オクチルドデカノールとは…成分効果と毒性を解説

ベース成分 エモリエント成分
オクチルドデカノール
[化粧品成分表示名称]
・オクチルドデカノール

[医薬部外品表示名称]
・2-オクチルドデカノール

石油化学合成によって得られる、側鎖構造をもった炭素数20の一価アルコールである分枝状の高級アルコール(飽和アルコール:合成アルコール)です。

一価アルコールとは、化学的に-OH(水酸基:ヒドロキシ基)が一つ結合したアルコールで、2つ以上結合したものは多価アルコールと呼ばれ(n個結合したものはn価アルコールとも呼ばれる)、高い吸湿性と保水性を有しているため化粧品に汎用されている保湿剤です。

化学的に水酸基(ヒドロキシ基:-OH)を1つだけもったアルコール(一価アルコール)の中で、炭素が6個以下のアルコールは低級アルコールに分類され、炭素数が少ないほど親水性が強まり(親油性が弱まり)ます。一方で炭素が8個以上のアルコールは高級アルコール(脂肪族アルコール)に分類され、炭素数が多いほど親油性が強まり(親水性が弱まり)ます。

高級アルコールという分類なので誤解されやすいですが、一般にアルコールと呼ばれる物質は炭素数2の一価アルコールで低級アルコールであるエタノール(エチルアルコール)のみを指し、高級アルコールは物質として別物です。

オクチルドデカノールの物性(∗1)は、

∗1 融点とは固体が液体になりはじめる温度のことです。

炭素数 分子量 融点(℃) 比重(20℃) 屈折率(20℃)
20 298.55 5 0.830 – 0.850 1.452 – 1.457

このように報告されています(文献2:2016)

化粧品に配合される場合は、

これらの目的で、口紅およびリップケア化粧品、乳化系スキンケア化粧品、ボディ&ハンドケア製品、メイクアップ化粧品、洗浄製品、ヘアケア製品など様々な製品に汎用されています(文献1:1985;文献2:2016)

エモリエント作用

エモリエント作用に関しては、エタノール、ミネラルオイルおよび油脂に可溶であり、また熱および酸化安定性に優れており、炭化水素と比較して油性感が少なく、展延性(∗2)に優れ、皮膚上において通気性が良好な皮膜を形成することから、主に口紅およびリップケア化粧品、乳化系スキンケア化粧品、メイクアップ化粧品、ヘアケア製品などに汎用されています(文献2:2016;文献3:1997)

∗2 展延性とは、柔軟に広がり、均等に伸びる性質のことで、薄く広がり伸びが良いことを指します。

実際の配合製品数および配合量に関しては、海外の1985年および2002-2003年の調査結果になりますが、以下のように報告されています。

オクチルドデカノールの配合製品数と配合量の調査結果(1985年および2002-2003年)

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オクチルドデカノールの安全性(刺激性・アレルギー)について

オクチルドデカノールの現時点での安全性は、

  • 外原規2006規格の基準を満たした成分が収載される医薬部外品原料規格2006に収載
  • 10年以上の使用実績
  • 皮膚刺激性:ほとんどなし
  • 眼刺激性:ほとんどなし-最小限
  • 皮膚感作性:ほとんどなし
  • 光毒性・光感作性:ほとんどなし

このような結果となっており、化粧品配合量および通常使用下において、一般的に安全性に問題のない成分であると考えられます。

以下は、この結論にいたった根拠です。

皮膚刺激性および皮膚感作性(アレルギー性)について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1985)によると、

  • [ヒト試験] 20人の被検者に4%オクチルドデカノールを含む保湿クリームを対象に24時間単一皮膚刺激性試験を実施したところ、PII(Primary Irritation Index:皮膚一次刺激性指数)は0.0-4.0のスケールで0.03であり、1人の被検者で最小限の皮膚刺激性が観察された(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1979)
  • [ヒト試験] 16人の被検者に3%オクチルドデカノールを含むアイペンシルを対象に21日間累積刺激性試験を実施したところ、総合累積刺激スコア(0.0-630)は7.5であり、実質的に非刺激性であると結論付けられた(Food and Drug Research Labs,1979)
  • [ヒト試験] 197人の被検者に10.2%オクチルドデカノールを含むリップスティックを対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、いずれの被検者も皮膚刺激性および皮膚感作性を示さなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)
  • [ヒト試験] 210人の被検者に3%オクチルドデカノールを含む製剤を対象にHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、誘導期間において2人の被検者に軽度の反応がみられたが、チャレンジ期間ではいずれの被検者も皮膚反応はなかった(Leo Winter Associates,1979)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、共通して皮膚刺激性および皮膚感作性なしと報告されているため、皮膚刺激性および皮膚感作性はほとんどないと考えられます。

眼刺激性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1985)によると、

  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に100%オクチルドデカノールを適用し、眼刺激スコア(0.0-110)を評価したところ、1日目の眼刺激スコアは4であったが、4日目には0であった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1973)
  • [動物試験] 6匹のウサギの片眼に100%オクチルドデカノールを適用し、眼刺激スコア(0.0-110)を評価したところ、1日目および2日目の眼刺激スコアは1であったが、3日目には0であった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、一過性の最小限の眼刺激性が報告されているため、眼刺激性はほとんどなし-最小限の眼刺激性を誘発する可能性があると考えられます。

光毒性および光感作性について

Cosmetic Ingredient Reviewの安全性データ(文献1:1985)によると、

  • [ヒト試験] 23人の被検者に10.2%オクチルドデカノールを含むリップスティック製剤を対象に光感作性試験をともなうHRIPT(皮膚刺激&感作試験)を実施したところ、試験期間において皮膚反応はなく、光毒性および光感作性の兆候はなかった(Cosmetic Toiletry and Fragrance Association,1978)

と記載されています。

試験データをみるかぎり、光毒性および光感作性なしと報告されているため、光毒性および光感作性はほとんどないと考えられます。

∗∗∗

オクチルドデカノールはベース成分、エモリエント成分にカテゴライズされています。

それぞれの成分一覧は以下からお読みください。

参考:ベース成分 エモリエント成分

∗∗∗

文献一覧:

  1. Cosmetic Ingredient Review(1985)「Final Report on the Safety Assessment of Stearyl Alcohol,Oleyl Alcohol,and Octyl Dodecanol」International Journal of Toxicology(4)(5),1-29.
  2. 日光ケミカルズ(2016)「アルコール」パーソナルケアハンドブック,44-55.
  3. 広田 博(1997)「合成アルコール」化粧品用油脂の科学,87-89.
  4. 鈴木 一成(2012)「オクチルドデカノール」化粧品成分用語事典2012,43.

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