トリメチルシロキシケイ酸とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 皮膜形成
トリメチルシロキシケイ酸
[化粧品成分表示名称]
・トリメチルシロキシケイ酸

[医薬部外品表示名称]
・トリメチルシロキシケイ酸

化学構造的にケイ酸ナトリウムをトリメチルシリル基に置換して得られるシリコーン化合物であり、架橋構造を有するシリコーンレジン(シリコーン樹脂)(∗1)です。

∗1 シリコーンオイルが線状ポリマーから成っているのに対して、分岐度の高い三次元ポリマーから成り有機溶媒に可溶な固形状ポリマーがシリコーンレジンです(文献2:1994)。

ジメチコンシクロペンタシロキサンなどのシリコーン類やイソドデカンに溶解した状態で配合されるため、配合される場合は成分一覧表示にこれらの溶剤がセットで記載されます。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、まつ毛美容液、ネイル製品などに使用されています(文献1:2013)

皮膜形成

皮膜形成に関しては、非シリコーン系油剤への溶解性および密着性に優れ、化学構造的に三官能または四官能単位とトリメチルシロキシ単位の組成比を変えることで皮膜の硬さを調整して配合することが可能であり、かつ撥水性(∗2)に優れた被膜を形成するため、化粧崩れのしないメイクアップ化粧品、日焼け止め製品に使用されます(文献3:1993;文献4:2013)

∗2 撥水性とは水をはじく性質のことです。

また皮膜形成に伴い、ルースパウダー製品に使用した場合は凝集(ダマ)を防止効果が、口紅製品に使用した場合は色移り防止効果が、ヘアケア製品に使用した場合は毛髪のボリュームおよび耐湿性を付与効果が認められています(文献4:2013)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

トリメチルシロキシケイ酸の配合製品数と配合量の調査(2010年)

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トリメチルシロキシケイ酸の安全性(刺激性・アレルギー)について

トリメチルシロキシケイ酸の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2013)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者に20%トリメチルシロキシケイ酸(分子量3,000-10,000)を含むオリーブオイルを対象に単回刺激性試験を実施したところ、皮膚刺激性は観察されなかった(Personal Care Products Council,2011)
  • [ヒト試験] 19人の被検者に20%トリメチルシロキシケイ酸(分子量3,000-5,000)を含む軟膏を対象に単回刺激性試験を実施したところ、2人の被検者に±の皮膚反応が観察されたが、他に皮膚反応は観察されなかった(Personal Care Products Council,2011)
  • [ヒト試験] 19人の被検者に50%トリメチルシロキシケイ酸(分子量3,000-10,000)を含む溶液(45%シクロメチコンおよび5%ポリイソブテン)を対象に単回刺激性試験を実施したところ、2人の被検者に±の皮膚反応が観察されたが、他に皮膚反応は観察されなかった(Personal Care Products Council,2011)
  • [ヒト試験] 50人の被検者に20%トリメチルシロキシケイ酸を含むアイシャドーを対象に閉塞パッチにて刺激性試験を実施したところ、皮膚刺激性は観察されなかった(Derma Consult GmbH,2010)
  • [ヒト試験] 50人の被検者に30%トリメチルシロキシケイ酸を含む口紅を対象に閉塞パッチにて刺激性試験を実施したところ、皮膚刺激性は観察されなかった(81,82)
  • [ヒト試験] 50人の被検者に5%トリメチルシロキシケイ酸を含むアイメイクアップ化粧品を対象に閉塞パッチにて刺激性試験を実施したところ、皮膚刺激性は観察されなかった(Derma Consult GmbH,2008;2009;2010)
  • [ヒト試験] 106人の被検者に12.335%トリメチルシロキシケイ酸を含むリップカラーベースコートリキッドを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激性および皮膚感作性の兆候は観察されなかった(Anonymous,2006)
  • [ヒト試験] 108人の被検者に20%トリメチルシロキシケイ酸を含むアイライナーを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激性および皮膚感作性の兆候は観察されなかった(Product Investigations Inc,2005)
  • [ヒト試験] 108人の被検者に14.36%トリメチルシロキシケイ酸を含むアイシャドーを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激性および皮膚感作性の兆候は観察されなかった(Product Investigations Inc,2006)
  • [ヒト試験] 600人の被検者に5.5%トリメチルシロキシケイ酸を含む頬紅を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激性および皮膚感作性の兆候は観察されなかった(Orentreich Research Corporation,1998)
  • [ヒト試験] 29人の女性被検者に24.67%トリメチルシロキシケイ酸を含むリップスティックを対象に4週間使用試験を実施したところ、5人の被検者から最小限の刺激性が報告されたが、皮膚感作性の兆候はなかった(Anonymous,2000)
  • [ヒト試験] 10人の被検者に5%-20%トリメチルシロキシケイ酸を含むアイメイクアップ化粧品を対象に28日間使用試験を実施したところ、皮膚刺激性の兆候はなかった(Derma Consult GmbH,2008)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されていることから、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2013)によると、

  • [動物試験] ウサギの片眼に100%トリメチルシロキシケイ酸0.1mLを適用し、適用1,24,48および72時間後に眼刺激性を評価したところ、いずれの時間においても眼刺激性の兆候は観察されなかった(Momentive,2010)
  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼に50%トリメチルシロキシケイ酸(分子量3,000-10,000)を含むオリーブオイル0.1mLを点眼し、点眼後に眼刺激性を評価したところ、眼刺激性の兆候は観察されなかった(Personal Care Products Council,2011)
  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼に60%トリメチルシロキシケイ酸および50%イソドデカンを含むオリーブオイルの混合物を点眼し、点眼後に眼刺激性を評価したところ、実質的に眼刺激性は観察されなかった(Personal Care Products Council,2010)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して眼刺激性なしと報告されていることから、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

トリメチルシロキシケイ酸はベース成分、皮膜形成剤にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 皮膜形成剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2013)「Safety Assessment of Silylates and Surface-Modified Siloxysilicates」International Journal of Toxicology(32)(3),5S-24S.
  2. 鈴木 俊夫(1994)「シリコーン樹脂」熱硬化性樹脂(15)(1),9-16.
  3. 青木 寿(1993)「化粧品とシリコーンポリマー」高分子(42)(8),670-671.
  4. 旭化成ワッカーシリコーン株式会社(2013)「BELSIL Silicone Resin Series」技術資料.

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