トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル
[化粧品成分表示名称]
・トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル

[医薬部外品表示名称]
・トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル

高級脂肪酸の一種であるカプリル酸とカプリン酸の混合脂肪酸とグリセリンが結合したエステルオイルです。

界面活性剤に分類されるという記事もありますが、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルには乳化力がないため界面活性剤ではありません。

ココナッツオイルで有名な中鎖脂肪酸から構成されているため、天然の油脂に比べて酸化安定性に優れており、粘性が低く、サラッとしていて伸びが良く軽い質感です。

他の成分と相溶性が良く、エモリエント効果に優れているのが特徴で、多くの化粧品に感触の良いエモリエント剤・油性成分として使用されています。

実際にどれくらい使用されているのかというと、”Cosmetic Ingredient Review”の「Amended Safety Assessment of Triglycerides as Used in Cosmetics」という調査レポートでは2003年と2017年での配合製品量や配合濃度の推移が明らかになっています。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

2017年までのトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの配合状況の調査結果

約15年で8倍以上に製品量が急増しており、これはトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの利便性の良さや安全性の高さが示されているといえそうです。

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トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの安全性(刺激性・アレルギー)について

トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性および眼刺激性はほとんどなく、アレルギー(皮膚感作性)や光感作性の報告もないので、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内海外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「FINAL REPORTOF THE SAFETYASSESSMENT FOR CAPRYLIC/CAPRIC TRIGIYCERIDE」(文献1:1980)によると、

  • [ヒト試験] 40人の被検者に希釈していないトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルをパッチ試験し、3回にわたって評価したところ、皮膚刺激性はない
  • [ヒト試験] 128人の被検者にDraize反復パッチテストを行ったところ、すべての被検者は刺激がほどんとまたはまったくなかったが、1人の被検者は48時間適用された最初のパッチを除去した直後にほとんど観察できない最小の紅斑を有していた
  • [ヒト試験] 12人の女性被検に0.4mLのトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルパッチを21日間連続で同じ箇所に適用し、毎日評価したところ、1人の被験者は16日目に0~3の4段階スコアで1を示しましたが、他のすべての被験者のスコアは0であり、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルは非刺激性である

“Cosmetic Ingredient Review”の「Amended Safety Assessment of Triglycerides as Used in Cosmetics」(文献2:2017)によると、

  • [動物試験] 4%トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを含む調合剤2mLを剃毛した雌ラットの皮膚に週に5回13週間にわたって適用したところ、局所的な皮膚刺激は生じなかった
  • [ヒト試験] 17人の被検者において24時間単一パッチ試験を実施した95.51%トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを含むフェイシャルオイルは皮膚刺激性なし

と記載されています。

安全性試験を参照すると、一時的にごくわずかな紅斑や刺激がみられる例もありますが、結論としてほとんどの試験で皮膚刺激性なしと結論付けられているため、皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「FINAL REPORTOF THE SAFETYASSESSMENT FOR CAPRYLIC/CAPRIC TRIGIYCERIDE」(文献1:1980)によると、

  • [ヒト試験] 2人の被検者の片目に10,20,50%トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを4~6日間隔で滴下し、さらに5人の男性被検者に希釈していない原液で試験したところ、刺激性の反応はみられなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギに希釈されていないトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル0.1mLを1滴点眼し、24,48,96,108時間おきに評価したところ、48時間後に一過性のわずかな刺激が観察されたがその後の評価では刺激はなかったため、眼刺激性なし
  • [動物試験] 6匹のウサギにトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル0.1mLを点眼し、4日間毎日評価したところ、3日目まで非常にわずかな眼刺激が観察されたがその後の評価では刺激はなかったため、一過性の眼刺激性あり
  • [動物試験] 6匹のウサギに50%トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを含むココナッツオイル0.1mLを点眼し、3日間毎日評価したところ、眼刺激性なし
  • 6匹のウサギに100%トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル0.1mLを点眼し、24,48,72時間後に評価したところ、眼刺激性なし

と記載されています。

安全性試験を参照すると、一過性のわずかな眼刺激はみられるものの、最終的に眼刺激性なしと結論づけられているため、眼刺激性が起こる可能性はほとんどなく、あったとしてもごくわずかな一過性の刺激であると考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「FINAL REPORTOF THE SAFETYASSESSMENT FOR CAPRYLIC/CAPRIC TRIGIYCERIDE」(文献1:1980)によると、

  • [ヒト試験] アレルギー反応率の高い100人の患者にトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを含むティッシュのパッチを48時間適用したところ、陽性反応は起こらなかった
  • [動物試験] 6匹の雄モルモットに4%トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル溶液を背中と脇腹に閉塞パッチで1日おきに合計10回適用し、それぞれの適用の24時間後に評価したところ、じずれも紅斑や浮腫といった感作はなく、10回目の適用から2週間後に実施したチャレンジ試験でも皮膚感作はなく、皮膚感作の可能性は示されなかった

“Cosmetic Ingredient Review”の「Amended Safety Assessment of Triglycerides as Used in Cosmetics」(文献2:2017)によると、

  • [ヒト試験] 26人の被検者において24時間単一パッチ試験を実施した95.51%トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを含むフェイシャルオイルはマキシマイゼーション試験で皮膚感作剤ではなかった

と記載されています。

試験結果は共通して皮膚感作性なしとなっており、アレルギーの報告もみあたらないため、アレルギー(皮膚感作)が起こる可能性は低いと考えられます。

光感作性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Amended Safety Assessment of Triglycerides as Used in Cosmetics」(文献2:2017)によると、

  • [ヒト試験] 27人の被検者において95.51%トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを含むフェイシャルオイルの閉塞性パッチを腰に24時間適用し、パッチ除去直後にキセノンアークソーラーシミュレーターを週2回3週間の合計6回照射し(照度:90.0mW/c㎡、UVA強度:52.5mW/c㎡)、10日間の休息後背中の未処置の箇所に24時間チャレンジパッチを適用した後、太陽光をシミュレートした1/2のMEDにUVA(4J/c㎡)を加えたものを48時間および72時間照射したところ、検出可能な光接触感作性を有していなかった

と記載されています。

試験結果は少ないですが、ヒト試験で光感作性を有していないと結論づけられているため、光感作性が起こる可能性はほとんどないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルは毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルはベース成分にカテゴライズされています。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1980)「FINAL REPORTOF THE SAFETYASSESSMENT FOR CAPRYLIC/CAPRIC TRIGIYCERIDE」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581803022S104> 2017年10月5日アクセス.
  2. “Cosmetic Ingredient Review”(2017)「Amended Safety Assessment of Triglycerides as Used in Cosmetics」, <http://www.cir-safety.org/sites/default/files/triglycerides.pdf> 2017年10月5日アクセス.

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