シクロペンタシロキサンとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分
シクロペンタシロキサン
[化粧品成分表示名称]
・シクロペンタシロキサン

[医薬部外品表示名称]
・デカメチルシクロペンタシロキサン

環状シリコーンの一種で、揮発性のある無色無臭のシリコーンオイルです。

揮発性というのは、常温でも蒸発するという意味で、さっぱりして使用感が軽く、油なのにすぐに蒸発するタイプのシリコーン油のことです。

溶剤として混ざったクリームなどの中で、シクロペンタシロキサンが蒸発すると皮膜が形成され、形成された皮膜は撥水性(∗1)や潤滑性に優れています。

∗1 水をはじく性質のことです。

そのため、トリートメントなどヘアケア製品に使うと、毛髪のツヤがでたり、くし通りがよくなりますし、高い撥水性を目的にウォータープルーフ系の日焼け止めにも配合されます。

また、撥水性を高めて化粧崩れを防止したり、質感の滑らかさや伸びをよくするなどの目的でファンデーションなどのメイクアップ化粧品に配合されたり、感触改良などの目的でスキンケア製品などに使用されます。

実際の使用状況と配合濃度は、2009年の海外の調査になりますが、”Cosmetic Ingredient Review”(2011)「Safety Assessment of Cyclomethicone,Cyclotetrasiloxane, Cyclopentasiloxane,Cyclohexasiloxane, and Cycloheptasiloxane」によると、

シクロペンタシロキサンの配合製品数と配合量の調査(2009年)

1,600以上の製品に配合されており、とくに保湿化粧品をはじめとするスキンケア化粧品に多く、配合量の範囲の大きさも特徴的です。

2017年の日本でも4,000以上の製品に配合されており、非常に広く使用されているシリコーンです。

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シクロペンタシロキサンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

シクロペンタシロキサンの現時点での安全性は、4,000を超える製品に高い配合濃度で使用されており、皮膚刺激性はほとんどなく、眼刺激性についてはデータ不足により詳細不明ですが、皮膚感作性(アレルギー性)の報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗2)やレポートを参照しています。

∗2 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Cyclomethicone,Cyclotetrasiloxane, Cyclopentasiloxane,Cyclohexasiloxane, and Cycloheptasiloxane」(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] 153人に誘導期間として90.37%シクロペンタシロキサンを含むヘアスプレー製品を24時間半閉塞パッチで週3回を3週間にわたって実施し、10~17日間の無処置期間を経て24時間のチャレンジパッチを適用し、24時間および72時間後に反応を採点したところ、わずか~軽度の反応が22人で観察されたが、この皮膚反応は臨床的に意味のある刺激ではないと考えられた
  • [ヒト試験] 上の試験とは別の154人に89.75%シクロペンタシロキサンを含むヘアスプレー製品を上の試験の手順に従って実施し100人が完了したところ、誘導段階またはチャレンジ段階の間に15人にほとんど見えないレベルの反応が観察されたが、観察された皮膚反応は臨床的に意味のある刺激ではないと考えられた
  • [ヒト試験] 96%が敏感肌と自己評価している106人の参加者(18~66歳)の背中に56.3%シクロペンタシロキサンを含む消臭剤を閉塞パッチし、誘導段階の後に10~15日の無処置期間をおいてチャレンジパッチ適用の48および72時間後に反応を採点したところ、参加者のいずれも誘発またはチャレンジ段階の間に反応を示さなかったため、シクロペンタシロキサンが刺激物質である根拠は得られなかった

厚生労働省が運営している”職場の安全サイト”の安全性データシート(文献2:2012)によると、

  • [動物試験] ウサギの皮膚に500mgを24時間適用して軽度の刺激性があると報告されているRTECS(2009)のデータを掲載しながらもデータ不足としており、安全性の詳細は不明

WACKERの安全性データシート(文献3:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギによる試験の結果、皮膚刺激なし

と記載されています。

データ不足としているデータもありますが、多くの試験結果で皮膚刺激性なしと結論づけているものも多く、4,000を超える製品に使用されている現状があり、かなり配合量が多い製品も増えている中で皮膚刺激による重大な報告がないことから、総合的に健康肌、敏感肌を問わずほとんど皮膚刺激がないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Cyclomethicone,Cyclotetrasiloxane, Cyclopentasiloxane,Cyclohexasiloxane, and Cycloheptasiloxane」(文献1:2011)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼にシクロペンタシロキサン0.1~0.2mLを注入した後、重度の角膜浮腫および白濁が1日以内に誘発され、これらの症状は時間の経過とともに悪化した
  • [動物試験] 768匹のラットを4つのグループに分け、それぞれ目標曝露レベルを0ppm(曝露なし)、10ppm(0.15mg)、40ppm(0.6mg、グループ3)、160ppm(2.42mg、グループ4)とし、ラットを1~2年間にわたって5日/週(6時間/日)のペースで全身曝露したところ、検眼検査では、異常は認められなかった

厚生労働省が運営している”職場の安全サイト”の安全性データシート(文献2:2012)によると、

  • [動物試験] ウサギの眼に適用24時間後に観察した傷害の程度が、10段階評価において最小の1であったことに基づき、目刺激はほとんどない

WACKERの安全性データシート(文献3:2016)によると、

  • [動物試験] ウサギによる試験の結果、眼刺激なし

と記載されています。

試験結果によると、共通してほとんど眼刺激性なしと結論づけられていますが、ひとつの試験において重度の眼刺激性が観察されているため、眼刺激性の詳細は不明です。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Cyclomethicone,Cyclotetrasiloxane, Cyclopentasiloxane,Cyclohexasiloxane, and Cycloheptasiloxane」(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] 153人に誘導期間として90.37%シクロペンタシロキサンを含むヘアスプレー製品を24時間半閉塞パッチで週3回を3週間にわたって実施し、10~17日間の無処置期間を経て24時間のチャレンジパッチを適用し、24時間および72時間後に反応を採点したところ、わずか~軽度の反応が22人で観察されたが、この皮膚反応は臨床的にアレルギー性ではないと考えられた
  • [ヒト試験] 105人の参加者(18~70歳)に55.76%シクロペンタシロキサンを含む制汗剤を誘導期間に閉塞パッチし、誘導段階の後に10~15日の無処置期間をおいてチャレンジパッチ適用の48および72時間後に反応を採点したところ、参加者のいずれも誘導またはチャレンジ期間に反応を示さなかったため、シクロペンタシロキサンが感作物質である根拠は得られなかった

WACKERの安全性データシート(文献3:2016)によると、

  • [動物試験] マウスによる局所リンパ試験とモルモットによるビューラー法の結果、皮膚感作性なし

と記載されています。

安全性データでは共通して皮膚感作性なしと結論付けられているおり、シクロペンタシロキサンは4,000以上の製品に使用されていながらも、国内でアレルギーの重大な報告もないため、現時点ではアレルギーが起こる可能性は低いと考えられます。

安全性についての捕捉

シクロペンタシロキサンは代表的なシリコーンですが、シリコーンは体へ蓄積される、頭皮が呼吸できないなどなど人体に害のある成分であるという情報がネット上に散見されますが、実際は毛髪に過剰に付着することはなく、またコンディショナーの成分として髪に残ったシリコーンも次の洗髪時に洗い流されるので、毛髪に蓄積したり、毛穴に詰まることはありませんし、地肌や毛髪にダメージを与えることもありません。

それどころか、シリコーンは洗髪中に毛髪のきしみを抑えながら、すすぎ時の指通りをなめらかにし、洗髪時の毛髪のダメージを軽減する効果があり、さらに髪にツヤを与え、なめらかな仕上がりを実現することができます。

これらシリコーンの安全性に関しては資生堂の研究開発ページ新しいウィンドゥが開きますで検証実験結果が豊富に掲載されているので合わせて参照してください。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
シクロペンタシロキサン

参考までに化粧品毒性判定事典によると、シクロペンタシロキサンの毒性は■(∗3)となっていますが、これは合成ポリマー共通の判定であり、試験結果や安全データをみる限りでは安全性に問題はないと考えられます。

∗3 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

シクロペンタシロキサンは ベース成分 にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2011)「Safety Assessment of Cyclomethicone,Cyclotetrasiloxane, Cyclopentasiloxane,Cyclohexasiloxane, and Cycloheptasiloxane」, <http://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/1091581811428184> 2017年10月12日アクセス.
  2. “職場の安全サイト”(2012)「安全データシート」, <http://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/541-02-6.html> 2017年8月29日アクセス.
  3. WACKER(2016)「安全データシート」, <https://www.wacker.com/cms/en/products/product/product.jsp?product=13106> 2017年8月29日アクセス.

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