オクテニルコハク酸デンプンAlとは…成分効果と毒性を解説

ベース 感触改良
オクテニルコハク酸デンプンAl
[化粧品成分表示名称]
・オクテニルコハク酸デンプンAl(改正名称)
・オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンAl(旧称)

[医薬部外品表示名称]
・オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンエステルアルミニウム

無水オクテニルコハク酸とコーンスターチ(デンプン)の反応物のアルミニウム塩(体質粉体)です。

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、メイクアップ化粧品、ドライシャンプー製品、ボディケア製品、スキンケア化粧品などに使用されています。

感触改良

感触改良に関しては、オクテニルコハク酸デンプンAlは滑り性および肌への伸びや広がりに優れ白粉やパウダー製品に広く使用されているタルクより摩擦係数が低く(滑り性が高く)、また吸油性に優れるためベタつきを抑え、シルク様の滑らかな質感を付与します(文献3:-;文献4:2008)

このような特性から、口紅、アイシャドー、リキッドファンデーション、パウダーファンデーション、アイブロー、アイペンシル、プレストパウダー、ドライシャンプー、ボディケア製品、フェイスクリームなどに使用されています。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1998-1999年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

オクテニルコハク酸デンプンAlの配合製品数と配合量の調査結果(1998-1999年)

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オクテニルコハク酸デンプンAlの安全性(刺激性・アレルギー)について

オクテニルコハク酸デンプンAlの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 30年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし-わずか
  • 皮膚刺激性(過敏な皮膚を有する場合):ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性(アレルギー性):ほとんどなし
  • 皮膚感作性(皮膚炎を有する場合):ほとんどなし-まれに接触皮膚炎を引き起こす可能性あり

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2002)によると、

  • [ヒト試験] 事前試験で10%乳酸水溶液でスティンギング(刺すような刺激)反応が観察された12人の女性被検者(ただし、いずれの被検者も過敏な皮膚や皮膚炎などを有していない)に3%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローションを対象にフェイシャルスティンギング試験を実施し、主観的なスティンギングは試料の適用から2.5および5分後に0-3のスケールで評価したところ、この試料は通常使用下でスティンギングを生じる可能性はほとんどないと結論付けられた(Ivy Labs,1988)
  • [ヒト試験] 紫外線を浴びると軽い火傷をし多少赤くなる皮膚タイプの10人の女性被検者の前腕を針で傷つけ、1%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローション0.3mLを24時間にわたって合計3回パッチ適用した。パッチ除去後に試験部位をすすぎ、30分後に0-4のスケールで皮膚反応を評価したところ、3日目の平均刺激スコアは1.4であった。この製剤はわずかな刺激を引き起こす可能性があると考えられた(Skin Study Center,1995)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激-わずかな刺激の範囲で報告されているため、皮膚刺激性は非刺激-わずかな皮膚刺激を引き起こす可能性が考えられます。

– 過敏な皮膚を有する場合 –

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2002)によると、

  • [ヒト試験] 9人の過敏な皮膚を有する被検者に2.23%オクテニルコハク酸デンプンAlを含む製剤を2日にわたって24時間閉塞パッチを連用し、パッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、この製剤は紅斑を誘発しなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1996)
  • [ヒト試験] 10人の過敏な皮膚を有する被検者に2.5%オクテニルコハク酸デンプンAlを含む製剤を2日にわたって24時間閉塞パッチを連用し、パッチ除去後に皮膚刺激性を評価したところ、この製剤は紅斑を誘発しなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1997)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激なしと報告されているため、過敏な皮膚を有する場合において皮膚刺激性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2002)によると、

  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、1%オクテニルコハク酸デンプンAlを含む製剤を処理したところ(HET-CAM法)、この製剤は損傷を誘発せず、非刺激であると考えられた(Stephens and Associates,1996)
  • [in vitro試験] 鶏卵の漿尿膜を用いて、2.5%オクテニルコハク酸デンプンAlを含む製剤を処理したところ(HET-CAM法)、この製剤は損傷を誘発せず、非刺激であると考えられた(MB Research Labs,1997)
  • [動物試験] 6匹のウサギの眼に25%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むチークまたはファンデーションを3回適用し、眼はすすがず、Draize法に基づいて眼刺激性を評価したところ、チーク適用1日後でいずれのウサギにも刺激はみられなかった。またファンデーション適用1日および2日後に眼刺激性スコアは2であった。試験物質の眼刺激性は最小限であると考えられた(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1999)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、非刺激-最小限の眼刺激の範囲が報告されているため、眼刺激性は非刺激-最小限の眼刺激を引き起こす可能性があると考えられます。

皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:2002)によると、

  • [ヒト試験] 102人の被検者に1%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローション(pH不明)を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間およびチャレンジ期間においていずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作反応の兆候はなかった(Biosearch Inc,1994)
  • [ヒト試験] 104人の被検者に1%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローション(pH4.0)を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間において1人に軽度の紅斑が観察されたものの、チャレンジ期間においていずれの被検者も皮膚感作反応の兆候はなかった(Stephens and Associates Inc,1998)
  • [ヒト試験] 103人の被検者に2.23%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローション(pH5.5)を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間およびチャレンジ期間においていずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作反応の兆候はなかった(Clinical Research Services,1996)
  • [ヒト試験] 52人の被検者に3%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローション(pH不明)を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間およびチャレンジ期間においていずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作反応の兆候はなかった(Essex Testing Clinic Inc,1988)
  • [ヒト試験] 102人の被検者に2.5%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むローション(pH5.3)を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、誘導期間およびチャレンジ期間においていずれの被検者も皮膚刺激および皮膚感作反応の兆候はなかった(Clinical Research Services,1997)
  • [ヒト試験] 240人の被検者に30.5%オクテニルコハク酸デンプンAlを含むダークブラウンペースト0.02gを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、試験期間において2人に紅斑が観察されたが、この反応は臨床的に有意な刺激またはアレルギー性接触性皮膚炎とはみなされなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1998)
  • [ヒト試験] 121人の被検者に20%オクテニルコハク酸デンプンAlサンプル0.3mLを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を閉塞パッチにて実施したところ、いずれの被検者も接触性皮膚感作を示さなかった(Hill Top Research Inc,1981)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚感作なしと報告されているため、健常な皮膚を有する場合において皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

– 皮膚炎を有する場合 –

池田回生病院皮膚科の症例報告(文献2:2000)によると、

  • [個別事例] 接触皮膚炎の既往歴のある33歳女性が、化粧品を変更し、2日目から顔面に一部落屑をともなう瘙痒性紅斑を認めたため、使用していたフェイスパウダーをパッチテストしたところ、成分パッチテストでオクテニルコハク酸デンプンAl、ムクロジエキスに陽性であった。さらに濃度希釈パッチテストを施行したところ、0.2%-10%濃度で陽性を示した。以上よりフェイスパウダーの成分であるオクテニルコハク酸デンプンAl、ムクロジエキスによる接触皮膚炎と診断した

と記載されています。

試験データは個別事例のみですが、接触皮膚炎が1例報告されているため、皮膚炎を有する場合においてまれに皮膚感作を引き起こす可能性があると考えられます。

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オクテニルコハク酸デンプンAlはベース成分にカテゴライズされています。

成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分

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文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(2002)「Final Report on the Safety Assessment of Aluminum Starch Octenylsuccinate」International Journal of Toxicology(21)(1_Suppl),1-7.
  2. 西井 貴美子, 他(2000)「植物成分配合のフェイスパウダーによるアレルギー性接触皮膚炎」皮膚(42)(2),143-147.
  3. 日澱化學株式会社(-)「オクティエ」技術資料.
  4. Akzo Nobel(2008)「DRY-FLO PURE」技術資料.

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