パラフィンとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分
パラフィン
[化粧品成分表示名称]
・パラフィン

石油を蒸留して最後に残存する部分を十分に精製して得られる固形状オイル(炭化水素化合物)です。

パラフィンは固形状オイルですが、一方で液状オイルは流動パラフィン(ミネラルオイル)と呼び、どちらも不活性で酸化することなく、乳化しやすい特性をもち、化粧品に配合される場合は、口紅などスティック状の基剤の油性成分として配合されたり、クリームの硬さや肌への感触を改良するために使われます。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

パラフィンの配合製品数と配合量の比較調査結果

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パラフィンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

パラフィンの現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、最小限~軽度の眼刺激性が起こる可能性はあるものの、アレルギー性(皮膚感作性)もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Fossil and Synthetic Waxes」(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者の前腕または背部に100%パラフィンの2つのサンプルを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に採点したところ、1つ目のサンプルは1人の被検者でほとんど知覚できない紅斑を生じたが、他に皮膚反応はみられなかった。2つ目のサンプルは1人の被検者に紅斑を引き起こしたが、他の被検者に皮膚反応は観察されなかった
  • [ヒト試験] 8%パラフィンを含む3つの製剤は18人、19人および20人の被検者において皮膚刺激をもたらさなかった
  • [ヒト試験] 15%パラフィンを含む製剤は19人の被検者において皮膚刺激をもたらさなかった
  • [ヒト試験] 6%パラフィンを含む4つの製剤について皮膚刺激試験を実施したところ、1つ目の製剤は17人の被検者のうち1人に軽度の紅斑を生じた。2つ目の製剤は18人の被検者のうち2人に紅斑を引き起こした。3つ目の製剤は9人の被検者に紅斑を引き起こし、皮膚刺激スコアは0~4のスケールで0.75であった。4つ目の製剤は最大皮膚刺激スコア40のうち0.35であった
  • [ヒト試験] 48人の被検者に15%パラフィンを含む製剤に対する反復鎮痛パッチ試験を行った。誘導期間として被検者の背中または腕に試験物質を1日おきに閉塞パッチ適用し、合計9~15回繰り返した。10~21日の休息期間の後、未処置部位にチャレンジパッチを適用し、パッチ除去24,48および72時間後に反応を評価したところ、この試験物質はいずれの被検者にも刺激および感作を与えなかった
  • [ヒト試験] 5%パラフィンを含む製剤を25人、30人、39人の3つの異なる被検者の前腕のてのひら側に48時間閉塞パッチ適用した。14日の無処置期間の後、24時間チャレンジパッチを適用し、パッチ女教24時間後に試験部位を評価したところ、皮膚刺激および皮膚感作は認められなかった
  • [ヒト試験] 5%パラフィンを含む製剤の21日間累積刺激試験を10人の被検者に対して実施した。この試験物質を含むパッチを各被検者の背中に4日間連続で毎日適用した。パッチは23時間接触したままであり、スコアは次のパッチ適用の直前に読み取られた。最大刺激スコア630のうち18であり、この試験物質は非刺激性であることが示された

と記載されています。

試験結果では共通して一次刺激性、累積刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一次皮膚刺激性、累積皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Fossil and Synthetic Waxes」(文献1:1984)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に4つの50%パラフィンを含むワセリン溶液を滴下し、眼はすすぎを行わず観察したところ、3日間にわたって眼刺激が観察された。2つの溶液は1日目に1匹のウサギで軽度の刺激を起こしたが、他の溶液は刺激しなかった
  • [動物試験] 6匹のアカゲザルの左眼に5%パラフィンを含むアイシャドウ製剤0.1mLを点滴し、3匹の眼を滴下30秒後に温水20mLで洗浄したところ、滴下72時間後までの観察においては刺激または角膜損傷の兆候はみられなかった
  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼に5%パラフィンを含む製剤0.1mLを注入し、3匹は注入30秒後に脱イオン水20mLで洗浄し、24,48および72時間後および4および7日後に眼を検査した。眼をすすがなかった6匹のうち4匹で最小限の結膜の赤みがみられたが、48時間後には目立たなくなった。眼を洗浄した3匹のうち2匹は48時間後に最小限の結膜の発赤が認められた
  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に8%パラフィンを含む4つのアイシャドー製品をすすぎなしで注入したところ、眼は3日間にわたって刺激が観察された。3つの製品は1匹のウサギにおいて24時間で軽度の刺激を引き起こし、4つ目の製品は1匹のウサギにおいて48時間後に軽度の刺激を引き起こした
  • [動物試験] 上記と同じように試験した15%パラフィンを含むフットクリームは1日目において6匹の動物のうち3匹に軽度の刺激が観察された
  • [動物試験] 上記と同じように試験した16%パラフィンを含む2つのフットクリーム製品は1つ目の製品において48時間で1匹の動物に軽度の刺激を引き起こし、もう一方の製品は24時間で2匹のウサギに刺激を引き起こした

と記載されています。

試験結果では、共通して最小限~軽度の眼刺激性が報告されているため、最小限~軽度の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
パラフィン 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、パラフィンは毒性なし(∗2)となっており、毒性はないと考えられます。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

パラフィンはベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1984)「Final Report on the Safety Assessment of Fossil and Synthetic Waxes」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818409010516> 2018年1月9日アクセス.

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