トリメチルシロキシケイ酸とは…成分効果と毒性を解説




・トリメチルシロキシケイ酸
[医薬部外品表示名称]
・トリメチルシロキシケイ酸
ケイ酸のナトリウムをトリメチルシリル基に置換して得られる半透明で粘性のあるシリコーン化合物です。
原料としてはあらかじめ揮発性溶剤のシクロペンタシロキサンなどに溶かした状態で供給されています。
揮発性に優れており、滑らかで耐水性のある皮膜を形成するので、日焼け止めやファンデーションなどを水や汗などによる崩れから保護する皮膜形成目的で使用されます。
また、口紅やアイシャドーなどのメイクアップ化粧品にツヤを与える油性成分として使用したり、粉体の表面処理に使用したり、保護剤、消泡剤、スキンコンディショニング剤などの用途で使用されます。
実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。
トリメチルシロキシケイ酸の安全性(刺激性・アレルギー)について
以下は、この結論にいたった根拠です。
安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。
∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Silylates and Surface-Modified Siloxysilicates」(文献1:2013)によると、
- [動物試験] 6匹のウサギの無傷の皮膚に100%トリメチルシロキシケイ酸0.5gを4時間閉塞パッチ適用したところ、紅斑または浮腫の兆候は観察されなかったため、トリメチルシロキシケイ酸は非刺激剤として評価された
- [動物試験] 10匹のウサギの剃毛した皮膚にトリメチルシロキシケイ酸2g/kgを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後に皮膚をコーンオイルですすぎ、14日間観察した。4匹のウサギに僅かな刺激の兆候があったが、2日目にはそれもなくなった。
- [動物試験] 3匹のウサギの皮膚に30%トリメチルシロキシケイ酸を含むオリーブオイルを4日間連続適用した場合、皮膚刺激性はなかった
と記載されています。
動物試験結果をみるかぎり、共通して皮膚刺激性なしと結論付けられているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。
眼刺激性について
“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Silylates and Surface-Modified Siloxysilicates」(文献1:2013)によると、
- [動物試験] ウサギの右眼に100%トリメチルシロキシケイ酸0.1mLを点眼し、0,1,24,48および72時間後に評価したところ、いずれの評価においても臨床的に眼刺激の兆候はなかった
- [動物試験] 3匹のウサギに対して50%トリメチルシロキシケイ酸を含むオリーブオイル0.1mLを点眼したところ、眼刺激剤ではなかった
- [動物試験] 3匹のウサギに対して60%トリメチルシロキシケイ酸とイソドデカンの混合液50%濃度のオリーブオイルは、非刺激剤であると報告された
と記載されています。
動物試験では共通して眼刺激性なしと結論づけられているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。
皮膚感作性(アレルギー性)について
“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Silylates and Surface-Modified Siloxysilicates」(文献1:2013)によると、
- [動物試験] 局所リンパ節検定法(LLNA)では、アセトン/オリーブ油中の15%,30%,60%トリメチルシロキシケイ酸をマウスの耳の背部全体に3日間連続で適用したところ、刺激指数は15%,30%,60%でそれぞれ1.0,1.1,0.8であり、トリメチルシロキシケイ酸は感作反応を有していないと結論づけられた
- [動物試験] 50%トリメチルシロキシケイ酸を含むエタノールは5匹のモルモットを用いたMaximization試験において弱い感作性であった
と記載されています。
動物試験結果では弱い感作性がありとの結果もでていますが詳細不明で、国内で重大なアレルギーの報告もみあたらないため、現時点で皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。
化粧品毒性判定事典による毒性判定について
化粧品成分名 | 判定 |
---|---|
トリメチルシロキシケイ酸 | ■ |
参考までに化粧品毒性判定事典によると、トリメチルシロキシケイ酸は■(∗2)となっていますが、合成ポリマーはすべて同じ判定となっています。
ただし、安全性の試験結果をみるかぎりでは、皮膚刺激や毒性はほとんどないと考えられます。
∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。
∗∗∗
トリメチルシロキシケイ酸はベース成分、表面処理剤にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
∗∗∗
文献一覧:
- “Cosmetic Ingredient Review”(2013)「Safety Assessment of Silylates and Surface-Modified Siloxysilicates」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581813486299> 2017年11月3日アクセス.
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