パルミチン酸イソプロピルとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分 感触改良 溶剤 光沢
パルミチン酸イソプロピル
[化粧品成分表示名称]
・パルミチン酸イソプロピル

[医薬部外品表示名称]
・パルミチン酸イソプロピル

化学構造的に低級アルコール(一価アルコール)の一種であるイソプロパノールのヒドロキシ基(水酸基)に高級脂肪酸の一種であるパルミチン酸のカルボキシル基を結合した脂肪酸エステルです。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、ヘアケア製品、洗浄製品、練り香水などあらゆる製品に汎用されています(文献1:1990;文献2:2015)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、他の油剤との相溶性が良好であり、低粘度で油性感が少なく、さっぱりした軽い感触を付与するため、オイル製品の基剤、リキッド系メイクアップ製品、スキンケア系乳化物などに汎用されています(文献3:2016;文献4:2012)

感触改良

感触改良に関しては、油性感が少なく、粘度の低い軽い質感の油であり、ソフトでさっぱりした感触を付与するため、オイル製品の基剤、リキッド系メイクアップ製品、スキンケア系乳化物などの基剤または基剤の感触改良剤として汎用されています(文献4:2012)

溶剤

溶剤に関しては、溶剤性に優れており、色素や香料の溶解剤として、またロウと非極性油との混和剤として品質を均一にする目的で配合されます(文献3:2016)

毛髪に対するツヤ感付与

毛髪に対するツヤ感付与に関しては、ヘアクリームやヘアオイルの一部に使用することで、油っぽい感じを与えることなく毛髪表面にエモリエント様のツヤを付与します(文献3:2016)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2001年および2012-2013年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

パルミチン酸イソプロピルの配合製品数と配合量の調査(2001年および2012-2013年)

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パルミチン酸イソプロピルの安全性(刺激性・アレルギー)について

パルミチン酸イソプロピルの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性・光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者に未希釈のパルミチン酸イソプロピルを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚刺激スコア(0-4)を評価したところ、いずれの被検者も皮膚刺激の兆候はなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1972)
  • [ヒト試験] 40人の被検者に未希釈のパルミチン酸イソプロピルを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚刺激スコア(0-4)を評価したところ、皮膚刺激スコアは0.5であり、いずれの被検者も皮膚刺激の兆候はなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1973)
  • [ヒト試験] 20人の被検者に未希釈のパルミチン酸イソプロピルを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚刺激スコア(0-4)を評価したところ、皮膚刺激スコアは0.0であり、いずれの被検者も皮膚刺激の兆候はなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1973)
  • [ヒト試験] 10人の被検者に45.6%パルミチン酸イソプロピルを含むバスオイル製剤を1日1回10日間にわたって閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、いずれの被検者も皮膚刺激の報告はなかった(A M Kligman et al,1967)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼に未希釈のパルミチン酸イソプロピルを点眼し、3匹は眼をすすぎ、残りの6匹は眼をすすがず、Draize法に基づいて点眼24,48および72時間後に眼刺激性を評価したところ、眼刺激スコアはいずれも0.0であり、眼刺激の兆候はなかった(Leberco Laboratories,1975)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に未希釈のパルミチン酸イソプロピルを点眼し、眼はすすがず、Draize法に基づいて点眼24,48および72時間後に眼刺激性を評価したところ、眼刺激スコアは0.0であり、眼刺激の兆候はなかった(Bio Toxicology Laboratories,1975)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に未希釈のパルミチン酸イソプロピルを点眼し、Draize法に基づいて点眼24,48および72時間後に眼刺激性を評価したところ、24時間で眼刺激スコアは0.3であったが、48時間で0.0であった(Armak,1972)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に未希釈のパルミチン酸イソプロピルを点眼し、Draize法に基づいて点眼24,48および72時間後に眼刺激性を評価したところ、眼刺激スコアはそれぞれ2.33,0.67および0.33であった(Hill Top Research,1968)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激-最小限の眼刺激性が報告されていることから、非刺激-最小限の眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 102人の被検者に未希釈のパルミチン酸イソプロピルを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者も皮膚感作性を示さなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1976)
  • [ヒト試験] 25人の被検者に45.6%パルミチン酸イソプロピルを含むバスオイル製剤を対象にmaximization試験を実施し、皮膚感作性を評価したところ、すべての被検者において陰性であり、この試験物質は皮膚感作を誘発する可能性は著しく低いと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

光毒性および光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者に45.6%パルミチン酸イソプロピルを含むバスオイル製剤を閉塞パッチ適用し、6および24時間の適用後にキセノンソーラーシミュレータ-(25-30mW/c㎡)を照射し、光毒性を評価したところ、光毒性の報告はなく、この試験物質は通常使用条件下で光毒性のリスクを示す可能性は低いと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [ヒト試験] 25人の被検者に45.6%パルミチン酸イソプロピルを含むバスオイル製剤を閉塞パッチ適用し、6および24時間の適用後にキセノンソーラーシミュレータ-(25-30mW/c㎡)を照射し、最後の誘導パッチの10日後にチャレンジパッチおよび照射を行ったところ、光接触感作の報告はなく、この試験物質は通常の使用条件下で光接触感作を誘発する可能性は低いと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

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パルミチン酸イソプロピルはベース成分、エモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1990)「Final Report on the Safety Assessment of Octyl Palmitate, Cetyl Palmitate and Isopropyl Palmitate」Journal of the American College of Toxicology(1)(2),13-35.
  2. Cosmetic Ingredient Review(2015)「Safety Assessment of Alkyl Esters as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(34)(2),5S-69S.
  3. 日光ケミカルズ(2016)「エステル」パーソナルケアハンドブック,62-86.
  4. 鈴木 一成(2012)「パルミチン酸イソプロピル」化粧品成分用語事典2012,69.

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