ステアリルアルコールとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分
ステアリルアルコール
[化粧品成分表示名称]
・ステアリルアルコール

[医薬部外品表示名称]
・ステアリルアルコール

鯨ロウまたはマッコウ鯨油からセタノールと同時に得られ、またオレイルアルコールに水素添加しても得られる、セタノールやべヘニルアルコールと並ぶ代表的な高級アルコールで、白色のロウに似た感触のある固体です。

化粧品に配合される場合は、皮膚を保護しなめらかにする作用をもち、温和でべとつかない光沢を与え、乳化製品の白色化を促進するためクリーム類や乳化類に使用されます。

実際の配合製品の種類や配合量は、海外の1981年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ステアリルアルコールの配合製品数と配合量の調査(1981年)

また、1985年と2002-2003年の比較調査の結果も以下のように報告されています。

ステアリルアルコールの配合製品数と配合量の比較調査

ヘアコンディショナーやスキンケア化粧品は配合製品数が増えているものが多いのがわかります。

スポンサーリンク

ステアリルアルコールの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

ステアリルアルコールの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性および眼刺激性はほとんどなく、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Stearyl Alcohol,Oleyl Alcohol,and Octyl Dodecanol」(文献1:1985)によると、

  • [ヒト試験] 80人の被検者に100%ステアリルアルコールで単一閉塞パッチ試験を実施したところ、80人中1人に軽度の皮膚刺激が生じた
  • [ヒト試験] 1664人の被検者に30%ステアリルアルコールを含む流動パラフィンと30%オレイルアルコールを含む流動パラフィンを適用したところ、30%ステアリルアルコールを含む流動パラフィンに4人が陽性反応を引き起こし、30%オレイルアルコールを含む流動パラフィンに10人が陽性反応を引き起こした。オレイルアルコールに陽性反応を示した10人のうち3人はステアリルアルコールにも陽性反応を示しており、交差反応が起こった可能性があることを示唆している
  • [動物試験] ウサギに各原料会社から4つのステアリルアルコールのサンプルを24時間適用し刺激スコア(0~4の範囲)を採点したところ、0.4,0.5,1.42,1.5の刺激スコアが記録された。これらは最小限~軽度の皮膚刺激性の指標であった

昭和化学株式会社の安全性データシート(文献2:2014)によると、

  • 化粧品や外用医薬部外品および外用医薬品の製剤成分でもあることから区分外(皮膚刺激性なし)とした

と記載されています。

ヒト試験結果ではごくまれに軽度の皮膚刺激を生じる被検者がいるものの結論に影響のでる数ではなく、外用医薬品としても使用されている成分であることも考慮し、皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Stearyl Alcohol,Oleyl Alcohol,and Octyl Dodecanol」(文献1:1985)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼に各原料会社から4つのステアリルアルコールのサンプルを24時間適用し刺激スコア(0~4の範囲)を採点したところ、3つのサンプルで1日目に最小限の刺激が認められたが、すべてのサンプルにおいて刺激スコアは4日目までに0に減少した

昭和化学株式会社の安全性データシート(文献2:2014)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼刺激試験において3匹中1匹に最高でスコア5が評価されているが、4日目までにスコア0になった。その他は非刺激性と評価されている

と記載されています。

試験結果によると4日目までに一過性の刺激もなくなっているので、一過性の最小限から軽度の眼刺激が起こる可能性がありますが、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Stearyl Alcohol,Oleyl Alcohol,and Octyl Dodecanol」(文献1:1985)によると、

  • [ヒト試験] 2629人の被検者に14%または17%ステアリルルコールを含む発汗抑制剤によるSchwarz-Peck麻酔パッチ試験と8~24%ステアリルアルコールを含む製剤を用いたDraize法に基づいた反復パッチ試験を実施したところ、これらの試験で2629人のいずれも感作反応を示さなかった
  • [動物試験] モルモットでステアリルアルコールを含む消臭剤を用いて2つのDraize反復パッチ試験を実施した。1つは、25匹のモルモットの擦り剥いた皮膚に誘導期間として24時間閉塞パッチ下で50%に希釈したステアリルアルコールを含むワセリンを適用し、2週間の無処置期間を経て無傷および擦り剥いたの両方の未処置部位適用したところ、25匹のうち1匹が不明確なスコアとなったものの、他はいずれも非感作性だった。2つめの類似試験でもチャレンジ時での感作性は認められなかった。これらの試験条件下ではステアリルアルコールは皮膚感作剤ではなかった

昭和化学株式会社の安全性データシート(文献2:2014)によると、

  • 化粧品や外用医薬部外品および外用医薬品の製剤成分でもあることから区分外(皮膚感作性なし)とした

と記載されています。

多くのヒト試験結果が報告されていますが、共通して皮膚感作性は観察されておらず、国内でも重大なアレルギーの報告はないため、アレルギー(皮膚感作)はほとんど起こらないと考えられます。

コメドジェニシティ(ニキビの原因となるアクネ菌の増殖促進性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Stearyl Alcohol,Oleyl Alcohol,and Octyl Dodecanol」(文献1:1985)によると、

  • [動物試験] 2匹のウサギの外耳に週5で2週間ステアリルアルコールを適用したところ、ノンコメドジェニック(∗2)だった

∗2 ノンコメドジェニックというのは、ニキビの原因となるアクネ菌を増殖させる成分を含んでいないことを意味します。

と記載されています。

試験結果はひとつなので根拠としては弱いですが、影響がまったくみられないので、ノンコメドジェニックだと考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ステアリルアルコール 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ステアリルアルコールは毒性なし(∗3)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ステアリルアルコールはベース成分と保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(1985)「Final Report on the Safety Assessment of Stearyl Alcohol,Oleyl Alcohol,and Octyl Dodecanol」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.3109/10915818509078685> 2017年10月18日アクセス.
  2. 昭和化学株式会社(2014)「安全性データシート」, <http://www.st.rim.or.jp/~shw/MSDS/19651350.pdf> 2017年10月18日アクセス.

スポンサーリンク

TOPへ