サフラワー油とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分
サフラワー油
[化粧品成分表示名称]
・サフラワー油

[医薬部外品表示名称]
・サフラワー油、サフラワー油(2)

[慣用名]
・ベニバナ油

キク科植物ベニバナ(学名:Carthamus tinctorius 英名:Safflower)の種子を圧搾または抽出して得られる植物油(植物オイル)です。

ベニバナはエジプト原産といわれており、古代より薬用や染料などにする重要な植物で、南ヨーロッパ、エジプト、中近東、インド、中国などで広く栽培され、日本には奈良時代に渡来し、染料用、油料用、切花用などに各地で栽培されています。

学名で種名でもあるtinctoriusは「染色用の」という意味で、日本では平安時代よりアカネに代わり、染料や口紅の原料に用いられていました。

江戸時代に山形藩が栽培を奨励して一大産業に育て上げ、山形産のベニバナは女性たちに欠かせない化粧品として京や大阪で飛ぶように売れ、今日でも化粧品の色づけとして使用されています(文献6:2018)

またベニバナ油(サフラワー油)は、塗料、石鹸をはじめサラダ油やマーガリンの原料として用いられています(文献5:2011)

サフラワー油の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 12.6
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 77.4
リノレン酸 不飽和脂肪酸 C18:3 0.1
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 6.8
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 2.5

このような種類と比率で構成されています(文献2:1990)

リノール酸が約75%、オレイン酸が約10%を占めており、リノール酸は二重結合を2つもっている酸化安定性の低い(自動酸化速度はオレイン酸の約10倍速い)不飽和脂肪酸であるため、酸化安定性は低いと考えられます。

またヨウ素価は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類
120-150 乾性油

一例としてこのように記載されており(文献3:1990)、130以上の乾性油のため、乾燥性が高いと考えられます。

乾油性とは、皮膜状に空気中に放置すると、固化して弾性のある乾燥皮膜を生じるオイルのことで、たとえば油性塗料に用いることで塗料の乾きが早くなります。

サフラワー油には、これら通常のサフラワー油のほかに品種改良してオレイン酸含有量を80%以上にし、酸化安定性を高めたハイブリッドサフラワー油も実用化されています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、ヘアケア製品、洗顔料&洗顔石鹸、リップ製品、ネイル製品などの製品に使用されます(文献4:2016)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、1983年にコーセーによって報告された油脂の抱水力比較によると、

抱水力をもたないスクワランを比較対照として、アボカド油オリーブ果実油ブドウ種子油、サフラワー油、コムギ胚芽油モモ核油ホホバ種子油の抱水力を比較検討したところ、以下の表のように、

油性成分 抱水力(%)
アボカド油 5
オリーブ果実油 8
ブドウ種子油 14
サフラワー油 3
コムギ胚芽油 40
モモ核油 10
ホホバ種子油 5
スクワラン 0

サフラワー油は、いくらかの抱水力をもっており、ごくわずかな湿潤性を有していることが示された。

このような検証結果が明らかにされており(文献7:1983)、サフラワー油にはほとんど抱水力はなく、一般的な水分蒸散抑制によるエモリエント作用として、各種クリーム、マッサージオイル、サンオイル、ヘアオイルなどに使用されます(文献4:2016)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2002-2003年および2010年の比較調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

サフラワー油の配合製品数と配合量の調査(2002-2003年および2010年)

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サフラワー油の安全性(刺激性・アレルギー)について

サフラワー油の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [ヒト試験] 214人の被検者に5%サフラワー油を含むクレンジングオイルの10%水溶液0.2mLを対象にHRIPT(皮膚累積刺激&感作試験)を半閉塞パッチ下で実施したところ、誘導期間において3人の被検者に疑わしい皮膚反応が観察され、そのうち1人は7回目の誘導パッチにおいて紅斑が観察されたが、未試験部位でのパッチ適用は皮膚反応が観察されなかった。他にはいずれの被検者も皮膚反応は観察されず、試験物質は皮膚感作物質ではないと結論付けられた(TKL Research,2010)
  • [ヒト試験] 107人の被検者に30%サフラワー油を含むマッサージオイル0.2mLを対象にHRIPT(皮膚累積刺激&感作試験)を半閉塞パッチ下で実施したところ、7回目の誘導パッチにおいて1人の被検者にわずかな紅斑が観察されたが、それ以降紅斑はみられなかった。ほかのいずれの被検者も皮膚反応は観察されず、試験物質は皮膚刺激剤または皮膚感作剤ではなかった(Institut D’Expertise Clinque,2008)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

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サフラワー油はエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
  2. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の脂肪酸組成」油化学便覧 改訂3版,104-110.
  3. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の性状」油化学便覧 改訂3版,99-101.
  4. 日光ケミカルズ(2016)「油脂」パーソナルケアハンドブック,4.
  5. 鈴木 洋(2011)「紅花(こうか)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,134-135.
  6. ジャパンハーブソサエティー(2018)「サフラワー」ハーブのすべてがわかる事典,91.
  7. 足立 佳津良(1983)「エモリエント剤―最近10年の進歩と発展」Fragrance Journal(62)(5),46-49.

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