ジメチコンとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分
ジメチコン
[化粧品成分表示名称]
・ジメチコン

[医薬部外品表示名称]
・メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン(1)

[慣用名]
・ジメチコン

最も代表的なシリコーン油で、オイルに溶けにくい性質をもった無臭・無色透明の液体です。

厳密にいうと、ジメチコンと表示される成分にはデカメチルテトラシロキサンとメチルポリシロキサンがあります。

撥水性(∗1)や潤滑性に優れており、ベタツキ感が少なく、薄く均一の皮膜を形成し、なめらかな感触を肌や髪に与えます。

∗1 液体が常温で気体となって発散することです。

ネットの記事の中には皮膚呼吸を阻害する危険性があると書かれているものもありますが、ジメチコンはストッキングのように網目状になっており、皮膚呼吸を阻害しないことが明らかになっています。

ジメチコンといえば、リンスやコンディショナーなどのヘアケア製品成分として有名だと思いますが、化粧品にもよく配合されています。

化粧品に配合される場合は、乳化物をつくるときに気泡を取り除く消泡剤の役割や油分のベタツキ感を抑えて軽いなめらかな使用感を与えることから質感(テクスチャ)の調整剤に使われたり、撥水性(∗2)が強いことから耐水性の高い被膜をつくるために配合されます。

∗2 表面で水をはじく作用のことです。

実際の配合製品の種類や製品数および配合濃度などが、1998年の海外の調査結果ですが、以下のように報告されています。

ジメチコンの配合製品数と配合量の調査(1998/1999)

シャンプーやコンディショナーなどのヘアケアだけでなく、スキンケア化粧品にも配合数は多く、他の製品も含め非常に幅広く使用されているシリコーンオイルだということがわかります。

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ジメチコンの安全性(刺激性・アレルギー)について

ジメチコンの現時点での安全性は、皮膚刺激性や毒性はほとんどなく、軽度~中程度の眼刺激性が起こる可能性はあるものの、重大なアレルギー(皮膚感作)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗3)やレポートを参照しています。

∗3 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Stearoxy Dimethicone,Dimethicone,Methicone,Amino Bispropyl Dimethicone,Aminopropyl Dimethicone, Amodimethicone, Amodimethicone Hydroxystearate,Behenoxy Dimethicone,C24-28 Alkyl Methicone,C30-45 Alkyl Methicone, C30-45 Alkyl Dimethicone,Cetearyl Methicone, Cetyl Dimethicone,Dimethoxysilyl Ethylenediaminopropyl Dimethicone,Hexyl Methicone, Hydroxypropyldimethicone,Stearamidopropyl Dimethicone, Stearyl Dimethicone,Stearyl Methicone, and Vinyldimethicone」(文献1:2013)によると、

  • [ヒト試験] 54人の前腕に24時間単一閉塞パッチを適用したところ、炎症を起こさなかった(CTFA,1981)
  • [動物試験] 6匹中2匹のウサギにジメチコン溶液0.5mLを24時間閉塞パッチ下で適用し、パッチ除去後24および48時間後に紅斑および浮腫の刺激をスコア化(最大スコア8.0)したところ、刺激スコアは6.54であり、その溶液がウサギに重度の刺激を起こしていると結論づけた(Hazleton Labs,1975)
  • [動物試験] 6匹のウサギに15%ジメチコンを含む乳化物0.5mLを4時間閉塞パッチ下で適用し21日間観察したところ、6匹中4匹で軽度から中程度の紅斑が生じ、紅斑はほとんどのウサギにおいて10日間続いた(The Bushy Run Research Center,1984)
  • [動物試験] 6匹のウサギそれぞれ2箇所にジメチコン(配合量不明)を含むAK350を4時間適用したところ、1および72時間のスコアリングでは刺激は報告されなかった(Hazleton France,1989)
  • [動物試験] 6匹のウサギのそれぞれ2箇所に90%未満のジメチコンを含む調剤を4時間適用したところ、1時間のスコアリングでほぼすべてのウサギにわずかな紅斑および非常に明瞭な紅斑が観察されたが、刺激は時間とともに減少し、72時間のスコアリングでは消滅していた。刺激スコア(最大8.0)は0.40だった(Hazleton France,1989)
  • [動物試験] ウサギの外耳および剃毛した腹部に2種類の35%ジメチコン(タイプPおよびXE-18)を含む乳化物を適用したところ、外耳に刺激はみられなかったが腹部にわずかな刺激を生じた。また翌年に同様の条件下で同じ試験をしたところ同様の反応が生じた(Dow Coming Corp.,1949)
  • [動物試験] ウサギの外耳または無傷の腹部の皮膚にジメチコンを合計10回適用したところ、数日間にわたる長期適用のあとわずかな充血が観察された(Dow Coming Corp.,1953)
  • ウサギの外耳に毎日1回60日間連続でジメチコンを塗布したところ、未処置の耳と比較して変化は認められなかった(Gloxhuber and Hecht,1955a)
  • [動物試験] 3匹のウサギの外耳に40%ジメチコン乳化物を1日2回合計60回および100回塗布したところ、有害作用は認められなかった(Gloxhuber and Hecht,1955b)
  • [動物試験] 2匹のウサギに2種類の35%ジメチコン水溶液(TX-184AおよびTX-184B)を不特定の時間適用し、適用部位を15日間評価したところ、刺激は観察されなかった(Hill Top Research,1967)
  • [動物試験] 3匹のモルモットに100%ジメチコンを1日1回を3日連続で適用したところ、刺激反応はみられなかった(CTFA,1977)

と記載されています。

ひとつの動物試験結果に重度の刺激ありと結論づけていますが、他の動物試験結果は刺激性なしかあってもわずかな紅斑で共通しており、ヒト試験では刺激性なしとなっているため、皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます。

捕捉しておきますが、多数に重度の刺激のある原料であれば日本では扱われないはずですし、実際に国内でジメチコンによる重度の皮膚刺激の報告はみあたらないので、重度の刺激性ありとの試験結果は1件のみということもあり、ここでは有意な報告とみなしませんでした。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Stearoxy Dimethicone,Dimethicone,Methicone,Amino Bispropyl Dimethicone,Aminopropyl Dimethicone, Amodimethicone, Amodimethicone Hydroxystearate,Behenoxy Dimethicone,C24-28 Alkyl Methicone,C30-45 Alkyl Methicone, C30-45 Alkyl Dimethicone,Cetearyl Methicone, Cetyl Dimethicone,Dimethoxysilyl Ethylenediaminopropyl Dimethicone,Hexyl Methicone, Hydroxypropyldimethicone,Stearamidopropyl Dimethicone, Stearyl Dimethicone,Stearyl Methicone, and Vinyldimethicone」(文献1:2013)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼にジメチコンを滴下したところ、眼をすすいだかどうかにかかわらず数時間にわたってわずかな刺激と痛みが生じた(Dow Coming Corp.,1953)
  • [動物試験] ウサギの眼に100%ジメチコンを滴下したところ、眼をすすいだかどうかにかかわらずわずかな結膜刺激が生じたが、24時間以内には落ち着いた(Dow Coming Corp.,1954)
  • [動物試験] ウサギの眼に50%ジメチコン水溶液を滴下したところ、1時間でわずかな結膜刺激が生じたが24時間以内におさまった(Dow Coming Corp.,1972)
  • [動物試験] ジメチコンは、すすぎ洗いをしていないウサギの眼で試験した場合、本質的に刺激反応を示さない(Dow Coming Corp.,1975)
  • [動物試験] 3匹のそれぞれのウサギの結膜嚢にジメチコンを滴下すると結膜反応を起こした。合計刺激スコアは4.7(最大刺激スコア110)で、最小の刺激だと評価された(CTFA,1977)
  • [動物試験] 15%ジメチコンを含む調剤0.1mLは6匹のウサギのすべてに中程度の角膜損傷、虹彩炎および結膜刺激を生じさせた。0.01mLの用量では、すべてのウサギにおいて中程度の結膜刺激および2匹に中程度の虹彩炎が生じた。0.005mLの用量ではすべてのウサギで軽度から中程度の結膜刺激が生じたが72時間までに6匹中5匹の刺激は落ち着いた(The Bushy Run Research Center,1984)
  • [動物試験] 6匹のウサギのそれぞれの片眼に90%ジメチコンを含む調剤0.1mLを注入し、その後7日間観察したところ、欧州委員会の評価基準に基づき非刺激性であると結論づけた(Springbom Labs,1991)

と記載されています。

非刺激性との試験結果も多いですが、複数の試験結果で15%以上の濃度で一過性の眼刺激が認められているため、わずか~中程度の眼刺激が起こる可能性が考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Final Report on the Safety Assessment of Stearoxy Dimethicone,Dimethicone,Methicone,Amino Bispropyl Dimethicone,Aminopropyl Dimethicone, Amodimethicone, Amodimethicone Hydroxystearate,Behenoxy Dimethicone,C24-28 Alkyl Methicone,C30-45 Alkyl Methicone, C30-45 Alkyl Dimethicone,Cetearyl Methicone, Cetyl Dimethicone,Dimethoxysilyl Ethylenediaminopropyl Dimethicone,Hexyl Methicone, Hydroxypropyldimethicone,Stearamidopropyl Dimethicone, Stearyl Dimethicone,Stearyl Methicone, and Vinyldimethicone」(文献1:2013)によると、

  • [ヒト試験] 103人の被検者の腕に誘導期間においてシクロメチコン中に5%ジメチコンを含む溶液0.3mLを24時間閉塞パッチで合計10回適用したところ、この溶液は刺激剤でも感作剤でもないと結論づけた(Hill Top Research,1984)
  • [動物試験] 10匹の脱毛したモルモットの背中に誘導期間として79%ジメチコンを含むゲル0.1mLを48時間閉塞パッチで10日間適用し、10日間の無処置期間を経て、チャレンジパッチを適用しパッチ除去後24,48および72時間後で評価したところ、チャレンジ期間に感作反応は観察されなかった(Dow Coming Corp.,1985)
  • [動物試験] 10匹のモルモットに誘導期間としてジメチコン溶液0.2mLを10日間で48時間ガーゼ下で4回適用し、12日間の無処置期間を経て24時間チャレンジパッチを未処置部位に適用した。チャレンジ適用後24,48および72時間後に評価したところ、誘導期間に刺激は認められず、チャレンジ期間でも感作反応を生じなかった(Dow Coming Corp.,1991)

と記載されています。

試験結果では共通して皮膚感作性はなかったため、アレルギー(皮膚感作)はほとんど起こらないと考えられます。

安全性についての捕捉

ジメチコンをはじめとするシリコーンは合成成分なので、とくにオーガニック化粧品関係の記事をみると、できれば使わないほうがいいと書かれていることが多いです。

その根拠を調べていくと、ジメチコンは皮膚呼吸を阻害するというものと高分子なので肌の常在菌が食べることができずに死滅してしまうというものが主なものでした。

皮膚呼吸を阻害するという理由については、そもそもジメチコンは網目状に構成されていて皮膚呼吸を阻害することがないことが明らかにされていることをすでに解説しました。

もうひとつの、肌の常在菌が死滅するという理由も結論からいうとありえません。

まず肌の常在菌を知らない方のために簡単に説明しておくと、常在菌は健康なヒトの皮膚の表面に存在する菌で、外界の物理的・化学的・細菌などによる刺激から皮膚を守る防御機能を担っています。

その常在菌のエサは、肌が絶えず分泌している皮脂や汗などでエサがなくなることはありません。

つまり、どちらも根拠がなく杞憂だといえます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
ジメチコン

参考までに化粧品毒性判定事典によると、ジメチコンは■(∗4)となっていますが、合成ポリマー全般にこのような判定になっているため、すでにこのページで解説した理由から毒性の心配はないと考えています。

∗4 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

ジメチコンはベース成分と保湿成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2003)「Final Report on the Safety Assessment of Stearoxy Dimethicone,Dimethicone,Methicone,Amino Bispropyl Dimethicone,Aminopropyl Dimethicone, Amodimethicone, Amodimethicone Hydroxystearate,Behenoxy Dimethicone,C24-28 Alkyl Methicone,C30-45 Alkyl Methicone, C30-45 Alkyl Dimethicone,Cetearyl Methicone, Cetyl Dimethicone,Dimethoxysilyl Ethylenediaminopropyl Dimethicone,Hexyl Methicone, Hydroxypropyldimethicone,Stearamidopropyl Dimethicone, Stearyl Dimethicone,Stearyl Methicone, and Vinyldimethicone」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1080/10915810390204854> 2017年10月15日アクセス.

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