コメ胚芽油とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分 紫外線吸収
コメ胚芽油
[化粧品成分表示名称]
・コメ胚芽油

[医薬部外品表示名称]
・コメ胚芽油

イネ科植物イネ(学名:Oryza sativa 英名:Rice)の胚芽から得られる植物油(植物オイル)です。

同じコメから抽出される植物油としてコメヌカ油がありますが、どちらも主要な成分組成および効果・作用はほとんど同じです。

コメ胚芽油の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 41.0-42.6
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 33.2-37.4
リノレン酸 不飽和脂肪酸 C18:3 0.5-1.3
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 16.0-17.1
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 1.7-1.9

このような種類と比率で構成されています(文献2:2016)

オレイン酸41.0-42.6%、リノール酸33.2-37.4%を占めており、二重結合が2つの不飽和脂肪酸であるリノール酸の含有量が高いため、酸化安定性は低いと考えられます。

また2004年に資生堂によってオレイン酸やパルミトレイン酸など二重結合が1つの不飽和脂肪酸が恒常的に過剰に存在すると、顔面毛穴周囲の肌状態およびキメの状態が悪化する可能性が高いことが報告されています(文献3:2004)

オレイン酸はヒト皮脂中に存在する代表的な不飽和脂肪酸であり、10代や若い成人をはじめ日常的に皮脂量が多いと感じている場合は、オレイン酸配合製品の使用で毛穴状態やキメの悪化につながる可能性も考えられます。

不けん化物(∗1)は、トコフェロール、γ-オリザノールなどが含まれています。

∗1 不けん化物とは、アルカリで加水分解(鹸化)したときに鹸化されずに残った物質の総称で、ステロール、色素、脂溶性ビタミンなどです。

ヨウ素価は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類
90-120 半乾性油

一例としてこのように記載されており(文献2:2016)、100を越えることがある半乾性油のため、いくらかの乾燥性は有しますが、乾油性よりは劣ります。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、日焼け止め製品、ボディ&ハンドケア製品、リップ製品、洗顔料&洗顔石鹸などに幅広く使用されます(文献2:2016;文献5:1982)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、コメヌカ油と類似しており、オレイン酸41.0-42.6%、リノール酸33.2-37.4を含有し、肌なじみおよび伸びが良く、軽い使用感を付与するエモリエント剤として幅広く使用されています(文献2:2016)

紫外線吸収作用

紫外線吸収作用に関しては、コメ胚芽油に含有されるγ-オリザノールに290nm-340nmの広範囲にわたって紫外線吸収作用があることが知られており(文献4:1998)、通常地上に届いている紫外線はUVB(280-320nm)とUVA(320-400nm)であることから、UVBとUVAの一部を吸収する作用を有していると考えられています。

1982年には、この紫外線吸収作用に着目してモルモットの皮膚表面に強い紫外線を照射したところ、無塗布皮膚では表皮上に紅斑が形成されますが、γ-オリザノール塗布部位ではこの紅斑が抑制されたことが報告されています(文献5:1982)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2002-2003年および2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

コメ胚芽油の配合製品数と配合量の調査結果(2002-2003年および2010年)

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コメ胚芽油の安全性(刺激性・アレルギー)について

コメ胚芽油の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性:75%濃度以下でほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2006)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの皮膚にコメヌカ油とコメ胚芽油の混合物0.5mLを4時間適用し、Draize法に従って24および48時間で試験部位の一次皮膚刺激性を評価したところ、皮膚反応は観察されなかった(Ichimaru Pharcos Co,1981)
  • [動物試験] コメヌカ油と米胚芽油の混合物は接触性アレルギー反応を引き起こさなかった(Ichimaru Pharcos Co,1981)
  • [動物試験] 6匹のウサギの背中の両側左右2箇所(右側は角質層の深くに浸透するように表皮切開によって殺傷し、左側はそのまま)にコメ胚芽油0.5mLを24時間閉塞包装適用し、包装除去後にDraize法に従って試験部位をスコアリングしたところ、最小限-明瞭な紅斑が観察された。一次刺激スコアは0.75であり、コメ胚芽油は一次刺激剤として分類されなかった(Celsis Laboratory Group,1999)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2006)によると、

  • [動物試験] 3匹のウサギの片眼の結膜嚢にコメヌカ油とコメ胚芽油の混合物0.1mLを注入し、点眼5分後に両眼をすすぎ、Draize法に従って注入から1,4および24時間ならびに4および7日後に角膜、虹彩および結膜の眼刺激性を評価したところ、3匹すべてのウサギで角膜混濁スコア1、1匹のウサギで1および4時間の観察で紅斑スコア1がみられたが、その後反応は消失した。この試験物質は眼刺激剤とはみなされなかった(Ichimaru Pharcos Co,1981)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼の結膜嚢にコメ胚芽油0.01mLを点眼し、点眼24,48および72時間後に評価したところ、反応は観察されなかったため、コメ胚芽油は一次刺激物質とはみなされなかった(Celsis Laboratory Group,1999)

と記載されています。

試験結果では、非刺激から最小限の眼刺激性が報告されているため、非刺激または最小限の眼刺激性があると考えられます。

光毒性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2006)によると、

  • [動物試験] 6匹のモルモットの背部にコメヌカ油とコメ胚芽油の混合物の5%混合乳化物0.1mLを適用し、4時間後に試験部位の半分に10cmの距離で平行に配置された3つのUVBライト(280-320nm)および3つのUVAライト(320-400nm)によって提供されるMED(最小紅斑線量)を照射し、照射の24および48時間後に試験部位を評価したところ、光毒性は観察されなかった(Ichimaru Pharcos Co,1979)
  • [動物試験] コメ胚芽油の光毒性試験において100%,75%,50%,25%のコメ胚芽油0.1mLを剃毛したモルモットそれぞれ10匹ずつの背中に閉塞パッチ適用し、30分放置した後、310~400nmのUVライトで15分間照射し、Draize法に基づいて照射24時間後に皮膚反応をスコアリングしたところ、100%濃度で適用した試験群10匹のうち2匹は24時間で光毒反応を示した。75%,50%および25%では皮膚反応はなかった(Celsis Laboratory Group,1999)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、100%濃度において10匹中2匹のモルモットに光毒性反応が報告されていますが、75%濃度以下では光毒性なしと報告されているため、一般的に75%濃度以下において光感作性はないと考えられます。

∗∗∗

コメ胚芽油はエモリエント成分、ベース成分、紫外線防御成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分 紫外線防御成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2006)「Amended Final Report on the Safety Assessment of Oryza Sativa (Rice) Bran Oil, Oryza Sativa (Rice) Germ Oil, Rice Bran Acid, Oryza Sativa (Rice) Bran Wax, Hydrogenated Rice Bran Wax, Oryza Sativa (Rice) Bran Extract, Oryza Sativa (Rice) Extract, Oryza Sativa (Rice) Germ Powder, Oryza Sativa (Rice) Starch, Oryza Sativa (Rice) Bran, Hydrolyzed Rice Bran Extract Hydrolyzed Rice Bran Protein, Hydrolyzed Rice Extract, and Hydrolyzed Rice Protein」International Journal of Toxicology(25)(2),91-120.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「油脂」パーソナルケアハンドブック,13-14.
  3. “株式会社資生堂”(2004)「ヒト頬部毛穴の目立ちと肌状態」, <https://www.shiseidogroup.jp/rd/doctor/informationletter/backnumber/pdf/2004_001_02.pdf> 2019年2月10日アクセス.
  4. 岡田 忠司(1998)「γ-オリザノールの機能と応用」Fragrance Journal(26)(3),71-77.
  5. 安藤 義隆(1982)「オリザノールのサンスクリーン効果」Fragrance Journal(10)(2),125-126.

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