トリイソステアリンとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分
トリイソステアリン
[化粧品成分表示名称]
・トリイソステアリン

[医薬部外品表示名称]
・トリイソステアリン酸グリセリル

化学構造的にグリセリンと高級脂肪酸の一種であるイソステアリン酸のトリグリセリド(トリエステル)であり、アルキル基に多くの側鎖を有する分枝状エステル油です。

飽和脂肪酸のみのトリグリセリドでありながら液状であり、また使用感および安定性に優れており、この性状は天然の油脂では得られないことから広く使用されています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、リップケア製品、スキンケア化粧品、ネイルケア化粧品などに使用されています(文献1:2001;文献2:2017)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、密着性およびツヤのある仕上がりが特徴的であり、アルキル基に多くの側鎖を有する分枝状のトリグリセリドのため、通気性・水蒸気通気性に優れていることから、リップ製品のエモリエント基剤、メイクアップ製品の油性基剤として広く使用されています(文献3:1997;文献4:2015)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1998年および2017年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

トリイソステアリンの配合製品数と配合量の調査結果(1998年および2017年)

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トリイソステアリンの安全性(刺激性・アレルギー)について

トリイソステアリンの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):50%濃度以下においてほとんどなし(データなし)
  • 光毒性・光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2001;文献2:2017)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの無傷および軽く擦過した皮膚に未希釈のトリイソステアリン0.5mLを4時間半閉塞パッチ適用し、パッチ除去1,24,48および72時間後にPII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)を0-4のスケールで評価したところ、パッチ除去時に2匹のウサギに軽度の紅斑が認められ、紅斑は5日目まで続き、1匹は6日目も持続した。浮腫は認められなかった。PIIは0.46であり、トリイソステアリンはウサギの皮膚に適用した場合、非刺激性であると考えられた(Biogir S.A. Conseil Recherche,1989)
  • [in vitro試験] 正常ヒト表皮角化細胞によって再構築された3次元培養表皮モデルを用いて、角層表面に未希釈のトリイソステアリン10μLを処理し、OECD439テストガイドラインに基づいて皮膚刺激性を評価したところ、皮膚刺激性は予測されなかった(European Chemicals Agency,2015)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性なしと報告されていることから、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2001;文献2:2017)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼にトリイソステアリンを適用し、眼刺激性を評価したところ、角膜や虹彩に刺激反応は観察されず、非刺激性に分類された(Unichema International,1997)
  • [in vitro試験] 三次元組織ヒト角膜上皮モデルに未希釈のトリイソステアリン30μLを添加し、30分曝露した後にOECD492テストガイドラインに基づいて細胞生存率を測定したところ(HCE法)、非刺激性であると予測された(European Chemicals Agency,2015)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されていることから、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献2:2017)によると、

  • [動物試験] LLNA(Local Lymph Node Assay:局所リンパ節試験)において、4匹のマウスの耳介に25%,50%および未希釈のトリイソステアリンを含む溶液を適用し、OECD429テストガイドラインに基づいて皮膚感作性を評価したところ、25%および50%濃度において陰性であったが、100%濃度においては皮膚感作を引き起こす可能性が予測された(European Chemicals Agency,2015)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、50%濃度以下において皮膚感作性なしと報告されていることから、化粧品配合範囲内において皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

光毒性および光感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2001)によると、

  • [動物試験] 20匹のモルモットの背中6ヶ所にそれぞれトリイソステアリン+UVA、トリイソステアリン+UVB、トリイソステアリンのみ、陽性対照+UVA、UVBのみ、UBAのみを適用し、処置24時間後に皮膚反応を評価したところ、UV照射の有無にかかわらず、トリイソステアリンは皮膚反応を誘発しなかった(Unichema International,1997)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性および光感作性なしと報告されていることから、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

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トリイソステアリンはベース成分、エモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2001)「Final Report on the Safety Assessment of Trilaurin, Triarachidin, Tribehenin, Tricaprin, Tricaprylin, Trierucin, Triheptanoin, Triheptylundecanoin, Triisononanoin, Triisopalmitin, Triisostearin, Trilinolein, Trimyristin, Trioctanoin, Triolein, Tripalmitin, Tripalmitolein, Triricinolein, Tristearin, Triundecanoin, Glyceryl Triacetyl Hydroxystearate, Glyceryl Triacetyl Ricinoleate, and Glyceryl Stearate Diacetate」International Journal of Toxicology(20)(4),61-94.
  2. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Amended Safety Assessment of Triglycerides as Used in Cosmetics」Final Amended Report.
  3. 広田 博(1997)「多価アルコールの脂肪酸エステル」化粧品用油脂の科学,102-108.
  4. 宇山 光男, 他(2015)「トリイソステアリン」化粧品成分ガイド 第6版,71.

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