カニナバラ果実油とは…成分効果と毒性を解説

エモリエント成分 ベース成分 感触改良
カニナバラ果実油
[化粧品成分表示名称]
・カニナバラ果実油(改正名称)
・ローズヒップ油(旧称)

[医薬部外品表示名称]
・ローズヒップ油

[慣用名]
・ローズヒップオイル

バラ科植物カニナバラ(学名:Rosa canina 英名:dog rose)の果実から得られる植物油(植物オイル)です。

カニナバラは、ヨーロッパから西アジアにかけて自生しており、バラの原種のひとつであると考えられています。

楕円形で緋紅色の実は、本当の果実ではなく、花の基部が膨らんだ偽果です。

ドイツなどの北ヨーロッパでは古くから乾燥させたローズヒップの果実をハーブティーにして美容と健康維持のために愛飲しており、日本でもビタミンC補給などを目的に飲料や健康食品として利用されています(文献4:2011)

カニナバラ果実油の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 14.0
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 44.0
リノレン酸 不飽和脂肪酸 C18:3 35.0
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 3.8
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 1.7

このような種類と比率で構成されています(文献2:1997)

リノール酸が約45%、リノレン酸が約35%を占めており、二重結合が2つ以上の不飽和脂肪酸であるリノール酸およびリノレン酸の含有量がかなり高いため、酸化安定性はかなり低い(酸化しやすい)と考えられます。

また他の植物油脂と比較してリノレン酸の含有量がかなり高く、リノレン酸を多く含む油は乾燥性が速いので、皮膚の湿潤性の炎症の抑制、細胞組織の賦活化に有用であると考えられます(文献2:1997)

ヨウ素価は、

ヨウ素価 ヨウ素価による分類
170-190 乾性油

一例としてこのように記載されており(文献2:1997)、130以上の乾性油のため、乾燥性が高いと考えられます。

乾油性とは、皮膜状に空気中に放置すると、固化して弾性のある乾燥皮膜を生じるオイルのことで、たとえば油性塗料に用いることで塗料の乾きが早くなります。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、リップ製品、ネイル製品などに幅広く使用されます(文献2:1997;文献3:2016)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、リノール酸約45%、リノレン酸約35%を含有し、リノール酸およびリノレン酸の割合がかなり高いため、肌なじみおよび伸びに優れ、ベタつきのないサラッとした軽い使用感を付与するエモリエント剤として使用されています(文献2:1997;文献3:2016)

また化粧膜を強く密着させる効果に優れているため、口紅などのメイクアップ化粧品にも使用されています(文献5:2015)

感触改良

感触改良に関しては、リノール酸約45%、リノレン酸約35%を含有し、リノール酸およびリノレン酸の割合がかなり高いため、肌なじみおよび伸びに優れ、ベタつきのないサラッとした軽い使用感を付与することからスキンケア化粧品やヘアケア製品に幅広く使用されています。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

カニナバラ果実油の配合製品数と配合量の調査(2010年)

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カニナバラ果実油の安全性(刺激性・アレルギー)について

カニナバラ果実油の現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [ヒト試験] 108人の被検者に0.39%カニナバラ果実油を含むスキンケアクリームの一次刺激性試験を実施したところ、一次刺激性はなかった(Institut D’Expertise Clinique,2010)
  • [ヒト試験] 106人の被検者に0.39%カニナバラ果実油を含むスキンケアクリームを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチ下で実施したところ、累積皮膚刺激性および皮膚感作性はなかった(Institut D’Expertise Clinique,2010)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

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カニナバラ果実油はエモリエント成分、ベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:エモリエント成分 ベース成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
  2. 広田 博(1997)「乾性油」化粧品用油脂の科学,11-15.
  3. 日光ケミカルズ(2016)「油脂」パーソナルケアハンドブック,18-19.
  4. 鈴木 洋(2011)「ローズヒップ(Rose hip)」カラー版健康食品・サプリメントの事典,203-204.
  5. 宇山 光男, 他(2015)「ローズヒップ油」化粧品成分ガイド 第6版,82.

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