コメヌカロウとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 感触改良 光沢 安定化成分
コメヌカロウ
[化粧品成分表示名称]
・コメヌカロウ

[医薬部外品表示名称]
・コメヌカロウ

[慣用名]
・ライスワックス

イネ科植物イネ(学名:Oryza sativa 英名:Rice)の米糠から抽出・精製して得られる植物性固体ロウです。

コメヌカロウには、大きく分けて精製過程において水素添加しないで得られるロウと水素添加して得られるロウの2種類があり、前者をライスブランワックス(rice bran wax)、後者を水添ライスワックス(Hydrogenated rice wax)または単にライスワックス(rice wax)として区別しますが(文献2:1983)、化粧品成分表示および医薬部外品名としてはどちらも「コメヌカロウ」と表示されます(∗1)

∗1 厳密には、化粧品成分として「水添コメヌカロウ」は登録されていますが、化粧品原料メーカーによっては水素添加していても「コメヌカロウ」としていることが多いため、「コメヌカロウ」で統一します。

これらは高級脂肪酸組成が大きく異なり、また融点およびヨウ素価がわずかにことなりますが、これらについては後述します。

イネは、インド北部から中国の雲南省を原産とし、アジアおよび世界各国で食用として広く栽培されており、日本でも縄文時代の晩期には北九州で稲作が行われており、現在の米の生産量は年間約800万tです。

コメヌカは、米からおよそ8-9%生成されるので、年間約7万tが生産されています。

コメヌカは約20%コメヌカ油を含み、コメヌカ油には1.3-1.8%のワックス(ロウ)が含まれているため、コメヌカロウは国産の貴重なワックス源となっています。

コメヌカロウの脂肪酸およびアルコール組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

炭素数:二重結合数 種類 Rice bran wax Rice wax
脂肪酸比率 アルコール比率 脂肪酸比率 アルコール比率
14:0 飽和 0.3
16:0 飽和 4.6 20.0
18:0 飽和 0.4 64.1
18:1 不飽和 0.4
20:0 飽和 1.0 1.4
22:0 飽和 22.4 1.5 3.9
24:0 飽和 59.0 11.5 9.8 16.9
26:0 飽和 2.9 10.4 0.5 21.5
28:0 飽和 1.8 20.1 23.9
30:0 飽和 3.9 30.2 30.0
32:0 飽和 2.1 16.6 7.7
34:0 飽和 1.5 7.9
36:0 飽和 1.8

このような種類と比率で構成されています(文献2:1983)

エステルを構成する脂肪酸は、rice bran waxの場合、ベヘン酸(C₂₂)とリグノセリン酸(C₂₄)が、rice waxの場合は、パルミチン酸(C₁₆)とステアリン酸(C₁₈)が大部分を占め、アルコールは両者ともにC₂₄-C₃₄(偶数)が主な成分となっており(文献2:1983)、安定性および酸化への耐性が非常に高く、総合的に酸化安定性は極めて高い(酸化しにくい)と考えられます。

不けん化物(∗2)としては、ミリシルアルコール(C₃₀)、セリルアルコール(C₂₆)、イソセリルアルコールのほかステロール類などが報告されています(文献2:1983)

∗2 不けん化物とは、アルカリで加水分解(鹸化)したときに鹸化されずに残った物質の総称で、ステロール、色素、脂溶性ビタミンなどです。

またヨウ素価および融点(∗3)は、

∗3 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。

ヨウ素価 ヨウ素価による分類 融点
Rice bran wax Rice wax Rice bran wax Rice wax Rice bran wax Rice wax
5 10 不乾性油 79-83 70-77

一例としてこのように記載されており(文献2:1983)、100以下の不乾性油のため、乾燥性はほとんどなく、また融点は70-83℃であり、植物性ロウの中ではカルナウバロウキャンデリラロウの中間となっており、常温で固体です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スティック状製品、メイクアップ化粧品、スキンケア化粧品、ボディケア製品などに使用されています(文献1:2006;文献3:1998)

油性成分の硬さ向上による感触改良

油性成分の硬さ向上による感触改良に関しては、カルナウバロウやキャンデリラロウほどではありませんが、他の油性原料に添加することで硬度を上げる機能が優れているため、カルナウバロウやキャンデリラロウといったハードワックスの代替として口紅などスティック状製品の硬さ調整に使用されます(文献3:1998)

耐温性向上による安定化

耐温性向上による安定化に関しては、融点が70-83℃と高く、油性原料に添加し融点を上げることで、耐温性を向上させるため、口紅などのスティック状製品やチークなどのメイクアップ化粧品に少量加えることで温度耐性を向上させます(文献3:1998)

ツヤ・光沢

ツヤ・光沢に関しては、油性原料の表面の光沢を増加させるため、口紅などスティック状製品に使用されます(文献3:1998)

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コメヌカロウの安全性(刺激性・アレルギー)について

コメヌカロウの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2006)によると、

  • [ヒト試験] 27人の被検者の背中に3%,5%および10%コメヌカロウを含むラノリン基剤を2箇所それぞれ24および48時間適用し、一次皮膚刺激性を評価したところ、実質的に皮膚刺激性はないと結論付けられた(nakayama,1976)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性なしと報告されているため、皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2006)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼の結膜嚢にコメヌカロウ0.1mLを滴下したところ、3匹のウサギにわずかな結膜発赤が観察されたが、48時間以内にすべてのウサギで発赤は消失したため、コメヌカロウは眼刺激剤ではないと考えられた(Leberco Testing Inc,1991)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼にコメヌカロウ0.1mLを滴下し、すべてのウサギで眼はすすがず、滴下24,48および72時間後および4および7日後に眼刺激性を評価したところ、眼刺激剤ではなかった(Consumer Product Testing Co,1998)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2006)によると、

  • [動物試験] 10匹のモルモットを用いてコメヌカロウのMaximization皮膚感作性試験を実施したところ、皮膚感作剤ではなかった(Consumer Product Testing Co,1998)
  • [動物試験] 10匹のモルモットを用いてコメヌカロウのMaximization皮膚感作性試験を実施したところ、皮膚感作剤ではなかった(Consumer Product Testing Co,1998)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

コメヌカロウはベース成分、安定化成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2006)「Amended Final Report on the Safety Assessment of Oryza Sativa (Rice) Bran Oil, Oryza Sativa (Rice) Germ Oil, Rice Bran Acid, Oryza Sativa (Rice) Bran Wax, Hydrogenated Rice Bran Wax, Oryza Sativa (Rice) Bran Extract, Oryza Sativa (Rice) Extract, Oryza Sativa (Rice) Germ Powder, Oryza Sativa (Rice) Starch, Oryza Sativa (Rice) Bran, Hydrolyzed Rice Bran Extract Hydrolyzed Rice Bran Protein, Hydrolyzed Rice Extract, and Hydrolyzed Rice Protein」International Journal of Toxicology(25)(2),91-120.
  2. 府瀬川 健蔵(1983)「ライスワックス」ワックスの性質と応用,19-24.
  3. 野村 正行(1998)「ライスワックスの特性と化粧品・食品産業への利用」Fragrance Journal(26)(3),55-64.

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