グリセリンの種類・成分効果や毒性を解説

ベース成分 保湿成分 温感剤
グリセリン
[化粧品成分表示名称]
・グリセリン

[医薬部外品表示名称]
・グリセリン

天然油脂類をアルカリでケン化した時に石けん素地とともにできる無色でやや粘性のある液体ですが、現在は化学合成でつくられることも増えてきている最も古くから使われてきた代表的な保湿剤です。

吸湿性が高いことから保湿効果を目的として化粧水からクリームまで多くの化粧品に配合されています。

化粧品で主流なのは、ヤシ油やパーム油を原料とした植物由来のグリセリンですが、医薬品では石油由来の純度の高い合成グリセリンが主流です。

グリセリンを皮膚に塗布することで、皮膚の表面から水分が逃げていく量を減らしたり、角質層の水分量が増えることがわかっており、配合する目的としては、

  • 乳液やクリームなどの質感の粘性(トロッとした粘り気)を長期間一定に保持する
  • 皮膚表面に塗布するときに伸びやすく滑りをよくし総合的な使用感をよくする
  • 皮膚表面に潤いを与えしっとりとした感触を与える

という、使用感が主なものになっています。

ただ、空気中の乾燥に影響を受けやすく、湿気の少ない冬の季節は高濃度配合することで皮膚の水分を吸収してしまい、皮膚を乾燥させて肌荒れの原因となることもあるのですが、グリセリンとヒアルロン酸ナトリウムを組み合わせることによって、肌の表面に薄い皮膜をつくり外気の乾燥に左右されることなく皮膚の潤いをしっかり守り、保湿の相乗効果になります。

そのため、成分表示にグリセリンがあるときはヒアルロン酸ナトリウムが載っているかチェックしてみてください。

また、すでに伝えたような使用感をよくしたり潤いを保つ目的の場合は、成分表示の最初は水やBGが記載されており、そのあとにグリセリンの記載があることが多いのですが、中には成分表示の最初にグリセリンが記載されている化粧品があり、これは温感化粧品と呼ばれています。

成分表示の最初にグリセリンが記載されているものは温感化粧品

グリセリンは水と混ざるときに発熱する性質があり、温感化粧品は水をベースとせずグリセリンを成分表示の最初に載せるほど多量に配合することで、塗布したときに肌を温める効果を狙ったものになります。

例えば、温めたタオルで顔を覆うと血行が促進されたり毛穴が開いて、疲れがとれて健康に良いというのは聞いたことがあると思うのですが、クレンジングの中にはホットクレンジングという種類があり、グリセリンをベースにすることでつけたときに顔を温め毛穴を開かせて汚れを落ちやすくする効果があります。

化粧品をつけて熱を帯びると、肌に合わないと解釈してしまいそうになりますが、あえて熱をもたせることを狙った化粧品もあるので、成分表示にグリセリンが載ってるときは表示位置を気にしてみてください。

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グリセリンの種類

グリセリンは原料によって2つの種類に分けられますが、化粧品で使用されるのは99.9%植物性グリセリンです。

  • 植物性グリセリン
    パーム油やヤシ油からつくられるグリセリンで、植物性が強調されたりしますが、とくに品質や純度が高いわけではなく、標準的なグリセリンです。
  • 合成グリセリン
    石油からつくられるグリセリンで、石油というとイメージが悪いかもしれませんが、純度が高く医薬品は合成グリセリンが使われることが多いです。

また、グリセリンから派生した代表的な成分も紹介しておきます。

グリセリンの安全性(毒性・刺激性・アレルギー)について

グリセリンの現時点での安全性は、皮膚刺激性、毒性および眼刺激性はほとんどなく、アレルギー(皮膚感作性)に関しても国内で重大な報告もないため、安全性の高い成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

安全性を調査するために、国内海外を問わず信頼性が高いと思われる安全性データシート(∗1)やレポートを参照しています。

∗1 安全性データシートとは、化粧品製造会社や化粧品販売会社のために提供されている成分の安全性データが記載されているシートで、一般消費者向けの資料ではありませんが、安全性を考える上で重要なエビデンスのひとつとなるため、一部引用させていただいています。

皮膚刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Glycerin as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [動物試験] ウサギ12匹に天然および合成の純度99.5%グリセリンを体の表面に0.5~4mLを1日のうち5時間、週に5回を45週にわたって塗布したところ、塗布から90日後で皮膚刺激性はみられなかった
  • [動物試験] ウサギ6匹に0.5%グリセリン水溶液を塗布したところ、皮膚刺激なし
  • [動物試験] 45匹のモルモットの剃毛した腹部に100%グリセリン0.1ccを塗布したところ、軽度の皮膚刺激が観察された
  • [ヒト試験] 皮膚炎をもつ420人の被検者に50%グリセリン水溶液を20~24時間塗布したところ皮膚刺激を示さなかったが、1人の被検者が陽性反応を示した

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2002)によると、

  • グリセリンが皮膚に刺激を及ぼす可能性は低い

と記載されています。

安全性に関するレポートではごくまれに軽度の皮膚刺激が起こることもありますが、評価としては共通して皮膚刺激なしと結論付けられているため、皮膚刺激性や毒性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Glycerin as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [動物試験] ウサギ6匹に100%グリセリン0.1mLを点眼したところ、1,24,72時間後および1日後にdraize法に基づく評価で眼刺激性なし
  • [動物試験] ウサギ4匹に純度99.5%の天然グリセリンと合成グリセリンを点眼したところ、最初の1時間はすべてのウサギの結膜に眼刺激があったものの24時間後には治まったため、眼刺激性なし
  • [ヒト試験] 角膜の表面に浮腫を伴った被検者の眼に無水グリセリンを局所投与したところ、浮腫の軽減および視覚の改善がみられた
  • [ヒト試験] 100%グリセリンを被検者(人数不明)の眼に投与したところ、眼刺激性はなかった

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2002)によると、

  • グリセリンが眼に刺激を及ぼす可能性は低い

と記載されています。

安全性に関するレポートでは、ヒト試験において試験結果としては共通して眼刺激性なしと結論付けられているため、眼刺激性が起こる可能性は低いと考えられます。

アレルギー(皮膚感作性)について

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Glycerin as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • [動物試験] 雄モルモット12匹に天然および合成グリセリンの0.1%溶液を0.1mLを1日おきに合計10回注射し、2週間の休止後にチャレンジ段階として0.1%溶液0.05mLを注入したところ、感作はみられなかった
  • [ヒト試験] 48名の被検者に65.9%グリセリンを含む保湿剤を適用したところ、誘導期およびチャレンジ期のいずれも反応はなかった
  • [ヒト試験] 発泡ゴム工場で働き、定期的にグリセリンに曝露されている15名の被検者に100%グリセリン水溶液(濃度不明)を48時間パッチテストしたところ、皮膚感作性は観察されなかった

JETOC 日本化学物質安全・情報センターの初期評価プロファイル(文献2:2002)によると、

  • グリセリンは非常に広範囲の曝露の可能性があるにもかかわらず感作例が報告されていないことから皮膚感作物質でないことが示唆される

また、アレルギーの個別事例では以下の報告があります。

“Cosmetic Ingredient Review”の「Safety Assessment of Glycerin as Used in Cosmetics」(文献1:2014)によると、

  • 29歳の女性が顔、首、眼窩および頭皮に湿疹を発症したため、ふだん使用している化粧品やトイレタリーでパッチテストを受けたところ、4日目に1%ジメチルアミノプロピルアミン水溶液と保湿クリームに陽性反応を示したため、さらにこの保湿クリームの成分でパッチテストを行っていくと、4日目に1%グリセリン水溶液で陽性反応を示した。彼女の湿疹は化粧品中のグリセリンを避けることで解決した

と記載されています。

安全性試験においては共通して皮膚感作性なしと結論付けられているため、アレルギー(皮膚感作)が起こる可能性は低いと考えられます。

ただし、個別事例のように人によってはごくまれにグリセリンが原因で接触性皮膚炎や湿疹が発症することがあるので、安全性の高い成分でも皮膚の調子に変化があったら原因物質がないかパッチテストを受けることをおすすめします。

化粧品毒性判定事典による毒性判定について

化粧品成分名 判定
グリセリン 毒性なし

参考までに化粧品毒性判定事典によると、グリセリンは毒性なし(∗2)となっており、毒性に関しては心配する必要はありません。

&lowast2; 毒性判定事典の毒性レベルは「毒性なし」「△」「■」「■■」となっており、■が多いほど毒性が強いという目安になり、製品の毒性成分の合計が■4つ以上なら使用不可と判断されます。

∗∗∗

グリセリンはベース成分、保湿成分、温冷感成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 保湿成分 温冷感成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. “Cosmetic Ingredient Review”(2014)「Safety Assessment of Glycerin as Used in Cosmetics」, <http://www.cir-safety.org/sites/default/files/glycer_092014_Tent.pdf> 2017年10月3日アクセス.
  2. JETOC 日本化学物質安全・情報センター(2002)「初期評価プロファイル」, <http://www.jetoc.or.jp/safe/siap_top.html> 2017年10月3日アクセス.

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