パルミチン酸イソプロピルとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分
パルミチン酸イソプロピル
[化粧品成分表示名称]
・パルミチン酸イソプロピル

[医薬部外品表示名称]
・パルミチン酸イソプロピル

[慣用名]
・IPP

パルミチン酸とイソプロパノールとのエステルで低粘性の液状オイルです。

さっぱりした使用感で肌なじみや柔軟効果が高く、分散性や他のオイルとの相溶性も良いので多くの製品で使用されています。

ミリスチン酸イソプロピルと性状、作用が類似しており、同様の目的で使用されます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

パルミチン酸イソプロピルの配合製品数と配合量の比較調査結果(1982-2001)

パルミチン酸イソプロピルの配合製品数と配合量の比較調査結果(2001-2013)

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パルミチン酸イソプロピルの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

パルミチン酸イソプロピルの現時点での安全性は、皮膚刺激性、光毒性および眼刺激性はほとんどなく、皮膚感作性(アレルギー性)および光感作性の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Octyl Palmitate, Cetyl Palmitate and Isopropyl Palmitate」(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 24時間閉塞パッチを用いてパルミチン酸イソプロピルの皮膚刺激性を試験するために3つの試験が行われ、それぞれ原液を使用し、皮膚反応を0~4のスケールで採点した。1つ目の試験では20人の被検者に2つの異なるパルミチン酸イソプロピルのバッチを適用したところ、刺激の兆候はなく、刺激スコアは0.0であった。2つ目の試験では40人の被検者に同じように2つの異なるバッチを適用したところ、刺激スコアは0.5であった。3つ目の試験では20人の被検者に同様に4つのバッチを適用した。これら3つの試験に関わった80人の被検者のうち4人は刺激スコア0.5であり、他の被検者はいずれも0.0であった
  • [ヒト試験] 45.6%パルミチン酸イソプロピルを含むバスオイル製剤の刺激性を試験するために10人の被検者に1日1回合計10日間、0.3mLの原液を閉塞パッチ下で同じ部位に適用したところ、刺激の報告はなかった

と記載されています。

試験結果では共通して皮膚刺激なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Octyl Palmitate, Cetyl Palmitate and Isopropyl Palmitate」(文献1:1990)によると、

  • [動物試験] パルミチン酸イソプロピルの眼刺激性を評価するため、5つの試験においてそれぞれ未希釈のパルミチン酸イソプロピル0.1mLをウサギの結膜嚢に注入し、Draize法に従って24,48および72時間後に検査した。1つ目の試験では9匹のウサギを3匹ずつ3つの群に分け、グループ1の処置眼は洗浄せず、他の2つのグループは試験物質を注入した後にぬるま湯20mLで2秒後と4秒後に洗浄したところ、洗浄および非洗浄にかかわらず刺激の兆候はなく、すべてのウサギにおいて眼刺激スコアは0.0であった。2つ目の試験では6匹のウサギにおいて処置眼はすべて洗われず、Draize法に従って評価したところ、眼刺激スコアは0.0であった。第3の試験の6匹のウサギは24時間で最大眼刺激スコア110のうち0.3で、48および72時間の評価ではスコアは0.0であった。第4の試験では6匹のウサギにおいて24,48および72時間の評価で、眼刺激スコアは2.33,0.67および0.33であった。第5の試験で得られた眼刺激スコアは48時間で3.33~6.50の範囲であった。Draizeスケールで眼刺激スコア10未満は試験物質がウサギの眼粘膜に重大な損傷を引き起こさないことを示すため、眼刺激性を引き起こす可能性は低い

と記載されています。

試験結果は共通して眼刺激性を引き起こさないスコアであったため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Octyl Palmitate, Cetyl Palmitate and Isopropyl Palmitate」(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 102人の被検者の背中に絆創膏に塗布された未希釈のパルミチン酸イソプロピル0.1mLを24時間適用し、誘導期間として週3回3週間にわたって同じ手順で繰り返し、各パッチ除去後に0~4のスケールで反応を評価した。最後の誘導パッチ除去17日後に24時間チャレンジパッチを適用し、パッチ除去24および48時間後に反応を評価したところ、2回めの誘導パッチ適用後に3人の被検者でほとんど知覚できない紅斑が認められた。誘導期間およびチャレンジ期間における他のすべてのスコアは0.0であり、パルミチン酸イソプロピルはアレルギー感作の可能性を示さなかったと結論づけられた
  • [ヒト試験] 25人の被検者に45.6%パルミチン酸イソプロピルを含む未希釈のバスオイル製剤のmaximization試験を行ったところ、すべてのパッチテストは陰性であり、通常の使用目的の条件下で接触感作のリスクを示す可能性は低い

と記載されています。

試験結果では共通して皮膚感作性なしと結論づけられているため、皮膚感作性(アレルギー性)が起こる可能性は低いと考えられます。

光毒性および光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Octyl Palmitate, Cetyl Palmitate and Isopropyl Palmitate」(文献1:1990)によると、

  • [ヒト試験] 10人の被検者に45.6%パルミチン酸イソプロピルを含むバスオイル製剤の光毒性試験を行った。未希釈の試験物質5μL/c㎡を閉塞パッチ適用し、6および24時間の接触後にキセノンソーラーシミュレータ-(25~30mW/c㎡)を照射したところ、光毒性は報告されておらず、この製剤は通常の意図された条件下で光毒性のリスクを示す可能性は低いと結論付けられた
  • [ヒト試験] 25人の被検者に45.6%パルミチン酸イソプロピルを含むバスオイル製剤の光接触アレルギー誘発試験を行った。各被検者に試験物質5μL/c㎡を週2回合計6回閉塞パッチ適用し、パッチ除去後にキセノンソーラーシミュレーター(25~30mW/c㎡)を照射し、最後の誘導パッチの10日後にチャレンジパッチおよび照射を行ったところ、光接触アレルゲンは報告されておらず、この製剤は通常の使用条件下で光接触アレルギー誘発のリスクを示す可能性は低い

と記載されています。

試験結果では光毒性および光接触アレルゲンは報告されていないため、光毒性および光感作性はないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
パルミチン酸イソプロピル 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、パルミチン酸イソプロピルは毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

パルミチン酸イソプロピルはベース成分、エモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1990)「Final Report on the Safety Assessment of Octyl Palmitate, Cetyl Palmitate and Isopropyl Palmitate」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818209013145> 2018年1月11日アクセス.

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