ジグリセリンとは…成分効果と毒性を解説



・ジグリセリン
[医薬部外品表示名称]
・ジグリセリン
化学構造的に脱水縮合して水分子を取り除いたグリセリンを2個結合した二量体(∗1)のポリグリセリン(∗2)であり、また4つのヒドロキシ基(水酸基:-OH)をもつ多価アルコール(四価アルコール)(∗3)です。
∗1 複数の分子結合がまとまって機能する複合体を多量体といい、ジグリセリンの場合、2個のグリセリンがまとまって機能しているため二量体として働きます。
∗2 「ポリ(poly)」とは「複数の」を意味する接頭語であり、グリセリンが2個以上結合したものをポリグリセリンと総称します。化粧品においては10個結合したものまで使用されます。
∗3 多価アルコールとは、2個以上のヒドロキシ基(水酸基:-OH)をもつアルコールを指し、水酸基の影響で非常に高い吸湿性と保水性をもっているため化粧品に最も汎用されている保湿剤です。名称に「アルコール」がついているので勘違いしやすいですが、一般的なアルコール(エタノール)は1個の水酸基をもつ一価アルコールで、多価アルコールと一価アルコール(エタノール)は別の物質です。
化粧品に配合される場合は、
これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、洗顔料、まつ毛美容液、ヘアケア製品、シート&マスク製品などに汎用されています。
角質層の柔軟化および水分量増加による保湿作用
角質層の柔軟化および水分量増加による保湿作用に関しては、グリセリンと同様に吸湿性・保湿性を有していますが、グリセリンと比較して粘性および高いしっとり感を有しており、しっとり系スキンケア化粧品をはじめ幅広い製品に汎用されています(文献1:2016;文献2:2015)。
ジグリセリンの安全性(刺激性・アレルギー)について
- 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
- 10年以上の使用実績
- 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
- 眼刺激性:詳細不明
- 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)
このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。
以下は、この結論にいたった根拠です。
皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について
医薬部外品原料規格2006に収載されており、10年以上の使用実績の中で重要な皮膚刺激および皮膚感作の報告がみあたらないため、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。
眼刺激性について
試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。
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ジグリセリンはベース成分、保湿成分にカテゴライズされています。
成分一覧は以下からお読みください。
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文献一覧:
- 日光ケミカルズ(2016)「多価アルコール」パーソナルケアハンドブック,95-103.
- 宇山 侊男, 他(2015)「ジグリセリン」化粧品成分ガイド 第6版,51.
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