ジメチコノールとは…成分効果と毒性を解説





・ジメチコノール
化学構造的にジメチコンの分子両端末にシラノール(Si-OH)基をもつ高重合の重合体(∗1)であり、ガム状シリコーン油です。
∗1 重合とは、複数の単量体(モノマー)が結合して鎖状や網状になる反応のことをいい、単量体(モノマー)が結合して鎖状または網状になった化合物を重合体(ポリマー)といいます。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的で、ヘアケア製品、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ボディ&ハンドケア製品などに使用されています(文献1:2017)。
感触改良
感触改良に関しては、滑りや感触はジメチコンに近いものの、化学構造的に両末端に親水性のシラノール基をもつことで、ジメチコンと比較してやや滑らかな感触を付与します(文献2:2015;文献3:2014)。
皮膜形成
皮膜形成に関しては、ジメチコンと比較して耐水性および持続性のある滑らかな感触の皮膜を形成します(文献2:2015)。
潤滑性付与によるヘアコンディショニング作用
潤滑性付与によるヘアコンディショニング作用に関しては、化学構造的に両末端に親水性のシラノール基をもつことから、ジメチコンと比較してやや滑らかな感触を付与し、櫛通りを改善します(文献3:2014)。
ジメチコンは疎水性であり、ダメージを受けた毛髪の親水部への親和性が低いことから、ダメージ毛髪への効果は弱く、一方でアモジメチコンやアミノプロピルジメチコンなどアミノ変性シリコーンは、アミノ基が親水部と高い親和性を示すことからダメージ毛髪への効果が高い中で、ジメチコノールはシラノールが親水性であることから、ジメチコンとアミノ変性シリコーンの中間あたりのダメージ毛髪への効果を示します(文献3:2014)。
実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。
ジメチコノールの安全性(刺激性・アレルギー)について
- 10年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
- [ヒト試験] 104人の被検者に1.125%ジメチコノールを含むボディローションを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を半閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者にも目に見える皮膚反応はなく、この製品は皮膚刺激および皮膚感作を誘発しないと結論づけられた(Consumer Product Testing Co,2010)
と記載されています。
試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
眼刺激性について
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。
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ジメチコノールはベース成分、皮膜形成剤にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
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文献一覧:
- Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Dimethiconol and Its Esters and Reaction Products as Used in Cosmetics」International Journal of Toxicology(36)(3_Suppl),31S-50S.
- 宇山 侊男, 他(2015)「ジメチコノール」化粧品成分ガイド 第6版,65.
- 堀江 豊(2014)「シリコーンヘアコンディショニング剤」化粧品の安全・安心の科学 -パラベン・シリコーン・新原料,128-136.
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