シクロメチコンとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 感触改良 溶剤
シクロメチコン
[化粧品成分表示名称]
・シクロメチコン

[医薬部外品表示名称]
・デカメチルシクロペンタシロキサン

化学構造的にシロキサン(∗1)が環状結合した分子構造骨格を持つ環状重合物であり、5個のシロキサンが環状結合した5量体(∗2)シクロペンタシロキサン(デカメチルシクロペンタシロキサン)を主として4量体-6量体の環状シロキサンの混合物で構成される環状シリコーン油です。

∗1 シロキサンとは、Si(ケイ素)とO(酸素)が交互に連なったシロキサン結合構造を骨格とする合成高分子化合物の総称で、一般にシリコーンと呼ばれます。

∗2 複数の分子結合がまとまって機能する複合体を多量体といい、シクロメチコンの場合、5個のシロキサン結合がまとまって機能しているため5量体です。

シクロメチコンを構成する4量体-6量体のそれぞれの特性は、

多量体 名称 分子量 揮発性(∗3) 皮膜性(耐水性)
4量体 オクタメチルシクロテトラシロキサン 296.6 高い やや低い
5量体 デカメチルシクロペンタシロキサン 370.8 やや高い 高い
6量体 ドデカメチルシクロヘキサシロキサン 444.9 低い 高い

∗3 揮発性とは、液体が蒸発しやすい性質のことです。

このように報告されています(文献3:2014;文献5:2015)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、日焼け止め製品、スキンケア化粧品、ヘアスタイリング製品、制汗剤、ネイル製品などに汎用されています(文献2:2011)

感触改良

感触改良に関しては、低粘度でベタつきを抑えてさっぱり感を付与し、広がりや伸びがよく、他の化粧品成分と相溶性に優れていることからスキンケア化粧品、、乳化系メイクアップ化粧品、日焼け止め製品に配合されます(文献4:2016;文献6:2012)

また揮発性に優れた4量体の混合比率が高いものはエアゾール製品などの制汗剤に使用されます(文献5:2015)

溶剤

溶剤に関しては、化粧品原料として高重合シリコーンの溶剤として配合されているため、シクロメチコンで溶解した高重合シリコーンを処方する場合は一緒に配合されます。

また、シクロメチコンが撥水性(∗4)の被膜形成能を有するシリコーンを溶かし込んでいる原料を配合した製品の場合、皮膚に塗布することでシクロメチコンはすぐに揮発し、溶かし込んでいたシリコーンの皮膜形成を促進することから、ウォータープルーフ系(∗5)製品に配合されています(文献6:2012)

∗4 撥水性とは水をはじく性質のことです。
∗5 ウォータープルーフとは耐水性のことであり、汗や涙、水などに強く落ちにくいという意味で用いられます。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2008-2009年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

シクロメチコンの配合製品数と配合量の調査(2008-2009年)

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シクロメチコンの安全性(刺激性・アレルギー)について

シクロメチコンの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1991)によると、

  • [ヒト試験] 50人の被検者にシクロメチコンを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、すべての被検者で皮膚刺激スコアは0であり、この試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた(Dow Corning,1976)
  • [ヒト試験] 52人の被検者にシクロメチコンを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、すべての被検者で皮膚刺激スコアは0であり、この試験物質は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論付けられた(Dow Corning,1977)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されていることから、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1991)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼に未希釈のシクロメチコンを点眼し、眼刺激性を評価したところ、洗眼の有無にかかわらず、わずかな角膜刺激が観察されたが、24以内にすべての刺激は消失した(Dow Corning,1956)
  • [動物試験] ウサギの眼に未希釈のシクロメチコンを点眼し、眼刺激性を評価したところ、洗眼の有無にかかわらず、わずかな角膜刺激が観察されたが、24以内にすべての刺激は消失した(Dow Corning,1971)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、一過性のわずかな眼刺激性が報告されていることから、一過性のわずかな眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

∗∗∗

シクロメチコンはベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1991)「Final Report on the Safety Assessment of Cyclomethicone」Journal of the American College of Toxicology(10)(1),9-19.
  2. Cosmetic Ingredient Review(2011)「Safety Assessment of Cyclomethicone, Cyclotetrasiloxane, Cyclopentasiloxane, Cyclohexasiloxane, and Cycloheptasiloxane」International Journal of Toxicology(30)(6),149S-227S.
  3. 近藤 秀俊, 他(2014)「シリコーンの歴史と安全性」化粧品の安全・安心の科学 -パラベン・シリコーン・新原料,98-109.
  4. 日光ケミカルズ(2016)「シリコーン油およびフッ素油」パーソナルケアハンドブック,87-94.
  5. 宇山 光男, 他(2015)「シクロメチコン」化粧品成分ガイド 第6版,64.
  6. 鈴木 一成(2012)「揮発性シリコーン」化粧品成分用語事典2012,619-620

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