コメヌカ油とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分 紫外線吸収
コメヌカ油
[化粧品成分表示名称]
・コメヌカ油

[医薬部外品表示名称]
・コメヌカ油

イネ科植物イネ(学名:Oryza sativa 英名:Rice)の米糠(種皮・果皮)から得られる植物油(植物オイル)です。

同じコメから抽出される植物油としてコメ胚芽油がありますが、どちらも主要な成分組成および効果・作用はほとんど同じです。

イネは、インド北部から中国の雲南省を原産とし、アジアおよび世界各国で食用として広く栽培されており、日本でも縄文時代の晩期には北九州で稲作が行われていました。

コメヌカの成分としては、生体内エネルギーの運用システムに必要不可欠なリンや皮膚の発育や健常維持に必要な亜鉛、皮膚炎の予防因子であるナイアシンなどが特に多く含まれていることが特徴で、それに加えてアミノ酸、糖類、脂質成分などが多く含まれています(文献6:1998)

コメヌカ油の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
パルミトレイン酸 不飽和脂肪酸 C16:1 0.1
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 41.4
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 37.5
リノレン酸 不飽和脂肪酸 C18:3 1.6
ミリスチン酸 飽和脂肪酸 C14:0 0.3
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 16.2
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 1.8

このような種類と比率で構成されています(文献2:1990)

オレイン酸が約40%、リノール酸が約35%を占めており、二重結合が2つの不飽和脂肪酸であるリノール酸の含有量が高いため、酸化安定性は低いと考えられます。

また2004年に資生堂によってオレイン酸やパルミトレイン酸など二重結合が1つの不飽和脂肪酸が恒常的に過剰に存在すると、顔面毛穴周囲の肌状態およびキメの状態が悪化する可能性が高いことが報告されています(文献6:2004)

オレイン酸はヒト皮脂中に存在する代表的な不飽和脂肪酸であり、10代や若い成人をはじめ日常的に皮脂量が多いと感じている場合は、オレイン酸配合製品の使用で毛穴状態やキメの悪化につながる可能性も考えられます。

不けん化物(∗1)は、総トコフェロールとして約30mg/100g含有しており、そのうち約80%がα-トコフェロールで、ほかにもトコトリエノールやγ-オリザノールなどが含まれています。

∗1 不けん化物とは、アルカリで加水分解(鹸化)したときに鹸化されずに残った物質の総称で、ステロール、色素、脂溶性ビタミンなどです。

ヨウ素価は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類
99-103 半乾性油

一例としてこのように記載されており(文献3:1990)、100を越えることがある半乾性油のため、いくらかの乾燥性は有しますが、乾油性よりは劣ります。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、日焼け止め製品、ボディ&ハンドケア製品、リップ製品、洗顔料&洗顔石鹸などに幅広く使用されます(文献4:2016;文献8:1982)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、オレイン酸が約40%、リノール酸が約35%を含有し、肌なじみおよび伸びが良く、軽い使用感を付与するエモリエント剤として幅広く使用されています(文献4:2016)

紫外線吸収作用

紫外線吸収作用に関しては、コメヌカ油に含有されるγ-オリザノールに290nm-340nmの広範囲にわたって紫外線吸収作用があることが知られており(文献7:1998)、通常地上に届いている紫外線はUVB(280-320nm)とUVA(320-400nm)であることから、UVBとUVAの一部を吸収する作用を有していると考えられています。

1982年には、この紫外線吸収作用に着目してモルモットの皮膚表面に強い紫外線を照射したところ、無塗布皮膚では表皮上に紅斑が形成されますが、γ-オリザノール塗布部位ではこの紅斑が抑制されたことが報告されています(文献8:1982)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2002-2003年および2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

コメヌカ油の配合製品数と配合量の調査結果(2002-2003年および2010年)

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コメヌカ油の安全性(刺激性・アレルギー)について

コメヌカ油の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光感作性:ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2006)によると、

  • [ヒト試験] 93人の被検者(男性6人、女性87人)に1.04%コメヌカ油を含むバスオイルの10%水溶液を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、17人の被検者は誘導期間においてほとんど知覚できないまたは軽度の反応が観察され、1人の被検者はチャレンジ期間でほとんど知覚できない反応がみられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1985)
  • [ヒト試験] 94人の被検者(男性10人、女性84人)に8%コメヌカ油を含む保湿剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、誘導期間において94人のうち21人の被検者がほとんど知覚できないまたは軽度の皮膚反応を示したがチャレンジ期間では反応は観察されなかったため、皮膚感作剤ではないと結論付けられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1987)
  • [ヒト試験] 90人の被検者に1.04%コメヌカ油を含むリップクリームを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、1人の被検者が誘導期間およびチャレンジ期間に反応を示したが、コメヌカ油を含むリップクリームは陰性と判断された(Hill Top Research,1988)
  • [ヒト試験] 100人の被検者の背中に1.04%コメヌカ油を含むフェイス/ボディクリームを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚反応は認められなかった(AMA Laboratories,1989)
  • [ヒト試験] 111人の被検者(男性21人、女性90人)に0.3%コメヌカ油を含む子供用シャンプーおよびコンディショナー2mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチ下で実施したところ、1人の被検者は4回目および5回目の誘導パッチで軽度の紅斑が観察されたがチャレンジパッチでは反応は観察されなかったため、コメヌカ油を含むシャンプーおよびコンディショナーは皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Consumer Product Testing Co,1997)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2006)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼の結膜嚢にコメヌカ油0.1mLを点眼し、点眼24,48および72時間後に眼を分類したところ、2匹のウサギは24時間の観察で結膜発赤スコア1の評価を有していたが、この状態は1匹で48時間までに消失、もう1匹も72時間までに消失した。コメヌカ油は一次刺激剤とはみなされなかった(Leberco Testing Inc,1993)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼の結膜嚢に未希釈のコメヌカ油を注入し、滴下1,2,3,4および7日後にDraize法に基づいてスコア化したところ、いずれのウサギも角膜または虹彩には反応は認められなかった。1匹のウサギは、1日目および2日目に結膜スコア2を有し、4日目および7日目に別のウサギの結膜スコアが2であった。これらの結果からコメヌカ油は最小限の眼刺激性があると考えられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1983)

と記載されています。

試験結果では、非刺激から最小限の眼刺激性が報告されているため、非刺激または最小限の眼刺激性があると考えられます。

光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2006)によると、

  • [ヒト試験] 25人の白人被検者(18-57歳)に1.04%コメヌカ油を含むリップバームを対象に光感作試験を含むHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、誘導期間においていくつかの軽度の紅斑は観察されたが、いずれの被検者においても光感作を示唆する反応はみられなかった(ivy Laboratories,1996)
  • [ヒト試験] 25人の白人被検者の腰部に1.5%コメヌカ油を含むローションを24時間閉塞パッチ適用し、パッチ除去後キセノンアークシミュレーターでMED(最小紅斑線量)を照射した。その後試験部位を48時間開いたままにし、再度パッチ適用および照射を週2回合計6週間繰り返した。最後の照射の12日後に単一チャレンジパッチおよび照射したところ、いずれの被検者においても光接触アレルギーを示唆する反応はみられなかったため、この条件下でローション中の試験物質はヒト皮膚において検出可能な光感作性を有していなかった(ivy Laboratories,2000)

と記載されています。

試験結果をみるかぎり、共通して光感作性なしと報告されているため、一般的に光感作性はないと考えられます。

∗∗∗

コメヌカ油はエモリエント成分、ベース成分、紫外線防御成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分 紫外線防御成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2006)「Amended Final Report on the Safety Assessment of Oryza Sativa (Rice) Bran Oil, Oryza Sativa (Rice) Germ Oil, Rice Bran Acid, Oryza Sativa (Rice) Bran Wax, Hydrogenated Rice Bran Wax, Oryza Sativa (Rice) Bran Extract, Oryza Sativa (Rice) Extract, Oryza Sativa (Rice) Germ Powder, Oryza Sativa (Rice) Starch, Oryza Sativa (Rice) Bran, Hydrolyzed Rice Bran Extract Hydrolyzed Rice Bran Protein, Hydrolyzed Rice Extract, and Hydrolyzed Rice Protein」International Journal of Toxicology(25)(2),91-120.
  2. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の脂肪酸組成」油脂化学便覧 改訂3版,104-110.
  3. 日本油化学協会(1990)「植物油脂の性状」油脂化学便覧 改訂3版,99-101.
  4. 日光ケミカルズ(2016)「油脂」パーソナルケアハンドブック,4.
  5. “株式会社資生堂”(2004)「ヒト頬部毛穴の目立ちと肌状態」, <https://www.shiseidogroup.jp/rd/doctor/informationletter/backnumber/pdf/2004_001_02.pdf> 2019年2月5日アクセス.
  6. 山田 勝久(1998)「米由来成分の化粧品への応用」Fragrance Journal(26)(3),13-18.
  7. 岡田 忠司(1998)「γ-オリザノールの機能と応用」Fragrance Journal(26)(3),71-77.
  8. 安藤 義隆(1982)「オリザノールのサンスクリーン効果」Fragrance Journal(10)(2),125-126.

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