オゾケライトとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 感触改良
オゾケライト
[化粧品成分表示名称]
・オゾケライト

[医薬部外品表示名称]
・オゾケライト

石油産地の近辺で採れる地ロウと呼ばれるC₂₉H₆₀-C₅₃H₁₀₈の飽和炭化水素を主成分とした飽和炭化水素(∗1)の混合物です。

∗1 炭化水素とは、炭素と水素のみからなる化合物で、化学的に極めて不活性な物質です。

オゾケライト(ozokerite:ozocerite)の”ozo”はギリシャ語で”においを発する”という意味であり、”kerite”は”ワックス”を意味しますが、オゾケライトは19世紀の中頃にミツロウ様の特徴をもつワックスということで知られるようになり、当時は主に車輪用のグリース、皮革の仕上げ剤、加熱用燃料などに使用されていました(文献3:1983)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、スティック状化粧品などに使用されています(文献1:1984;文献2:2016)

感触改良

感触改良に関しては、わずかに粘性があり、酸化安定性が高く、また融点が61-90℃と高く、低温でもパラフィンほどもろくならないため、硬さを保持するスティック状油性基剤に用いられます(文献3:1983)

また、油に対する親和性が大きく、極めてよくオイルを吸収する性質があり、油脂やロウ類と併用して硬さ調整のための感触改良剤として用いられます(文献3:1983)

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1984年および2002-2003年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

オゾケライトの配合品数と配合量の調査結果(1984年および2002-2003年)

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オゾケライトの安全性(刺激性・アレルギー)について

オゾケライトの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:未希釈の場合は非刺激-中程度、希釈物の場合はほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-軽度
  • 皮膚感作性:ほとんどなし

これらの結果から、未希釈で使用されることはなく、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者6グループに100%オゾケライトの24時間単回パッチテストを実施したところ、26人の被検者にそれぞれほとんど知覚できない紅斑(4人)、明瞭な紅斑(20人)、中程度の紅斑(2人)が観察された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1972)
  • [ヒト試験] 20人の被検者5グループにそれぞれ5%オゾケライトを含むリップ製剤の24時間単回パッチテストを実施したところ、いずれの被検者においても皮膚刺激は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [ヒト試験] 18人の被検者に13%オゾケライトを含むチーク製剤の24時間単回パッチテストを実施したところ、1人の被検者にほとんど知覚できない紅斑が示されたが、ほかのいずれの被検者も皮膚刺激は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1974)
  • [ヒト試験] 19人の被検者に13%オゾケライトを含むチーク製剤の24時間単回パッチテストを実施したところ、皮膚刺激は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1974)
  • [ヒト試験] 20人の被検者2グループにそれぞれ28%または29%オゾケライトを含むリップ製剤の24時間単回パッチテストを実施したところ、皮膚刺激は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1975)
  • [ヒト試験] 201人の被検者に4.5%オゾケライトを含むリップ製剤を対象に1週間の皮膚刺激性および皮膚感作性試験を実施したところ、皮膚刺激および皮膚感作性は誘発されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)
  • [ヒト試験] 300人の被検者に13%オゾケライトを含むチーク製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、皮膚刺激および皮膚感作性は誘発されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1974)
  • [ヒト試験] 12人の被検者に13%オゾケライトを含むチーク製剤を対象に21日間累積皮膚刺激性試験を実施したところ、累積皮膚刺激スコア(0-756)は1であり、累積皮膚刺激性は示さなかった(Hill Top Research Labs,1976)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、未希釈物では最小限-中程度の紅斑の報告が複数ありますが、希釈物についてはほとんど共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、一般的に皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1984)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギ5群の片眼に50%オゾケライトを含む5つのサンプル0.1mLをそれぞれ適用し、眼刺激性を評価したところ、48時間まででいずれのウサギも眼刺激を誘発しなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1972)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に50%オゾケライトを含む製剤0.1mLを注入し、眼刺激性を評価したところ、48時間までで最小限の眼刺激性を示し、72時間で消失した(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1972)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に4.5%オゾケライトを含むリップ製剤0.1mLを注入し、眼刺激性を評価したところ、72時間までで眼刺激性はみられなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1980)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に5%オゾケライトを含むリップ製剤0.1mLを注入し、眼刺激性を評価したところ、24時間までで眼刺激性はみられなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に5%オゾケライトを含むリップ製剤0.1mLを注入し、眼刺激性を評価したところ、24時間で2匹のウサギに軽度の眼刺激性が観察されたが48時間までには消失した(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1979)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に13%オゾケライトを含むチーク製剤0.1mLを注入し、眼刺激性を評価したところ、4日目まで軽度の眼刺激性が観察された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1974)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に13%オゾケライトを含むチーク製剤0.1mLを注入し、眼刺激性を評価したところ、24時間で眼刺激性は観察されなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1975)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激-軽度の眼刺激が報告されているため、眼刺激性は非刺激-軽度の眼刺激が起こる可能性があると考えられます。

∗∗∗

オゾケライトはベース成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1984)「Final Report on the Safety Assessment of Fossil and Synthetic Waxes」International Journal of Toxicology(3)(3),43-99.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「炭化水素」パーソナルケアハンドブック,26.
  3. 府瀬川 健蔵(1983)「オゾケライトとセレシン」ワックスの性質と応用,49-50.

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