ダイズ油とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分
ダイズ油
[化粧品成分表示名称]
・ダイズ油

[医薬部外品表示名称]
・大豆油

マメ科植物ダイズ(学名:Glycine max 英名:Soya bean = Soybean)の種子から得られる植物油(植物オイル)です。

大豆は中国を原産とし、世界各地で栽培されており、日本でマメといえば大豆のことを指すように日本の食生活に欠かせないものとなっています。

大豆にはタンパク質、糖質、脂質、食物繊維、ビタミン、カルシウム、フィトケミカルなどが豊富に含まれ、そのうちタンパク質は35%でその約50%がグリシニンという成分です(文献9:2011)

ダイズ油の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 23.5
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 53.5
リノレン酸 不飽和脂肪酸 C18:3 8.3
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 10.4
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 4.0

このような種類と比率で構成されています(文献6:1990)

リノール酸が約50%、リノレン酸が約8%を占めており、リノール酸は二重結合を2つもっている酸化安定性の低い(自動酸化速度はオレイン酸の約10倍速い)不飽和脂肪酸であり、また二重結合を3つもっているリノレン酸も8%ほど含有されているため、酸化安定性は低い(酸化しやすい)と考えられます。

ダイズ油にはトリグリセリド(高級脂肪酸類)以外にもリン脂質のほかステロールやトコフェロールなども含まれていますが、これらは精製工程で分別され、大豆リン脂質トコフェロールなど化粧品原料として用いられます(文献10:1997)

またヨウ素価は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類
114-138 乾性油

一例としてこのように記載されており(文献7:1990)、130以上の乾性油のため、乾燥性が高いと考えられます。

乾油性とは、皮膜状に空気中に放置すると、固化して弾性のある乾燥皮膜を生じるオイルのことで、たとえば油性塗料に用いることで塗料の乾きが早くなります。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、ヘアケア製品、洗顔料&洗顔石鹸、リップ製品、ネイル製品などの製品に使用されます(文献8:2016)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、リノール酸が豊富でリノレン酸も少し含まれているため、皮膚親和性が高く、軽い上に伸びも良いため、閉塞剤・基剤として各種クリーム、マッサージオイルなどに使用されます。

ただし、酸化しやすいので注意が必要です。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の比較調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ダイズ油の配合製品数と配合量の調査結果(2010年)

スポンサーリンク

ダイズ油の安全性(刺激性・アレルギー)について

ダイズ油の現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

ダイズ油は、食用油においては、非常にアレルゲン性が高い油であることが啓蒙されており、大豆アレルギーを有する場合は、大豆油は摂取してはいけない油と認識されていることも多いようです。

しかし、一方で海外では、主な大豆油は感受性の高いヒトにおいてもアレルギー反応を引き起こさないことが度々報告されています(文献2:1985;文献3:2000;文献4:2002;文献5:2002)

問題としては、油の精製過程においてアレルゲンタンパク質はほとんど除去されるが、わずかに残存するタンパク質が重度のアレルギー患者に対してアレルギー反応を引き起こすのではないかという点にあります。

この点については、同様にアレルギーを引き起こす油として有名で最もよく研究されているピーナッツ油においては、非精製油に対してはピーナッツアレルギー者は反応するが、精製油に対してはほとんど反応しないことが複数報告されています(文献3:2000;文献4:2002;文献5:2002)

ただし、まれに精製油においても反応するという報告例もあるため(文献1:2006)、さらなる研究が必要であるといえます。

これらは食用大豆油についての研究結果ですが、このような背景を踏まえて、化粧品用ダイズ油は、一般的に食品用グレードよりも精製度が高く、また化粧品用ダイズ油は10年以上の使用実績がある中で、アレルギーの報告がほとんどないことからも一般的に皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

ただし、大豆にアレルギーを有している場合は、皮膚感作を引き起こす可能性がゼロではないため、注意が必要であると考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

ダイズ油はエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. 菅野 道廣(2006)「大豆油はアレルギー反応を引き起こすか?」日本栄養・食糧学会誌(59)(6),313-321.
  2. Bush RK, et al(1985)「Soybean oil is not allergenic to soybean-sensitive individuals.」The Journal of Allergy and Clinical Immunology(76)(2 Pt1),242-245.
  3. R.W.RCrevel, et al(2000)「Allergenicity of refined vegetable oils.」Food and Chemical Toxicology(38)(4),385-393.
  4. Frémont S, et al(2002)「Allergenicity of oils.」Allergie et Immunologie(Paris)(34)(3),91-94.
  5. Frémont S, et al(2002)「What about the allergenicity of vegetable oils ?」Internet Symposium on Food Allergens(4)(2),111-118.
  6. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の脂肪酸組成」油化学便覧 改訂3版,104-110.
  7. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の性状」油化学便覧 改訂3版,99-101.
  8. 日光ケミカルズ(2016)「油脂」パーソナルケアハンドブック,5.
  9. 鈴木 洋(2011)「大豆(だいず)」カラー版健康食品・サプリメントの事典,102-104.
  10. 広田 博(1997)「乾性油」化粧品用油脂の科学,11-15.

スポンサーリンク

TOPへ