがず、Draize法に基づいて点眼24,48および72時間後にOII(Ocular Irritation Index:眼刺激性指数)を0-110のスケールで評価したところ、24時間で6.7、48時間で2.2および72時間で0.3であった(Armak,1972)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激-最小限の眼刺激性が報告されていることから、非刺激-最小限の眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 50人の被検者に2.5%パルミチン酸セチルを含む保湿剤を対象にMaximization皮膚感作性試験を実施したところ、48時間で6人の被検者に明確な紅斑がみられ、72時間で1つの反応がみられたが、これらの皮膚反応は接触感作によるものではないと判断され、この試験物質は通常の使用条件下で接触性感作のリスクを示す可能性は低いと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)
  • [ヒト試験] 25人の被検者に2.7%パルミチン酸セチルを含む保湿剤を対象にMaximization皮膚感作性試験を実施したところ、いずれの被検者も陰性であり、この試験物質は通常の使用条件下で接触性感作のリスクを示す可能性は著しく低いと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

光毒性および光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者に2.7%パルミチン酸セチルを含む保湿剤を閉塞パッチ適用し、6および24時間後にキセノンソーラーシミュレーター(25-30mW/c㎡)を照射したところ、光毒性は報告されず、この試験物質は通常の使用条件下で光毒性を示す可能性は低いと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)
  • [ヒト試験] 25人の被検者に2.7%パルミチン酸セチルを含む保湿剤を対象に光感作性試験をともなうHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、光接触性感作は報告されておらず、この試験物質は通常の使用条件下で光感作を誘発する可能性は低いと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1977)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

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パルミチン酸セチルはエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1990)「Final Report on the Safety Assessment of Octyl Palmitate, Cetyl Palmitate and Isopropyl Palmitate」Journal of the American College of Toxicology(1)(2),13-35.
  2. Cosmetic Ingredient Review(2015)「Safety Assessment of Alkyl Esters as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(34)(2),5S-69S.
  3. 広田 博(1997)「高級アルコールの脂肪酸エステル」化粧品用油脂の科学,95-99.
  4. 宇山 光男, 他(2015)「パルミチン酸セチル」化粧品成分ガイド 第6版,74-75.

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