カカオ脂とは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分
カカオ脂
[化粧品成分表示名称]
・カカオ脂

[医薬部外品表示名称]
・カカオ脂

[慣用名]
・ココアバター、カカオバター

アオギリ科植物カカオ(学名:Theobroma cacao 英名:Cacao)の種子から得られる植物油脂です。

カカオは中南米の熱帯地域を原産とし、果実の中に20-60個ほどの種子を持ち、これがカカオ豆となりココアやチョコレートの原料になります。

カカオ豆中には40-50%の脂肪分が含有されており、それを圧搾したものがカカオ脂となります。

カカオ脂の脂肪酸組成は、抽出方法や天然成分のため国や地域および時期によって変化がありますが、主に、

脂肪酸名 脂肪酸の種類 炭素数:二重結合数 比率(%)
パルミトレイン酸 不飽和脂肪酸 C16:1 0.2
オレイン酸 不飽和脂肪酸 C18:1 34.7
リノール酸 不飽和脂肪酸 C18:2 3.3
ミリスチン酸 飽和脂肪酸 C14:0 0.1
パルミチン酸 飽和脂肪酸 C16:0 25.6
ステアリン酸 飽和脂肪酸 C18:0 34.6
アラキジン酸 飽和脂肪酸 C20:0 0.9

このような種類と比率で構成されています(文献2:1990)

ステアリン酸含有量が約35%、パルミチン酸約25%を占めているのが特徴で、これらは飽和脂肪酸で二重結合が0であり、またオレイン酸も約35%を占めており、オレイン酸は不飽和脂肪酸で二重結合が1なので、総合的に酸化安定性は高いと考えられます。

またヨウ素価および融点(∗1)は、

∗1 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。

ヨウ素価 ヨウ素価による分類 融点
29-38 不乾性油 32-39

一例としてこのように記載されていますが(文献3:1990)、ヨウ素価は100以下の不乾性油のため、乾燥性はほとんどなく、また融点が32-39℃と体温より若干低いため、常温では固体を保ちますが体温でシャープに溶解する特性を有しています。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、ボディ&ハンドケア製品、リップ製品、メイクアップ化粧品などに使用されます(文献4:1997)

皮膚保護によるエモリエント作用

皮膚保護によるエモリエント作用に関しては、ステアリン酸約35%、パルミチン酸約25%と飽和脂肪酸が60%を占めており、やや重ための使用感ですが、酸化安定性は高く、また融点が32-39℃と体温で溶解する特性からボディクリームやハンドクリームのエモリエント基剤や口紅やリップ製品のスティック基剤として使用されています(文献4:1997)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の2010年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

以下表におけるリーブオン製品は、付けっ放し製品(スキンケア製品やメイクアップ製品など)を表しており、またリンスオフ製品というのは、洗い流し製品(シャンプー、洗顔料、クレンジングなど)を指します。

カカオ脂の配合製品数と配合量の調査(2010年)

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カカオ脂の安全性(刺激性・アレルギー)について

カカオ脂の現時点での安全性は、

  • 医療上汎用性があり有効性および安全性の基準を満たした成分が収載される日本薬局方に収載
  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:詳細不明
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし

これらの結果から、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2017)によると、

  • [ヒト試験] 106人の被検者に50.1%カカオ脂を含むリップバーム150μLを対象にHRIPT(皮膚累積刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激剤および皮膚感作剤ではなかった(293)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

試験結果や安全性データがみあたらないため、現時点ではデータ不足により詳細は不明です。

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カカオ脂はベース成分、エモリエント成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2017)「Safety Assessment of Plant-Derived Fatty Acid Oils」International Journal of Toxicology(36)(3),51S-129S.
  2. 日本油化学協会編集(1990)「植物油脂の脂肪酸組成」油化学便覧 改訂3版,104-110.
  3. 日本油化学協会編集(1990)「植物油脂の性状」油化学便覧 改訂3版,99-101.
  4. 広田 博(1997)「カカオ脂」化粧品用油脂の科学,28.

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