キャンデリラロウとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 感触改良 光沢 安定化成分
キャンデリラロウ
[化粧品成分表示名称]
・キャンデリラロウ

[医薬部外品表示名称]
・キャンデリラロウ

[慣用名]
・キャンデリラワックス

トウダイグサ科植物キャンデリラ草(学名:Euphorbia antisyphilitica = Euphorbia cerifera 英名:Candelilla)の茎から抽出・精製して得られる植物性固体ロウです。

キャンデリラ草は、アメリカ南西部(テキサス州およびニューメキシコ州)およびメキシコ北部の砂漠高原を原産とし、現在はメキシコ北部を中心に栽培されています。

キャンデリラ草はもともとメキシコの民間薬として、その茎に含まれている白い樹液が性感染症の治療に使用されていましたが、20世紀初頭にキャンデリラワックスの収穫が始まり、第一次および第二次世界大戦中に需要が大幅に増加しましたが、第二次世界大戦の終結後、石油ベースの安価なワックスの台頭やキャンデリラの減少により、需要は大幅に縮小しました。

しかし、後に化粧品や食品産業でワックスの新たな用途が発見さるとともに、キャンデリラワックスもメキシコ北部で生産されるようになり、主にガムやチョコレートのコーティング剤や化粧品の基剤として他の国々に輸出されるようになりました。

キャンデリラロウの脂肪酸およびアルコール組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

炭素数:二重結合数 種類 脂肪酸比率 アルコール比率
16:0 飽和 2
18:0 飽和 1
20:0 飽和 12
22:0 飽和 4
24:0 飽和 1
26:0 飽和 1 3
28:0 飽和 7 9
30:0 飽和 32 65
32:0 飽和 33 15
34:0 飽和 7 3

このような種類と比率で構成されています(文献2:1990)

ほとんどが直鎖長鎖エステルであり、安定性および酸化への耐性が非常に高く、総合的に酸化安定性は極めて高い(酸化しにくい)と考えられます。

また遊離アルコール、遊離脂肪酸、ラクトン、樹脂などを含有しているほか(文献4:2016)、エステル中に約3%のヒドロキシ酸も含まれています(文献6:1972)

ヨウ素価および融点(∗1)は、

∗1 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。

ヨウ素価 融点
19-44 66-71

一例としてこのように記載されており(文献3:1983)、融点は72-86℃であり、常温で固体です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スティック状製品、メイクアップ化粧品、ヘアケア製品、ソリッドコロン(練り香水)などに使用されています(文献1:2008;文献4:2016;文献5:1997)

油性成分の硬さ向上による感触改良

油性成分の硬さ向上による感触改良に関しては、キャンデリラロウはカルナウバロウほどではありませんが、他の油性原料に添加することで硬度を上げる機能が優れているため、口紅などスティック状製品の硬さ調整に使用されます(文献4:2016;文献5:1997)

またソリッドコロン(練り香水)の固化剤としても古くから使用されています(文献5:1997)

ツヤ・光沢

ツヤ・光沢に関しては、油性原料の表面の光沢を増加させるため、口紅などスティック状製品に使用されます。

耐温性向上による安定化

耐温性向上による安定化に関しては、キャンデリラロウはカルナウバロウほどではありませんが、融点が66-71℃と高く、油性原料に添加し融点を上げることで、耐温性を向上させるため、口紅などのスティック状製品やチークなどのメイクアップ化粧品に少量加えることで温度耐性を向上させます(文献4:2016;文献5:1997)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1984年および2002-2003年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

キャンデリラロウの配合製品数と配合量の調査結果(1984年および2002-2003年)

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キャンデリラロウの安全性(刺激性・アレルギー)について

キャンデリラロウの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者に25%キャンデリラロウを含むキャスターオイルを単一パッチ適用し、一次皮膚刺激性を評価したところ、皮膚刺激性はなかった(CTFA,1975)
  • [ヒト試験] 20人のボランティアに3.5%キャンデリラロウを含む口紅を24時間単一閉塞パッチ適用したところ、皮膚刺激は陰性であった(CTFA,1974)
  • [ヒト試験] 108人の被検者に3.5%キャンデリラロウを含むクリーム製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚反応は示さなかった(Hill Top Research Labs,1976)
  • [ヒト試験] 200人の被検者に10.98%キャンデリラロウを含むリップスティック製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激および皮膚感作は起こらなかった(CTFA,1980)
  • [ヒト試験] 12人の被検者に12%キャンデリラロウを含むリップスティック製剤0.2mLを対象に累積皮膚刺激性試験(21回連続23時間適用)を実施したところ、最大累積皮膚刺激スコア756のうち総合累積皮膚刺激スコアは31であり、もうひとつの処方物は2であった。この2つの試験物質は本質的に非刺激性であった(Hill Top Research Labs,1978)
  • [ヒト試験] 25人の被検者に10.98%キャンデリラロウを含むリップスティック製剤を対象に4週間の自宅使用試験を実施したところ、皮膚反応の報告はなかった(CTFA,1980)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に75%キャンデリラロウを含むコーン油0.1mLを滴下したところ、その後7日間の観察において眼刺激が認められなかった(CTFA,1977)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に10.98%キャンデリラロウを含む製剤0.1gを滴下し、滴下24,48および72時間後に眼刺激性を評価したところ、眼刺激は生じなかった(CTFA,1980)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

キャンデリラロウはベース成分、安定化成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 安定化成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1984)「Final Report on the Safety Assessment of Candelilla Wax, Carnauba Wax, Japan Wax, and Beeswax」International Journal of Toxicology(3)(3),1-41.
  2. 日本油化学協会(1990)「ろうのエステル組成」油化学便覧 改訂3版,133-137.
  3. 府瀬川 健蔵(1983)「キャンデリラワックス」ワックスの性質と応用,14-16.
  4. 日光ケミカルズ(2016)「ロウ類」パーソナルケアハンドブック,21.
  5. 広田 博(1997)「植物性固体ロウ」化粧品用油脂の科学,50-53.
  6. 松本 勲, 他(1972)「天然ワックス(カルナバワックス,キャンデリラワックス,ビースワックス)の原ロウについての系統的分離法およびその成分の炭素数パターン解析」日本化学会誌(5),951-957.

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