チャ種子油とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分
チャ種子油
[化粧品成分表示名称]
・チャ種子油(改正名称)
・チャ実油(旧称)

[医薬部外品表示名称]
・チャ実油

ツバキ科植物チャノキ(学名:Camellia Sinensis 英名:Tea plant)の種子から得られる植物油(植物オイル)です。

チャノキは中国原産であり、中国では紀元前10世紀の周の時代に薬用とされ、紀元3世紀ごろに嗜好品とされはじめ、8世紀の唐の時代に栽培や製茶が普及しました(文献5:2011)

日本では鎌倉時代に栄西が「喫茶養生記」を著してから喫茶の風習や茶道が広まるとともに各地に茶産地が形成され、またヨーロッパでは16世紀に中国や日本から紹介され、喫茶が流行しました(文献5:2011)

チャ種子油の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 59.9
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 18.0
リノレン酸 不飽和脂肪酸 C18:3 0.6
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 17.8
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 3.0

このような種類と比率で構成されています(文献2:1990)

ツバキ科植物でありツバキ種子油と類似したオレイン酸を中心としたリノール酸とパルミチン酸のトリグリセリドですが、二重結合が2つの不飽和脂肪酸であるリノール酸の割合がやや高いため、酸化安定性はやや低い(酸化しやすい)と考えられます。

また2004年に資生堂によってオレイン酸やパルミトレイン酸など二重結合が1つの不飽和脂肪酸が恒常的に過剰に存在すると、顔面毛穴周囲の肌状態およびキメの状態が悪化する可能性が高いことが報告されています(文献4:2004)

オレイン酸はヒト皮脂中に存在する代表的な不飽和脂肪酸であり、10代や若い成人をはじめ日常的に皮脂量が多いと感じている場合は、オレイン酸配合製品の使用で毛穴状態やキメの悪化につながる可能性も考えられます。

ヨウ素価は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類
83-90 不乾性油

一例としてこのように記載されており(文献3:1990)、100以下の不乾性油のため、乾燥性はほとんどありません。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、洗顔料&洗顔石鹸、リップケア製品、ネイル製品などに広く使用されます(文献1:2017)

皮膚柔軟によるエモリエント作用

皮膚柔軟によるエモリエント作用に関しては、オレイン酸約60%、リノール酸約20%を含有しており、展延性(∗1)がよく、肌と親和性が高く、皮膚を柔軟にする作用を有していると考えられます。

∗1 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

チャ種子油の配合製品数と配合量の調査結果(2010年)

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チャ種子油の安全性(刺激性・アレルギー)について

チャ種子油の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [ヒト試験] 108人の被検者に0.0985%チャ種子油を含むリップ製剤0.2gを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチ下で実施したところ、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Consumer Product Testing Co,2008)
  • [ヒト試験] 108人の被検者に0.0985%チャ種子油を含むリップ製剤0.2gを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチ下で実施したところ、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Consumer Product Testing Co,2008)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

チャ種子油はエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
  2. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の脂肪酸組成」油脂化学便覧 改訂3版,104-110.
  3. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の性状」油脂化学便覧 改訂3版,99-101.
  4. “株式会社資生堂”(2004)「ヒト頬部毛穴の目立ちと肌状態」, <https://www.shiseidogroup.jp/rd/doctor/informationletter/backnumber/pdf/2004_001_02.pdf> 2019年2月14日アクセス.
  5. 鈴木 洋(2011)「茶葉(ちゃよう)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,319.

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