ステアリン酸とは…成分効果を解説

ベース成分 表面処理剤
ステアリン酸
[化粧品成分表示名称]
・ステアリン酸

[医薬部外品表示名称]
・ステアリン酸

ステアリン酸は、植物ならヤシ油やパーム油、動物なら牛脂など天然の油脂を高温・高圧で加水分解してグリセリンとともに得られる高級脂肪酸(油性成分)です。

ステアリン酸は、クリームの伸びや硬さなど質感を調整するベース成分として非常に重要な成分で、クリーム、乳液、油性原料、ファンデーションなどに広く使われます。

また、パルミチン酸やミリスチン酸など他の高級脂肪酸と一緒に配合し、水酸化Kと中和反応を起こすことで、洗浄成分のカリ石ケン素地として洗浄製品に使用したり、同じくほかの高級脂肪酸と一緒に配合し、水酸化Naと中和反応を起こすことで、洗浄成分の石ケン素地として洗浄製品に使用します。

他にも代表的な紫外線錯乱剤の酸化チタンや酸化亜鉛の表面を覆う表面処理剤として使われることも多く、ステアリン酸で表面処理した酸化チタンは皮脂などの油に分散してノリが良くなります。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の2012年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

ステアリン酸の配合製品数と配合量の調査結果

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ステアリン酸の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ステアリン酸の現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、一過性のわずか~軽度の眼刺激性があるものの、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Oleic Acid, Laurie Acid, Palmitic Acid, Myristic Acid, and Stearic Acid」(文献1:1987)によると、

  • [ヒト試験] 21人の被検者に40%ステアリン酸を含むミネラルオイルを単一パッチ適用したところ、刺激はなかった
  • [ヒト試験] 101人の被検者に13%ステアリン酸を含むフェイスクリームを開放パッチおよび閉塞パッチ下で単一適用したところ、4人の被検者に閉塞パッチ下で軽度の紅斑がみられたが、刺激剤ではないと結論づけられた
  • [ヒト試験] 105人の被検者に13%ステアリン酸を含むフェイスクリームを4週間適用したところ、刺激剤ではなかった
  • [ヒト試験] 100人の被検者に8%ステアリン酸を含むシェービングクリームを閉塞パッチ下で48時間単一適用し、そののち家で2~4週間毎日使用してもらったところ、パッチに対して皮膚反応はなかったが、家での使用において2人の被検者から軽度のかゆみの報告があった
  • [ヒト試験] 13人の被検者に2.8%ステアリン酸を含むリキッドアイライナーを21日間連続パッチ適用したところ、連続刺激スコアは最大675のうち216で、中等の刺激性が観察された
  • [ヒト試験] 12人の被検者に2.6%ステアリン酸を含む保湿剤を21日間連続パッチ適用したところ、連続刺激スコアは最大675のうち28および56で、基本的に非刺激性と結論付けられた

と記載されています。

多くの試験結果で皮膚刺激性なしと結論付けられているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Oleic Acid, Laurie Acid, Palmitic Acid, Myristic Acid, and Stearic Acid」(文献1:1987)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギに市販品のステアリン酸をDraize法に基づいて適用したところ、刺激はなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギに65%ステアリン酸を含むエチレンオキシドをDraize法に基づいて適用したところ、眼刺激は観察されなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギに50%ステアリン酸を含むワセリンをDraize法に基づいて適用したところ、1日後の眼刺激スコアは4で、2日後に結膜刺激は正常にもどった
  • [動物試験] 6匹のウサギに35%ステアリン酸を含むコーン油をDraize法に基づいて適用したところ、眼刺激スコアは1で、2日後には結膜刺激は正常にもどった
  • [動物試験] 6匹のウサギに13%ステアリン酸を含む製剤をDraize法に基づいて適用したところ、1匹のウサギに虹彩炎が観察された
  • [動物試験] 6匹のウサギに2.8%ステアリン酸を含む製剤をDraize法に基づいて適用し、3匹のウサギの眼をすすぎ、残りの3匹のウサギの眼をすすがなかったところ、1日後で眼をすすがなかったウサギの眼刺激スコアは0.7で、2日後には結膜紅斑は正常にもどった。眼をすすいだウサギに眼刺激はみられなかった
  • [動物試験] 6匹のウサギに2.8%ステアリン酸を含む製剤をDraize法に基づいて適用したところ、眼刺激は観察されなかった
  • [動物試験] 9匹のウサギに2.8%ステアリン酸を含む製剤をDraize法に基づいて適用し、6匹のウサギの眼はすすがず、3匹のウサギの眼はすすいだところ、眼をすすがなかったウサギの48時間後の眼刺激スコアは0.7で72時間後は0.3であった。眼をすすいだウサギの眼刺激スコアも同様でわずかな結膜紅斑がみられた
  • [動物試験] 3匹のウサギに2.8%ステアリン酸を含む製剤をDraize法に基づいて適用したところ、1時間後で最大眼刺激スコア6.0で、結膜刺激は24時間持続した
  • [動物試験] 3匹のウサギに2.8%ステアリン酸を含む製剤をDraize法に基づいて適用したところ、1時間後で最大眼刺激スコア4.0で、わずかな結膜紅斑が24時間持続した
  • [動物試験] 4匹のウサギに1%ステアリン酸を含む製剤をDraize法に基づいて適用したところ、1時間後で最大眼刺激スコア6.0で、すべてのウサギに結膜刺激および2匹のウサギにわずかな角膜刺激がみられたが、24時間で正常にもどった
  • [動物試験] 6匹のウサギに1%ステアリン酸を含む製剤をDraize法に基づいて適用したところ、1時間後で最大眼刺激スコア2.83で、1~3匹のウサギにわずかな角膜刺激と虹彩炎がみられた

と記載されています。

多くの試験結果で一過性のわずか~軽度の眼刺激性がみられるため、一過性のわずか~軽度の眼刺激性が起こると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Oleic Acid, Laurie Acid, Palmitic Acid, Myristic Acid, and Stearic Acid」(文献1:1987)によると、

  • [ヒト試験] 52人の被検者に13%ステアリン酸を含むフェイスクリームを開放パッチおよび閉塞パッチ下で繰り返し適用(HRIPT)したところ、誘導期間において数人の被検者の閉塞パッチ部位に軽度の反応がみられたが、チャレンジ期間においては反応はなかった
  • [ヒト試験] 116人の被検者に10%ステアリン酸を含む製剤を繰り返し適用(HRIPT)したところ、誘導期間において1人の被検者に軽度~中等の紅斑がみられたが、チャレンジ期間では皮膚反応はみられなかった
  • [ヒト試験] 101人の被検者に7.7%ステアリン酸を含むマスカラを繰り返し適用(HRIPT)したところ、誘導期間の8回目のパッチにおいて1人の被検者に皮膚反応があったが、チャレンジパッチでは反応はなかった
  • [ヒト試験] 205人の被検者に5%ステアリン酸を含むマスカラを半閉塞パッチで繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激および皮膚感作性はみられなかった
  • [ヒト試験] 51人の被検者に2.8%ステアリン酸を含むハンドローションを繰り返し適用(HRIPT)したところ、2人の被検者が誘導期間においてわずかな反応を示したが、チャレンジ期間では処置部位および未処置部位ともに反応は示さなかった

と記載されています。

試験結果の多くは皮膚感作性を示さなかったため、皮膚感作(アレルギー)はほとんど起こらないと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ステアリン酸 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ステアリン酸は毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ステアリン酸は ベース成分 にカテゴライズされています。

他のベース成分などベース成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分一覧 表面処理剤

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1987)「Final Report on the Safety Assessment of Oleic Acid, Laurie Acid, Palmitic Acid, Myristic Acid, and Stearic Acid」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818709098563> 2017年11月14日アクセス.

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