トリエチルヘキサノインとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 安定化成分
トリエチルヘキサノイン
[化粧品成分表示名称]
・トリエチルヘキサノイン

[医薬部外品表示名称]
・トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル

2-エチルヘキサン酸とグリセリンのトリグリセリドで天然に存在する液状の油脂と同じ構造を持った低粘性の液状オイルです。

オクタノインやトリ-2-エチルヘキサン酸グリセリルと呼ばれることもあります。

  • 酸化安定性に優れている
  • ベタつきがない
  • 肌へのなじみが良い
  • 柔軟効果に優れている
  • 他のオイル成分との相溶性が良い
  • 乳化しやすい
  • 水蒸気透過性の優れた膜を形成する(水分の蒸発を防ぐエモリエント効果)

これら多くの理由から収穫量で価格が上下したり産地や季節によって成分がブレやすい天然油脂に代わって多くの化粧品で使われています。

海外の資料になりますが、1998年と2017年の実際の使用製品数や使用濃度を比べたものが以下になります。

ちなみに製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

トリエチルヘキサノインの配合状況の調査

20年の間にリーブオン製品への配合が急増しているのがわかります。

また、配合濃度が比較的高いものも多く、これは利便性の高さと安全性の高さを裏付けているともいえます。

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トリエチルヘキサノインの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

刺激性や毒性および眼刺激性はほとんどなく、アレルギー(皮膚感作性)の報告もないため、安全性の高い成分だと考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”(2001)「Final Report on the Safety Assessment of Trilaurin,Triarachidin, Tribehenin, Tricaprin, Tricaprylin,Trierucin, Triheptanoin, Triheptylundecanoin,Triisononanoin, Triisopalmitin, Triisostearin, Trilinolein,Trimyristin, Trioctanoin, Triolein, Tripalmitin,Tripalmitolein, Triricinolein, Tristearin, Triundecanoin,Glyceryl Triacetyl Hydroxystearate, Glyceryl TriacetylRicinoleate, and Glyceryl Stearate Diacetate」(文献1:2001)によると、

  • [ヒト試験] 25人の男女にトリエチルヘキサノインの一次刺激試験を実施したところ、24時間および72時間で陰性であった。試験に関する詳細は含まれていなかった(Unichema International 1996)
  • [動物試験] 3匹の雌ウサギの剃毛した背中に希釈していないトリエチルヘキサノイン0.1mLを左側に皮下注射、右側に閉塞パッチで2つの部位に同時適用したところ、Draize法に従って3,24,48および72時間後に反応を評価したところ、両方の部位で皮膚刺激の誘発は観察されなかった(Sanitary Laboratory Kanagawa Prefecture 1975)

花王株式会社の安全性データシート(文献2:2013)によると、

  • [ヒト試験] 被検者(人数不明)に60%トリエチルヘキサノイン溶液を48時間閉塞パッチし、パッチ除去24時間後に採点したところ、平均0.05だった(判定基準と評点:反応は認められない=0、かすかな紅斑=0.5、明瞭な紅斑=1、紅斑および浮腫=2、紅斑、浮腫に小水疱や丘疹を伴う=3)
  • [動物試験] モルモットを用いて未希釈のトリエチルヘキサノインを24時間閉塞パッチしたところ、平均評点0.2だった。さらにモルモットに未希釈のトリエチルヘキサノインを4回連続で塗布したところ平均評点1.0だった

と記載されています。

一次刺激性に関しては共通して皮膚刺激なしとなっていますが、回数を重ねていく累積刺激試験では明瞭な紅斑に値する数字がでているので、回数を重ねると刺激が起こる可能性は否定できませんが、国内では約7,000の製品に配合されており、配合濃度も高い中で皮膚刺激の報告がみつからないため、皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”(2001)「Final Report on the Safety Assessment of Trilaurin,Triarachidin, Tribehenin, Tricaprin, Tricaprylin,Trierucin, Triheptanoin, Triheptylundecanoin,Triisononanoin, Triisopalmitin, Triisostearin, Trilinolein,Trimyristin, Trioctanoin, Triolein, Tripalmitin,Tripalmitolein, Triricinolein, Tristearin, Triundecanoin,Glyceryl Triacetyl Hydroxystearate, Glyceryl TriacetylRicinoleate, and Glyceryl Stearate Diacetate」(文献1:2001)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼に希釈されていないトリエチルヘキサンノイン0.05mLを点眼したところ、眼刺激を誘発しなかった。試験に関する詳細は含まれていなかった(Unichema International 1996)

花王株式会社の安全性データシート(文献2:2013)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いて未希釈のトリエチルヘキサンノインでOECDガイドライン405に従って試験したところ、MAS=10.0で最小の刺激数だった

と記載されています。

試験結果は共通してほとんど眼刺激性が観察されていないため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”(2001)「Final Report on the Safety Assessment of Trilaurin,Triarachidin, Tribehenin, Tricaprin, Tricaprylin,Trierucin, Triheptanoin, Triheptylundecanoin,Triisononanoin, Triisopalmitin, Triisostearin, Trilinolein,Trimyristin, Trioctanoin, Triolein, Tripalmitin,Tripalmitolein, Triricinolein, Tristearin, Triundecanoin,Glyceryl Triacetyl Hydroxystearate, Glyceryl TriacetylRicinoleate, and Glyceryl Stearate Diacetate」(文献1:2001)によると、

  • [ヒト試験] 25人の男女にトリエチルヘキサノインの接触アレルギー試験を実施したところ、皮膚感作を誘発しなかった。試験に関する詳細は含まれていなかった(Unichema International 1996)
  • [動物試験] モルモットを用いて誘導期間にそれぞれ1%トリエチルヘキサノイン(皮内注射誘導)、25%トリエチルヘキサノイン(局所閉塞パッチ適用)、100%トリエチルヘキサノイン(局所閉塞パッチ適用)の3種類の濃度で48時間適用し、無処置期間を経て24時間の閉塞チャレンジパッチを必要に応じて毎週実施したところ、1回目のチャレンジ期間中に2匹のモルモットにわずかな反応が観察されたが2回目のチャレンジでは反応は認められなかったため、非感作性物質に分類された(Sanitary Laboratory Kanagawa Prefecture 1975)

と記載されています。

試験結果は共通して皮膚感作性なしと記載されているため、アレルギー(皮膚感作性)が起こる可能性は低いと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
トリエチルヘキサノイン 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、トリエチルヘキサノインは毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

トリエチルヘキサノインはベース成分と保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2001)「Final Report on the Safety Assessment of Trilaurin,Triarachidin, Tribehenin, Tricaprin, Tricaprylin,Trierucin, Triheptanoin, Triheptylundecanoin,Triisononanoin, Triisopalmitin, Triisostearin, Trilinolein,Trimyristin, Trioctanoin, Triolein, Tripalmitin,Tripalmitolein, Triricinolein, Tristearin, Triundecanoin,Glyceryl Triacetyl Hydroxystearate, Glyceryl TriacetylRicinoleate, and Glyceryl Stearate Diacetate」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/109158101529025921> 2017年10月13日アクセス.
  2. 花王株式会社(2013)「安全性データシート」, <http://chemical.kao.com/jp/products/B0002092_jpja.html> 2017年10月13日アクセス.

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