パラフィンとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 感触改良
パラフィン
[化粧品成分表示名称]
・パラフィン

[医薬部外品表示名称]
・パラフィン

[慣用名]
・パラフィンワックス

石油原油を蒸留した残滓を十分に精製して得られる固体の飽和炭化水素(∗1)です。

∗1 炭化水素とは、炭素と水素のみからなる化合物で、化学的に極めて不活性な物質です。

主成分はC₂₀H₄₂-C₃₀H₆₂であり、組成としてはC₁₆H₃₄-C₄₀H₈₂のn-パラフィン混合物となっており、2-3%のイソパラフィンおよびナフテンを含みます(文献2:2016;文献3:1997)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スティック状メイクアップ化粧品、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品などに使用されています(文献2:2016;文献3:1997)

感触改良

感触改良に関しては、酸化安定性が高く、また融点が50-70℃と高く、乳化しやすい特性をもち、硬さを向上させるためにスティック状油性基剤やクリームに用いられます(文献3:1997)

ただし、相溶性のある油性基剤と併用すると、温度差により製品の硬さが極端に変化するため処方に注意が必要であり、現在は使用量が減少しています。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1984年および2002-2003年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

パラフィンの配合製品数と配合量の調査結果(1984年および2002-2003年)

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パラフィンの安全性(刺激性・アレルギー)について

パラフィンの現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:非刺激-軽度
  • 皮膚感作性:ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者に100%パラフィンのサンプル2つを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、1つ目のサンプルは1人の被検者でほとんど知覚できない紅斑を生じたが、他の被検者に皮膚反応はみられなかった。2つ目のサンプルは1人の被検者に紅斑を引き起こしたが、他の被検者に皮膚反応は観察されなかった(CTFA,1972)
  • [ヒト試験] 18人、19人および20人の被検者にそれぞれ8%パラフィンを含む製剤を24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、皮膚刺激を誘発しなかった(CTFA,1977)
  • [ヒト試験] 19人の被検者に15%パラフィンを含む製剤を24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、皮膚刺激を示さなかった(CTFA,1981)
  • [ヒト試験] 6%パラフィンを含む4つの製剤について皮膚刺激試験を実施したところ、1つ目の製剤は17人の被検者のうち1人に軽度の紅斑を生じた。2つ目の製剤は18人の被検者のうち2人に紅斑を引き起こした。3つ目の製剤は9人の被検者に紅斑を引き起こし、皮膚刺激スコアは0~4のスケールで0.75であった。4つ目の製剤は最大皮膚刺激スコア40のうち0.35であった(CTFA,1974;CTFA,1980;CTFA,1981)
  • [ヒト試験] 48人の被検者に15%パラフィンを含む製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、この試験物質は皮膚刺激性および皮膚感作性を示さなかった(CTFA,1980)
  • [ヒト試験] 25人、30人および39人の被検者にそれぞれ5%パラフィンを含む製剤を48時間閉塞パッチ適用した。14日の無処置期間の後、24時間チャレンジパッチを適用し、パッチ除去24時間後に試験部位を評価したところ、皮膚刺激および皮膚感作は認められなかった(CTFA,1975)
  • [ヒト試験] 10人の被検者に5%パラフィンを含む製剤を対象に21日間累積刺激性試験を実施したところ、皮膚累積刺激スコア(0-630)は18であり、この試験物質は非刺激性であると判断された(Hill Top Research Lab,1975)
  • [ヒト試験] 187人の女性被検者に5%パラフィンを含む製品を2週間毎日自宅使用してもらったところ、刺激性はなかった(CTFA,1975)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、まれに軽度の紅斑の報告がありますが、それ以外では共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に4つの50%パラフィンを含むワセリンを滴下し、眼はすすがず、3日間にわたって眼刺激性を観察したところ、1日目に1匹のウサギにおいて2つの試験物質で軽度の刺激を起こしたが、他の2つの試験物質では眼刺激は起こらなかった(CTFA,1972;CTFA,1980)
  • [動物試験] 6匹のアカゲザルの左眼に5%パラフィンを含むアイシャドー製剤0.1mLを点滴し、3匹の眼を滴下30秒後に温水20mLで洗浄したところ、滴下72時間後までの観察においては刺激または角膜損傷の兆候はみられなかった(Hill Top Research Lab,1975)
  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼に5%パラフィンを含む製剤0.1mLを注入し、3匹は注入30秒後に脱イオン水20mLで洗浄し、24,48および72時間後および4および7日後に眼を検査したところ、眼をすすがなかった6匹のうち4匹で48時間後に最小限の結膜の発赤がみられ、眼をすすいだ3匹のうち2匹でも48時間後に最小限の結膜の発赤が認められた(Biodynamics,1975)
  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に8%パラフィンを含む4つのアイシャドー製品を注入し、眼はすすがず、3日間にわたって眼刺激性を観察したところ、3つの製品は1匹のウサギにおいて24時間で軽度の眼刺激を引き起こし、4つ目の製品は1匹のウサギにおいて48時間後に軽度の眼刺激を引き起こした(CTFA,1977)
  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に15%パラフィンを含むフットクリームを注入し、眼はすすがず、3日間にわたって眼刺激性を観察したところ、6匹のうち3匹に1日目で軽度の眼刺激が観察された(CTFA,1980)
  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に16%パラフィンを含む2つのフットクリームを注入し、眼はすすがず、3日間にわたって眼刺激性を観察したところ、1匹は1日目で軽度の眼刺激を示し、残りの2匹は24時間で眼刺激を示した(CTFA,1974;CTFA,1980)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激-軽度の眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激-軽度の眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

∗∗∗

パラフィンはベース成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1984)「Final Report on the Safety Assessment of Fossil and Synthetic Waxes」International Journal of Toxicology(3)(3),43-99.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「炭化水素」パーソナルケアハンドブック,27.
  3. 広田 博(1997)「炭化水素類」化粧品用油脂の科学,54-60.

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