ザクロ種子油とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分 細胞賦活
ザクロ種子油
[化粧品成分表示名称]
・ザクロ種子油

[慣用名]
・ザクロオイル、ザクロシードオイル、ポメグラネイトシードオイル

ミソハギ科植物ザクロ(学名:Punica granatum 英名:pomegranate)の種子から得られる植物油(植物オイル)です。

ザクロは小アジア地方を原産とし、今日ではトルコから中東を中心に世界各地で栽培されています。

ザクロには種子が多いため、古代ヨーロッパでは豊穣のシンボルとして、中国では子孫繁栄の象徴として考えられていました。

ザクロの種子には人のエストロゲンの一種であるエストロンが含まれていることが報告されており、1998年には女性ホルモン様作用があり、更年期生涯などに効果があるとして話題になったが、2000年に国民生活センターによる発表ではザクロ果汁からは女性ホルモン物質は検出されなかったことが明らかになった(文献4:2011)

ザクロ種子油の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 10.0
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 9.0
プニカ酸 不飽和脂肪酸 C18:3 67.6
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 4.5
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 3.3

このような種類と比率で構成されています(文献2:1990)

共役リノレン酸であるプニカ酸が主成分として多量に含有されているのが特徴で、プニカ酸は二重結合が3つの不飽和脂肪酸であるため、酸化安定性はかなり低い(酸化しやすい)と考えられます。

不けん化物(∗1)としては、スクアレン、ポリコサノール、フィトステロール、トリテルペンアルコールおよびトコフェロールなどが含まれています(文献5:2010)

∗1 不けん化物とは、アルカリで加水分解(鹸化)したときに鹸化されずに残った物質の総称で、ステロール、色素、脂溶性ビタミンなどです。

またヨウ素価は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類
161-170 乾性油

一例としてこのように記載されており(文献3:1990)、130以上の乾性油のため、乾燥性が高いと考えられます。

乾油性とは、皮膜状に空気中に放置すると、固化して弾性のある乾燥皮膜を生じるオイルのことで、たとえば油性塗料に用いることで塗料の乾きが早くなります。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、洗顔料&洗顔石鹸、洗浄製品、ボディ&ハンドケア製品などに使用されています(文献1:2017)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、プニカ酸を65%以上含有しているため、肌なじみに優れ、サッパリとした軽い質感のエモリエント剤ですが、酸化安定性が低く、ほかの酸化安定性の高い植物油と併用して使用されます(文献1:2017)

また酸化しやすいため、他の酸化安定性の高い植物油と併用して使用されています。

表皮ケラチノサイト増殖による細胞賦活作用

表皮ケラチノサイト増殖による細胞賦活作用に関しては、2006年にミシガン大学医学部病理学科によって報告されたザクロ種子油の効果検証によると、

ザクロ種子油は単層培養においてケラチノサイト増殖を促進し、並行して表皮の穏やかな肥厚化(規則的な分化喪失なし)が皮膚器官培養物において観察された。

一方で、線維芽細胞機能には影響を及ぼさなかった。

これらの結果からザクロ種子油は表皮の再生を促進する可能性が示唆された。

このような検証結果が明らかにされており(文献6:2006)、ザクロ種子油に表皮ケラチノサイト増殖による細胞賦活作用が認められています。

試験報告では、ケラチノサイトの増殖促進および表皮の穏やかな肥厚化としか言及していませんが、表皮ケラチノサイトの増殖によって表皮の新陳代謝促進およびターンオーバーの活性化が想定されるため、細胞賦活作用としています。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

ザクロ種子油の配合製品数と配合量の調査結果(2010年)

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ザクロ種子油の安全性(刺激性・アレルギー)について

ザクロ種子油の現時点での安全性は、

  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし(データなし)
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし(データなし)

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

化粧品配合量および通常使用下において、一般的に皮膚刺激および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられますが(文献1:2017)、詳細な安全性試験データがみあたらず、データ不足のため詳細は不明です。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

∗∗∗

ザクロ種子油はエモリエント成分、ベース成分、細胞賦活成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分 細胞賦活成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
  2. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の脂肪酸組成」油化学便覧 改訂3版,104-110.
  3. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の性状」油化学便覧 改訂3版,99-101.
  4. 鈴木 洋(2011)「ザクロ」カラー版健康食品・サプリメントの事典,78.
  5. A Caligiani, et al(2010)「Characterization of a Potential Nutraceutical Ingredient: Pomegranate (Punica granatum L.) Seed Oil Unsaponifiable Fraction」Plant Foods for Human Nutrition(65)(3),277–283.
  6. MN Aslam, et al(2006)「Pomegranate as a cosmeceutical source: Pomegranate fractions promote proliferation and procollagen synthesis and inhibit matrix metalloproteinase-1 production in human skin cells」Journal of Ethnopharmacology(103)(3),311-318.

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