バチルアルコールとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分 増粘
バチルアルコール
[化粧品成分表示名称]
・バチルアルコール

[医薬部外品表示名称]
・バチルアルコール

天然にはサメ(学名:Selachimorpha)の肝油の不けん化物中にバチルアルコールのジアシル体としてスクワレンとともに存在している、化学構造的にグリセリンのα-モノステアリルエーテルであり、二価アルコール(アルキルグリセリルエーテル)です。

ニ価アルコールとは、化学的に-OH(水酸基:ヒドロキシ基)が2つ結合したアルコールで、一方で一般にアルコールと呼ばれる物質は炭素数2の一価アルコールで低級アルコールであるエタノール(エチルアルコール)のみを指し、二価アルコールは物質として別物です。

バチルアルコールの物性(∗1)は、

∗1 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。

分子量 融点(℃)
344.57 60 – 70

このように報告されています(文献3:2016)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、乳化系スキンケア化粧品、ボディケア製品、メイクアップ化粧品、シート&マスク製品などに使用されています(文献1:2013;文献3:2016)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、二価アルコールであることから保湿性を有しており、酸化安定性が極めて高く、展延性(∗2)に優れ、油性感の少ない皮膜を形成し、しなやかな感触を付与することから、エモリエント剤・ワックス成分として乳液やクリームなど乳化系スキンケア化粧品に使用されます(文献3:2016;文献4:1997)

∗2 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。

増粘

増粘に関しては、少量の添加で乳化物(エマルション)の粘性を上げる性質を有していることから、硬さや感触を調整する目的で固形分の少ない乳液やクリームなど乳化系スキンケア化粧品に使用されます(文献3:2016)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2011年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

バチルアルコールの配合製品数と配合量の調査結果(2011年)

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バチルアルコールの安全性(刺激性・アレルギー)について

バチルアルコールの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性:ほとんどなし(データなし)

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

日光ケミカルズの安全性データ(文献2:2018)によると、

  • [ヒト試験] 51人の被検者に10%バチルアルコールを含むスクワラン溶液を対象に48時間単一皮膚刺激性試験を閉塞パッチにて実施したところ、この試験物質は無刺激であった

と記載されています。

試験データをみるかぎり、10%濃度において皮膚刺激性なしと報告されているため、化粧品配合範囲内において皮膚刺激性ほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

皮膚感作性(アレルギー性)について

医薬部外品原料規格2006に収載されており、10年以上の使用実績の中で重要な皮膚感作の報告もみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

∗∗∗

バチルアルコールはベース成分、エモリエント成分、安定化成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分 安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2013)「Safety Assessment of Alkyl Glyceryl Ethers as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(32)(5),5S-21S.
  2. 日光ケミカルズ株式会社(2018)「NIKKOL バチルアルコール EX」安全データシート.
  3. 日光ケミカルズ(2016)「エーテル」パーソナルケアハンドブック,56-63.
  4. 広田 博(1997)「多価アルコール」化粧品用油脂の科学,79-82.

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