コーン油(トウモロコシ胚芽油)とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分
コーン油
[化粧品成分表示名称]
・コーン油、トウモロコシ胚芽油

[医薬部外品表示名称]
・トウモロコシ油

[慣用名]
・コーンオイル

イネ科植物トウモロコシ(学名:Zea mays 英名:corn)の胚芽(∗1)から得られる植物油(植物オイル)です。

∗1 胚芽は、トウモロコシからでん粉(コーンスターチ)を生産する際の副産物として得られます。

トウモロコシは、熱帯アメリカ原産で、コロンブスがヨーロッパに伝え、日本には安土・桃山時代にポルトガル宣教師から伝えられたことから古くは「南蛮黍(なんばんきび)」と呼ばれていました。

トウモロコシは、コムギ、コメと並ぶ三大穀物のひとつで、食用や飼料として世界各地で栽培され、日本でも北海道などで多く栽培されています。

医薬品関連では軟膏基剤や注射溶剤として用いられています。

コーン油の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 32.6
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 52.2
リノレン酸 不飽和脂肪酸 C18:3 1.4
ミリスチン酸 飽和脂肪酸 C14:0 0.1
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 11.1
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 2.1

このような種類と比率で構成されています(文献2:1990)

リノール酸が約50%、オレイン酸が約30%を占めており、二重結合が2つ以上の不飽和脂肪酸であるリノール酸の含有量がかなり高いため、酸化安定性は低いと考えられますが、コーン油中の総トコフェロール量は精製油の場合で80mg/100gであり、その80%はγ-トコフェロールであるため、比較的酸化安定性は高いと考えられます(文献4:1997)

またヨウ素価は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類
88-147 半乾性油

一例としてこのように記載されており(文献3:1990)、100を越えることがある半乾性油のため、いくらかの乾燥性は有しますが、乾油性よりは劣ります。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、リップ製品、ネイル製品などに幅広く使用されます(文献4:1997;文献5:2016)

皮膚柔軟によるエモリエント作用

皮膚柔軟によるエモリエント作用に関しては、リノール酸約50%、オレイン酸約30%を含有し、コムギ胚芽油と類似した脂肪酸組成で、リノール酸の割合が高いため、肌なじみおよび伸びが良く、ベタつきのない軽い使用感を付与するエモリエント剤として幅広く使用されています(文献4:1997;文献5:2016)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2006-2007年および2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

コーン油の配合製品数と配合量の比較調査結果(2006-2007年および2010年)

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コーン油の安全性(刺激性・アレルギー)について

コーン油の現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [ヒト試験] 214人の被検者に20%コーン油を含むクレンジングオイルの10%水溶液0.2mLを対象にHRIPT(皮膚累積刺激&感作試験)を閉塞パッチ下で実施したところ、3人の被検者において誘導期間中に疑わしい反応が観察され、そのうち1人の被検者に紅斑がみられたが、7回目のパッチ後には皮膚反応は消失し、未適用部位への新たなパッチ適用においても皮膚反応は観察されなかった。またほかのいずれの被検者も皮膚反応は観察されず、コーン油は皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではないと結論づけられた(TKL Researc,2010)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [動物試験] ウサギを用いて未希釈の高純度コーン油を対象にDraize法に準拠した眼刺激性試験を実施したところ、非刺激性であった(Said T,et al,2007)
  • [in vitro試験] 正常ヒト結膜上皮細胞に高純度コーン油を処理したところ、細胞の壊死またはアポトーシスの誘導は観察されなかった(Said T,et al,2007)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されているため、一般的に眼刺激性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

コーン油はエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
  2. 日本油化学協会編集(1990)「植物油脂の脂肪酸組成」油化学便覧 改訂3版,104-110.
  3. 日本油化学協会編集(1990)「植物油脂の性状」油化学便覧 改訂3版,99-101.
  4. 広田 博(1997)「半乾性油」化粧品用油脂の科学,15-18.
  5. 日光ケミカルズ(2016)「油脂」パーソナルケアハンドブック,5.
  6. 鈴木 洋(2011)「南蛮毛(なんばんげ・なんばんもう)」カラー版 漢方のくすりの事典 第2版,355.

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