ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンとは…成分効果と毒性を解説





・ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン
[医薬部外品表示名称]
・メチルフェニルポリシロキサン
化学構造的にジメチコンのメチル基の一部をフェニル基に置換した直鎖状重合物であり、代表的なシリコーン油(ストレートシリコーン油)です。
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンは、ジメチコンと類似した性状・物性を有していますが、フェニル基が導入されていることから、エタノールに溶ける相溶性がジメチコンと異なる特徴です(文献2:2012;文献3:2016)。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的で、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、スキンケア化粧品、ヘアケア製品、シート&マスク製品などに使用されています。
感触改良
感触改良に関しては、粘度が低く、油分のベタつき感を抑え、サラッとした軽い質感で、すべりや伸びに優れており、さらに他の成分が皮膚や毛髪上に広がるのを助ける働きをすることから、感触調整剤として汎用されています(文献2:2012;文献3:2016)。
皮膜形成
皮膜形成に関しては、撥水性(∗1)および潤滑性に優れたツヤのある被膜を形成するため、皮膜形成剤として汎用されています(文献2:2012)。
∗1 撥水性とは水をはじく性質のことです。
分散
分散に関しては、化粧品原料として酸化チタンや酸化亜鉛の分散剤として配合されているため、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンで分散した酸化チタンまたは酸化亜鉛を処方する場合は一緒に配合されます(文献4:-;文献5:-)。
ただし、屈折率が大きいため、乳化物に白さがでやすいです(文献3:2016)。
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンの安全性(刺激性・アレルギー)について
- 薬添規2018規格の基準を満たした成分が収載される医薬品添加物規格2018に収載
- 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
- 10年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし
- 眼刺激性:ほとんどなし
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
- [動物試験] ウサギの皮膚にジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(濃度不明)を対象に24時間閉塞パッチ試験を実施し、皮膚刺激性を評価したところ、ほとんどが陰性であり、皮膚刺激性なしと結論付けられた
- [動物試験] マウスを用いてジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(濃度不明)を対象に皮膚感作性試験を実施し、皮膚感作性を評価したところ、この試験物質は皮膚感作剤ではなかった
と記載されています。
試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されていることから、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。
眼刺激性について
- [動物試験] ウサギの眼にジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(濃度不明)を点眼し、眼刺激性を評価したところ、眼刺激性なしと結論付けられた
と記載されています。
試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されていることから、眼刺激性はほとんどないと考えられます。
∗∗∗
ジフェニルシロキシフェニルトリメチコンはベース成分、被膜形成剤にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
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文献一覧:
- 信越化学工業株式会社(2010)「KF-56A」Safety Data Sheet.
- 鈴木 一成(2012)「メチルフェニルポリシロキサン」化粧品成分用語事典2012,626
- 日光ケミカルズ(2016)「シリコーン油およびフッ素油」パーソナルケアハンドブック,87-94.
- 大日本化成株式会社(-)「コスメサーブ WP-58MP(V)」技術資料.
- 大日本化成株式会社(-)「コスメサーブ WPA-STD(V)-2」技術資料.
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