ハイブリッドサフラワー油とは…成分効果と毒性を解説



・ハイブリッドサフラワー油
[慣用名]
・ハイオレイックサフラワー油
キク科植物ベニバナ(学名:Carthamus tinctorius 英名:Safflower)の交雑種の種子を圧搾または抽出して得られる植物油(植物オイル)です。
一般的なサフラワー油は脂肪酸の含有量として、以下のように、
脂肪酸名 | 脂肪酸の種類 | 炭素数:二重結合数 | 比率(%) |
---|---|---|---|
オレイン酸 | 不飽和脂肪酸 | C18:1 | 12.6 |
リノール酸 | 不飽和脂肪酸 | C18:2 | 77.4 |
リノレン酸 | 不飽和脂肪酸 | C18:3 | 0.1 |
パルミチン酸 | 飽和脂肪酸 | C16:0 | 6.8 |
ステアリン酸 | 飽和脂肪酸 | C18:0 | 2.5 |
二重結合が2つの不飽和脂肪酸であるリノール酸の含有量がかなり多く(文献1:1990)、酸化安定性がかなり低い(酸化しやすい)と考えられます。
一方で、ハイブリッドサフラワー油の脂肪酸組成は、以下のように、
脂肪酸名 | 脂肪酸の種類 | 炭素数:二重結合数 | 比率(%) |
---|---|---|---|
オレイン酸 | 不飽和脂肪酸 | C18:1 | 80.0 |
リノール酸 | 不飽和脂肪酸 | C18:2 | 15.0 |
パルミチン酸 | 飽和脂肪酸 | C16:0 | 5.0 |
リノール酸による酸化安定性の低さを解決するために、ベニバナの品種改良を通じてリノール酸の含有量を下げ、代わりに二重結合が1つの不飽和脂肪酸であるオレイン酸の含有量を80%以上に増やすことで酸化安定性を高めています(文献3:1997)。
またサフラワー油のヨウ素価は、以下のように、
ヨウ素価 | ヨウ素価による分類 |
---|---|
120-150 | 乾性油 |
130以上の乾性油のため(文献2:1990)、乾燥性の高い植物油ですが、一方でハイブリッドサフラワー油のヨウ素価は、以下のように、
ヨウ素価 | ヨウ素価による分類 |
---|---|
80-100 | 不乾性油 |
100以下の不乾性油のため(文献3:1997)、乾燥性はほとんどありません。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、ヘアケア製品、洗顔料&洗顔石鹸、リップ製品、ネイル製品など様々な製品に使用されます(文献3:1997)。
エモリエント作用
エモリエント作用に関しては、オレイン酸80%以上、リノール酸約15%を含有し、酸化安定性は高いのですが、サフラワー油本来の特徴はリノール酸を主成分としていることであり、サフラワー油よりはエモリエント性は減少すると考えられています(文献3:1997)。
ハイブリッドサフラワー油の安全性(刺激性・アレルギー)について
- 10年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
試験データはみあたりませんが、サフラワー油は皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されており、ハイブリッドサフラワー油はサフラワー油よりも酸化安定性が高く、皮膚刺激性が低いため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
眼刺激性について
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。
∗∗∗
ハイブリッドサフラワー油はエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
∗∗∗
文献一覧:
- 日本油化学協会(1990)「植物油脂の脂肪酸組成」油脂化学便覧 改訂3版,104-110.
- 日本油化学協会(1990)「植物油脂の性状」油脂化学便覧 改訂3版,99-101.
- 広田 博(1997)「乾性油」化粧品用油脂の科学,11-15.
スポンサーリンク