ナイロン-12とは…成分効果と毒性を解説

ベース 感触改良 ロングラッシュ
ナイロン-12
[化粧品成分表示名称]
・ナイロン-12

化学構造的にラクタムの一種である炭素数12のラウリルラクタム(∗1)を開環重合(∗2)して得られるポリアミド(∗3)であり、球状から繊維状まで様々な形状で用いられるポリアミド系合成繊維です。

∗1 ラクタム(lactam)とは、カルボキシル基(-COOH)とアミノ基(-NH2)が脱水縮合した形をもって環を成している化合物の総称であり、ラウリルラクタム(Lauryl lactam)は、ラウロラクタムとも呼ばれ、ナイロン-12の原料として重要な化合物です。

∗2 重合とは、複数の単量体(モノマー)が結合して鎖状や網状になる反応のことをいい、単量体(モノマー)が結合して鎖状または網状になった化合物を重合体(ポリマー)といいます。開環重合とは、環状化合物の環構造を解き、環の解かれた化合物の端同士が結合することで重合体(ポリマー)とする反応のことをいいます。

∗3 ポリアミドとは、アミド結合によって多数の単量体(モノマー)が結合してできた重合体(ポリマー)であり、一般に脂肪族骨格を含むポリアミドをナイロンと総称しています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でメイクアップ化粧品に汎用されています。

感触改良

感触改良に関しては、球状ナイロン-12は化学的に比較的安定であり、表面が平滑であることから優れた滑り性や滑らかな感触を付与する目的で、アイシャドー、口紅、コンシーラー、化粧下地、ファンデーション、チーク、プレストパウダーなどに汎用されています(文献2:2016;文献4:2000;文献5:2006;文献6:2008)

まつ毛のロングラッシュ効果

まつ毛のロングラッシュ効果に関しては、まず前提知識としてロングラッシュ効果について解説します。

マスカラは、主にまつ毛を濃く見せて目の表情を豊かに美しくする目的で使用されますが、ロングラッシュ効果とは、主にマスカラ類においてまつ毛を長く見せる効果のことであり、マスカラに求められる基本的機能のひとつです。

長さ1-5mmの繊維状ナイロン-12は、まつ毛を長く見せるロングラッシュ効果目的でマスカラに使用されています(文献3:1990)

実際の使用製品の種類や数および配合量は、海外の2011-2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、ヘアコンディショナー、ボディソープ、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ナイロン-12の配合製品数と配合量の調査結果(2011-2012年)

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ナイロン-12の安全性(刺激性・アレルギー)について

ナイロン-12の現時点での安全性は、

  • 40年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 30人の被検者に3%ナイロン-12を含むリップ製品を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、この試験物質は皮膚刺激および皮膚感作を誘発しなかった(Dermatest,2000)
  • [ヒト試験] 103人の被検者に5%ナイロン-12を含むアイシャドーを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、試験期間を通じて有害な皮膚反応は観察されず、いずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作を示さなかった(Consumer Product Testing Co,2012)
  • [ヒト試験] 103人の被検者に6%ナイロン-12を含むコンシーラーを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、試験期間を通じて有害な皮膚反応は観察されず、いずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作を示さなかった(Consumer Product Testing Co,2006)
  • [ヒト試験] 107人の被検者に5.24%ナイロン-12を含む固形香料を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、この試験物質は臨床的に重要な皮膚刺激および皮膚感作の可能性を示さなかった(Consumer Product Testing Co,2012)
  • [ヒト試験] 221人の被検者に35%ナイロン-12を含むフェイシャルパウダーを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、この試験物質は皮膚刺激および皮膚感作の兆候を示さなかった(Consumer Product Testing Co,2001)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2014)によると、

  • [ヒト試験] 33人の被検者(約50%はソフトまたはハードコンタクトレンズ装着者)に5%ナイロン-12を含むアイシャドーを1日1回4週間にわたって使用してもらったところ、試験期間を通じて有害事象は報告されず、眼科検査によりいずれの被検者の眼も正常範囲内であった。この製品はコンタクトおよび非コンタクトレンズ装用者、自己知覚の敏感な眼を持つ人、および正常な目を持つヒトが使用しても眼刺激を引き起こさないと結論付けられた(Consumer Product Testing Co,2012)

と記載されています。

直接試験物質を点眼したデータではありませんが、試験データをみるかぎり、使用試験において眼刺激なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

ナイロン-12はベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2014)「Safety Assessment of Nylon as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(33)(4_Suppl),47S-60S.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「合成高分子粉体」パーソナルケアハンドブックⅠ,294-296.
  3. 田中 宗男, 他(1990)「美を演出する高分子(化粧品)」高分子(39)(11),802-805.
  4. 熊谷 重則, 他(2000)「新しい化粧品と高分子」高分子(49)(1),10-12.
  5. 佐藤 文孝(2006)「化粧品に用いられる特殊機能粉末」色材協会誌(79)(9),397-403.
  6. EVONIK(2008)「TEGOLON 12-10,TEGOLON 12-20」Technical Data Sheet.

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