コムギ胚芽油(ウィートジャームオイル)とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分 細胞賦活剤
コムギ胚芽油(ウィートジャームオイル)
[化粧品成分表示名称]
・コムギ胚芽油

[医薬部外品表示名称]
・コムギ胚芽油

[慣用名]
・ウィートジャームオイル

小麦粉を製造するときに分離される小麦胚芽を圧搾または抽出して得た淡黄褐色の透明な油脂です。

小麦胚芽とは、小麦の種子についている一部分のことで、発芽するときに根や子葉となる部分であることから栄養成分が詰まっているといわれており、胚芽部分にはビタミンEをはじめビタミンB群、マグネシウム、亜鉛などが含まれています。

とくにビタミンEが豊富なことで知られており、ビタミンE製剤の原料となったり、油をカプセルに閉じ込めてサプリメントにするなど健康食品分野でも流通しています。

植物オイルハンドブックによると、コムギ胚芽油の脂肪酸組成は、

  • リノール酸(不飽和脂肪酸類):53%
  • オレイン酸(不飽和脂肪酸類):30%
  • リノレン酸(不飽和脂肪酸類):7%
  • パルミチン酸(飽和脂肪酸類):5%
  • ステアリン酸(飽和脂肪酸類):2%
  • アラキジン酸(飽和脂肪酸類):1%

となっており、ヨウ素価115となっています。

主成分はリノール酸です。

薬理作用としては、小麦胚芽に含まれるα-トコフェロールというビタミンEは、ホルモン分泌を調整し、生殖機能を正常に保つ作用があるといわれており、不妊対策や月経不順対策に役立つほか、更年期障害の症状を緩和するとされています。

ほかにも、血行促進の働きもあり、冷えの改善も期待できます。

また、小麦胚芽油にはオクタコサノールという成分が含まれており、オクタコサノールは呼吸によって体内に取り入れた酸素を無駄なく筋肉に送る働きがあるといわれてるので、持久力や反射神経の向上や筋肉痛の軽減などに役立ちます。

スキンケアとしては、ビタミンEには高い抗酸化力があり、皮膚の血液循環を促進するため、皮膚細胞の酸化を防ぎながら皮膚組織を活性化させ、肌の再生力を高めることが期待できます。

とくに、乾燥肌や肌荒れなどの炎症の改善に最適です。

実際にどのような製品に配合されているかというと、海外の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

ちなみに表の中の製品タイプのリーブオン製品というのは付けっ放し製品という意味で、主にスキンケア化粧品やメイクアップ化粧品などを指し、リンスオフ製品というのは洗浄系製品を指します。

コムギ胚芽油の配合製品数と配合量の比較調査結果

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コムギ胚芽油の安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

コムギ胚芽油の現時点での安全性は、皮膚刺激性はほとんどなく、濃度が高いと最小限の眼刺激性が起こる可能性がありますが、アレルギー(皮膚感作)もほとんどないため、安全性の高い成分であると考えられます。

ただし、小麦アレルギーおよび金属アレルギーの方はアレルギーが起こる可能性があるため注意が必要です。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] 104人の被検者に0.005%コムギ胚芽油を含むスカルプコンディショナーを閉塞パッチで繰り返し適用(HRIPT)したところ、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(Clinical Research Laboratories,2010)

と記載されています。

試験結果はひとつで根拠として弱いですが、現時点では皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)はほとんどないと考えられます。

ただし、小麦アレルギーおよび金属アレルギーの方はアレルギーが起こる可能性があるため注意が必要です。

金属アレルギーの方も注意が必要な理由は、以下の日本皮膚科学会接触皮膚炎診療ガイドライン(文献2:2009)をみてもらうとわかるように、

コムギ胚芽油のクロム、ニッケル、スズ含有量

小麦胚芽には、Cr(クロム)が皮膚炎症を起こす基準値の60、Ni(ニッケル)が基準値を大幅に超える140、Sn(スズ)も基準値を超えた1,300とアレルギーを起こす可能性のある金属の含有量が高く、コムギ胚芽油でも注意しておく必要があると考えられるからです。

金属アレルギーの多くはクロムかニッケルアレルギーなので、小麦アレルギーでないのに接触性皮膚炎のような症状(発赤や発疹)が起きたら金属アレルギーの可能性も検討する必要があります。

使用前にパッチテストが必須ですが、アレルギー反応はいきなり起こることもありますが、24時間~48時間経過してから起きることもあるので、パッチテストをする際はその点も注意して行ってください。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」(文献1:2011)によると、

  • [ヒト試験] 未希釈の小麦胚芽油を眼刺激性試験で評価したところ、最小限の眼刺激性であり、2%小麦胚芽油のエマルジョンでは刺激性はなかった

と記載されています。

試験結果はひとつなので根拠は弱いのですが、未希釈で最小限の刺激性で2%で眼刺激性なしと報告されているため、現時点では濃度によって非刺激性~最小限の眼刺激性が起こる可能性があると考えられます。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
コムギ胚芽油 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、コムギ胚芽油は毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

∗2 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、△は2~3個で■1個に換算し、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

コムギ胚芽油はベース成分、エモリエント成分、細胞賦活成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分 細胞賦活成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2011)「Plant-Derived Fatty Acid Oils as Used in Cosmetics」, <https://online.personalcarecouncil.org/ctfa-static/online/lists/cir-pdfs/FR577.pdf> 2017年12月20日アクセス.
  2. 日本皮膚科学会(2009)「日本皮膚科学会接触皮膚炎診療ガイドライン」, <http://www.jsdacd.org/html/contact_dermatitis_guideline.pdf> 2017年12月20日アクセス.

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