セテアリルアルコールとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 乳化 感触改良
セテアリルアルコール
[化粧品成分表示名称]
・セテアリルアルコール

[医薬部外品表示名称]
・セトステアリルアルコール

パーム油を還元して得られる炭素数16の一価アルコールであるセタノール(30-40%)と炭素数18の一価アルコールであるステアリルアルコール(60-70%)の混合物(高級アルコール:脂肪族アルコール)です。

一価アルコールとは、化学的に-OH(水酸基:ヒドロキシ基)が一つ結合したアルコールで、2つ以上結合したものは多価アルコールと呼ばれ(n個結合したものはn価アルコールとも呼ばれる)、高い吸湿性と保水性を有しているため化粧品に汎用されている保湿剤です。

化学的に水酸基(ヒドロキシ基:-OH)を1つだけもったアルコール(一価アルコール)の中で、炭素が6個以下のアルコールは低級アルコールに分類され、炭素数が少ないほど親水性が強まり(親油性が弱まり)ます。一方で炭素が8個以上のアルコールは高級アルコール(脂肪族アルコール)に分類され、炭素数が多いほど親油性が強まり(親水性が弱まり)ます。

高級アルコールという分類なので誤解されやすいですが、一般にアルコールと呼ばれる物質は炭素数2の一価アルコールで低級アルコールであるエタノール(エチルアルコール)のみを指し、高級アルコールは物質として別物です。

セタノールとステアリルアルコールの混合物のため、セテアリルアルコールの物性(∗1)は、

∗1 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。

  炭素数 分子量 融点(℃) 比重(20℃) 屈折率(20℃)
セタノール 16 242.49 51.5-55.5 0.8375 1.4502
ステアリルアルコール 18 270.55 0.8392 1.4529

このようにセタノールとステアリルアルコールのものになります(文献2:1990;文献3:1997)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的でスキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、ヘアケア製品、シート&マスク製品などに幅広く使用されています(文献1:1988)

乳化補助

乳化補助に関しては、セタノールやステアリルアルコールと同様にO/W型エマルションの粘度調整および安定化に乳化助剤として使用されますが、常温下においてはセタノールやステアリルアルコールを単独で使用するよりもこれらが混合されたセテアリルアルコールのほうが、その乳化補助・安定化作用が高いことが報告されています(文献4:1970)

エマルションとは、通常は均一に混ざり合わない2種類の液体を混ぜる130nm~180nmほどの物質のことで、以下の画像のような構造を形成しています。

エマルションの構造

一方が他の液体中に微粒子分散している状態であり、上図は水の中に油が分散した状態のO/W型エマルション(∗2)であり、代表的なO/W型エマルションとしては水中に油滴分散している牛乳があります。

∗2 O/W型とはOil in Water型の略で、水中油型ともいい、水の中に油が分散した(水が多く油が少ない)状態のことです。

化粧品におけるO/W型エマルションとしては、ジェルをはじめジェル寄りのみずみずしい質感の乳液やクリームがあり、これらに多用されています。

このセテアリルアルコールによる乳化安定メカニズムは、エマルション中でセテアリルアルコールの結晶がα型として存在する温度範囲において、ラメラ液晶を形成し、その網目状ゲル構造の形成が本質であると考えられています(文献5:1980)

また非イオン界面活性剤-油-水のエマルションを形成する場合、セテアリルアルコールを添加することで界面活性剤の配合量が減らせることが報告されています(文献6:1980)

感触改良

感触改良に関しては、適度なエモリエント性と乳化補助による粘稠度(∗3)の調整効果があり、古くからクリームや乳液に使用されています(文献1:1988)

∗3 稠度(ちょうど)とは、ペースト状物質の硬さ・軟らかさ・流動性などを意味します。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1982年および2005-2006年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

セテアリルアルコールの配合製品数と配合量の調査結果(1982年および2005-2006年)

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セテアリルアルコールの安全性(刺激性・アレルギー)について

セテアリルアルコールの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性:ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1988)によると、

  • [ヒト試験] 25人の被検者に3%セテアリルアルコールを含むクリームを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチ下で実施したところ、皮膚刺激性または皮膚感作性はなかった(Ivy Research Laboratories Inc,1980)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激および皮膚感作なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1988)によると、

  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼に3%セテアリルアルコールを含むクリーム0.1mLを注入し、3匹のウサギは注入30秒後に眼をすすぎ、眼刺激性を評価したところ、3%セテアリルアルコールを含むクリームは非刺激性に分類された(Stillmeadow Inc,1980)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激性と報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

セテアリルアルコールはベース成分、界面活性剤にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 界面活性剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1988)「Final Report on the Safety Assessment of Cetearyl Alcohol,Cetyl Alcohol, lsostearyl Alcohol,Myristyl Alcohol, and Behenyl Alcohol」International Journal of Toxicology(7)(3),359-413.
  2. 日本油化学協会(1990)「アルコール,グリコール,エーテル」油化学便覧 改訂3版,176-184.
  3. 広田 博(1997)「一価アルコール」化粧品用油脂の科学,75-79.
  4. B.WBarry(1970)「Rheology of emulsions stabilized by sodium dodecyl sulfatelong-chain alcohols」Journal of Colloid and Interface Science(32)(3),551-560.
  5. 福島 正二, 他(1980)「セトステアリルアルコール-非イオン界面活性剤-水系中に生成する液晶」油化学(29)(2),106-110.
  6. 次田 章, 他(1980)「界面活性剤-油-水系及び界面活性剤-油-水-長鎖アルコール系における安定エマルション領域」油化学(29)(4),227-234.

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