カルナウバロウとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 感触改良 光沢 安定化成分
カルナウバロウ
[化粧品成分表示名称]
・カルナウバロウ

[医薬部外品表示名称]
・カルナウバロウ

[慣用名]
・カルナウバワックス、カルナバワックス、カルナバ蝋、カルナウバ蝋、ブラジルワックス

ヤシ科植物カルナウバヤシ(学名:Copernicia Cerifera 英名:Carnauba)の葉の細孔および葉柄の分泌物から得られる植物性固体ロウです。

カルナウバヤシはブラジル北部に自生し、現在もブラジル北東部を中心に栽培されています。

カルナウバは、その果実を家畜の飼料またはゼリーに加工して食用として用いられ、抽出したパルプは現地住民によって使用され、種子を焙煎するとコーヒーの代用として用いられます。

このように現地では様々な部位が利用されていますが、最も重要なのは葉から得られるワックスであり、カルナウバワックスは粒ガムや粒チョコレートなど食品のコーティングや化粧品・医薬品、カーワックス、プリンターのトナー、塗料、革の艶出しや磨き剤などの幅広い用途で日本、アメリカ、ヨーロッパなどに輸出されています。

カルナウバロウの脂肪酸およびアルコール組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

炭素数:二重結合数 種類 脂肪酸比率 アルコール比率
16:0 飽和 0.2
18:0 飽和 0.9
20:0 飽和 7.6
22:0 飽和 7.4
23:0 飽和 1.5
24:0 飽和 27.4
25:0 飽和 1.7
26:0 飽和 9.1
27:0 飽和 6.3
28:0 飽和 14.1 1.7
29:0 飽和 5.4
30:0 飽和 4.4 10.0
31:0 飽和 6.9
32:0 飽和 5.9 73.4
33:0 飽和 1.3
34:0 飽和 14.8

このような種類と比率で構成されています(文献2:1990)

ほとんどが直鎖長鎖エステルであり、安定性および酸化への耐性が非常に高く、総合的に酸化安定性は極めて高い(酸化しにくい)と考えられます。

また遊離アルコール2-3%、遊離脂肪酸3-3.5%、ラクトン2-3%、炭化水素1-3%、樹脂分4-6%を含有しているほか(文献4:1997)、エステル中に約8%のヒドロキシ酸も含まれています(文献5:1972)

ヨウ素価および融点(∗1)は、

∗1 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。

ヨウ素価 融点
7-14 72-86

一例としてこのように記載されており(文献3:1990)、融点は72-86℃であり、植物性ロウの中では最も高く、常温で固体です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スティック状製品、アイメイクアップ化粧品、スキンケア化粧品などに使用されています(文献1:2008)

油性成分の硬さ向上による感触改良

油性成分の硬さ向上による感触改良に関しては、カルナウバロウは植物性ロウの中でも強靭性・硬さにおいて最も優れており、他の油性原料に少量添加することで硬度を上げる機能が非常に優れているため、口紅などスティック状製品の硬さ調整に使用されます(文献4:1997)

またカルナウバロウはロウエステル中にヒドロキシ酸を含んでいるため、乳化しやすい性質があり、固型マスカラの基剤やヘアワックスなどにも用いられます(文献4:1997)

ほかにもその硬さおよび強靭さから、脱毛時に使用されるブラジリアンワックスの基剤としても汎用されています。

ツヤ・光沢

ツヤ・光沢に関しては、油性原料の表面の光沢を増加させるため、口紅などスティック状製品に使用されます。

耐温性向上による安定化

耐温性向上による安定化に関しては、カルナウバロウは植物性ロウの中でも融点が72-86℃と最も高く、油性原料に少量添加し融点を上げることで、耐温性を向上させるため、口紅などのスティック状製品に少量加えることで温度耐性を向上させます(文献4:1997)

ただし、10%までは濃度依存的に添加することで融点が上昇しますが、10%以上添加してもその効果はほとんどみられません(文献4:1997)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1984年および2002-2003年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

カルナウバロウの配合製品数と配合量の調査結果(1984年および2002-2003年)

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カルナウバロウの安全性(刺激性・アレルギー)について

カルナウバロウの現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 光毒性・光感作性:ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 17人の被検者に10%カルナウバロウを含むチークを対象に24時間単一閉塞パッチ試験を実施したところ、皮膚刺激性スコアは0.0で刺激は観察されなかった(CTFA,1979)
  • [ヒト試験] 151人の男女に5.61%カルナウバロウを含むスティック製剤を9日間にわたって閉塞パッチ塗布したところ、1人の被検者は試験部位の25%を超える面積でかすかな黄斑を生じ、もう一人の被検者は試験部位の25%を超える面積で中程度の紅斑を生じたが、これらは臨床的に問題ではないと判断され、この試験物質は臨床的に有意な皮膚刺激および皮膚感作をもたらさないと結論づけられた(CTFA,1980)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [動物試験] 9匹のウサギの片眼にそれぞれ5.6%カルナウバロウを含むリップ製剤0.1mLを滴下したところ、7日間の間に眼刺激は観察されなかった(CTFA,1980)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼にそれぞれ10%カルナウバロウを含むチーク製品を注入したところ、7日間の間に眼刺激は観察されなかった(CTFA,1979)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、眼刺激性なしと報告されているため、眼刺激性はほとんどないと考えられます。

光毒性および光感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 17人の被検者に25%カルナウバロウを含むミネラルオイル0.1mLを対象に光感作試験を含むHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、試験物質に光毒性および光感作性の兆候はなかった(Food and Drug Human Clinical Labs,1983)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

カルナウバロウはベース成分、安定化成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 安定化成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1984)「Final Report on the Safety Assessment of Candelilla Wax, Carnauba Wax, Japan Wax, and Beeswax」International Journal of Toxicology(3)(3),1-41.
  2. 日本油化学協会(1990)「ろうのエステル組成」油化学便覧 改訂3版,133-137.
  3. 日本油化学協会(1990)「ろうの性状」油化学便覧 改訂3版,104.
  4. 広田 博(1997)「植物性固体ロウ」化粧品用油脂の科学,50-53.
  5. 松本 勲, 他(1972)「天然ワックス(カルナバワックス,キャンデリラワックス,ビースワックス)の原ロウについての系統的分離法およびその成分の炭素数パターン解析」日本化学会誌(5),951-957.

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